タグ： 男の娘

お七の一族は古くから続く伝統のある家系で、両親も後継となる男の子を望んだ。 しかし、それは叶わなかった。長い睫毛に薄い唇、目はどこか慈愛をふくみ、その髪はしなやかで美しかった。 父親はお七が醜い後継争いに巻き込まれれば、利用され、捨てられると考えた。そのため、誕生をなかったことにしようと、遠い親戚の家に追いやった。 それから二十年、、、すくすくと成長したお七は容姿端麗文武両道、神が二物を与えたと評される街の人気者になっていた。 ふわりとした黒い髪に幼くも美しいとかんじさせる整った顔、小動物のような可愛らしい仕草はすすきのの天使と呼ばれた。 お七はここ、ススキノの地で本家の後継争いとは遠く離れたしあわせな人生を送るはずだった。 しかし、その希望は絶たれた。 そう、ススキノブラックアウト（バイオテロ）である。 ススキノは何者かの手によって未知のウイルスの蔓延する死の地と化してしまった。お七はその知識と教養、何より親戚（実は忍者）仕込みの体術でススキノブラックアウトの黒幕を倒し、ススキノに安寧をもたらした。この際、レオン・坂田・ケネディという人物と知り合い、共に戦ったことはあまりに有名である。 お七にも某合衆国SSおよびブリタニアのキングスマンよりスカウトがあったが、全て断った。お七はふつうに生きたかった。 もっとも、ススキノブラックアウトの際不死身のススキノ市長を溶鉱炉におとすため、作動させる電力を雷から得ようと雷にうたれたことにより、お七の腕にはリヒテンベルク図形が出来てしまった。そのため、まともな職業に就くことは難しかった。 そこでお七はメイド喫茶「猫屋敷」で働きながら、ここを事務所として主に身辺警護の依頼を引き受ける用心棒として働き出した。 腕に雷の傷跡を抱えてなお、お七の容姿は美しかった。 長い睫毛に薄い唇、目はどこか慈愛を含みながらもいたずらをした子供のように輝いており、髪はしなやかで黒く、深緑に陽光をうつしていた。 相手の力を利用して行う忍者の体術はお七の体に無駄な筋肉をつけなかったため、凛としつつもどこか柔らかさを感じさせ、その体躯は女性の理想というべきものであった。又、その手指も白魚のように美しかった。 街を歩けば男はお七に劣情を抱き女性は嫉妬を感じた。 しかし、その人間性を知り、同じ感情を抱き続けた人はいなかった。 だが、男だ。 本名は猫屋敷 熊五郎。声は低い。 水戸光忠とは彼の家からの身辺警護の依頼をうけたため、知り合った。虫取りがうまいのですぐ仲良くなった。

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