タグ： 楢月サクヤ

幼い頃から身体が弱く、室内遊びを好んでいたため両親が気付くことは無かったが、幼少の頃から自身の肉体に違和感を感じていた。なんとなく、男子のフリをした方がいいのだろうと思い、ずっとそうしてきていた。詳細は後述するが、高校～大学にかけて自分が性同一性障害であり、自覚している性別が女であると知る。 中学生の時に長期の入院をしていた際、絵画の楽しさを知り、また自分がそうだったように人に絵を描く楽しさを教えられる人間になりたいと教師になることを決意。大学は教育関係、美術学科。非力ではあるが彫刻にも興味を持ち、指導する分には不足ない程度の実力は持っている。 大学時代、「親友」という認識で特に仲の良かった女子がいたが、彼女も周囲も、祈世を「男性」として認識していたのもあり流されるまま交際を始める。その後数ヶ月交際していたが、肉体関係に発展して数日後、耐えきれずにカミングアウトをする。結果、彼女はそれを受け止めきれず（実際は他の要因もあったのだろうが）祈世に責任が及ばないような遺書を遺して自殺してしまった。 以降、祈世は家族にも、友人にも、これを言うべきではないのだと強く思うようになり、それまで以上に男性のフリを自然にするようになった。唯一祈世の本来の性別を知っているのは、年の離れた実の妹だけである。彼女に対しては、強い愛情と共に「女性」として生まれていることに対する羨望や嫉妬を抱いており、一度だけそれをぶつけてしまったことがあった。幼かった妹はそれをよく分からないまま、ただ「兄」が「姉」でもあるのだと、純粋に受け止めてくれた。 それ故に、彼女は普段は「お兄ちゃん」と呼んだが、二人きりの時は祈世を「お姉ちゃん」と呼んでくれていた。 大学入学の少し前に両親が離婚してしまって以降、彼女とは疎遠になってしまったが、昔こっそりプレゼントされた「ヘアピン（お兄ちゃんの時に付けてね）」と「シュシュ（お姉ちゃんの時に付けてね）」を今でも大切にしている。 全くの偶然で自分の勤め先の中学校に妹が入学してきた時は驚いた。だが他人のように接してくる彼女に複雑な感情を抱き、自身もまた誰にも自分たちの血の繋がりがバレないように振舞い続けていた。二人きりになるタイミングがあれば、「兄」や「姉」として声をかけたこともあったが、かつてのように話せたことはなかった。 普段の教師像としては、苦手分野を無理矢理克服させるのではなく、得意分野を伸ばしつつ少しずつ苦手なものも減らすような、そんな指導方法。 特に、そもそも美術が好きではない生徒には、評価は下げはするもののコンクールへの作品の提出などの強制はしない。どんな作品でも、その生徒なりのこだわりや好きな部分を実際に見たりヒアリングすることで、少しでも生徒が「楽しい」と思えるような要素を探していく。 時々生徒と絵しりとりをしたりクイズのようなものを出したりするのも、授業だから仕方なく、ではなく生徒自身が楽しむための美術を教えるためである。 そのため、口調や態度は若干粗雑（男性のフリをする上で楽だから）だが、祈世や祈世の授業を嫌う生徒は少ない方だと思われる。 日常的にユニセックス服を着たり、なるべく体格が男性的にならないようにしている。プライベートでは女性装やゴシックロリータ服を好み、SNSの女装サークルにも所属している。地味にファンもいるらしい。SNSでの名義は「桃世」。 ただ、サークル所属前単独で女装姿のまま行動していた際、暴漢に襲われ女装だと分かられた上で強姦された過去があり、以降は念のために護身術を覚えた。 それもあって背の高い男性や歳の離れた男性に若干の苦手意識を抱いている。

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