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BOK値　88 大学を卒業後、彼女はとある大手会社の営業課にて成績優秀なキャリアウーマンとして仕事をこなしていた。ピンとした背中ときりっとした目に、彼女に憧れる後輩は男女知れず多く、上司も「富岡が言うなら間違いない」と手厚い好待遇を受けていた。 そんな彼女でも人間なのだからストレスはたまる。彼女のストレスのはけ口は――腐女子友達とのさぎょいぷであった。 定時ぴったりに仕事を残さず終えて、さっさと自宅へ戻ると夕食もそこそこに原稿へと取り掛かる。コミケに出す原稿がまだネーム段階だの色塗りが面倒だのと会話をしながら漫画を描いている時間が彼女にとって酒を飲んで紛らわせるよりも、効率的なストレス解消となったいた。 そんな時、「夏コミで富岡さんらしき人を見た」という小さな噂が流れ始めた。それはもちろん彼女の耳にも入り、彼女は「夏コミとは何でしょうか」という「夏コミ知らない」態度で裏の顔を身バレを回避。その後噂は沈静化されていったが、彼女としてはオタク人生で最も危機的状況であったがために、その後はローペースでの脱稿となっていった。 …現在。婚期を逃しつつも会社での地位を着実に上げていった彼女は部長となって10年、努めていた会社を定年退社し、貯めていたお金で他人の世話を受けながらの生活を選択。入居したのち、そこでみる様々な人間関係に彼女の全盛期に握っていた筆がまた唸りをあげるのかは彼女次第。 ちなみに「ノアの箱舟」とあるのは、彼女が唯一自宅から持ってきた鍵付きの箱。中には推しの薄い本や思い出詰まっている。

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