タグ： 冷凍林檎

承久2年から来た 幼い頃家族で旅行にいった先の森で獣に両親を殺され、自身も命を落としかける。 それを後に師と仰ぐことになる山伏に救われた。 身よりもなく、両親を亡くした彼を山伏は不憫に思い自らの子としまた弟子とし育てることとした。 山での生活は筆舌に尽くし難いもので、幾度となく死にかけ、その度乗り越えていった。 15を迎えた日、師は彼にひとつの刀の柄を渡した。 「ワシの師から譲り受けたものじゃ。師もその師から、その師もまたその師から、受け継がれてきた」 「其の昔、まだ人の世を妖が闊歩していたころ、牛の巨躯をもつ蜘蛛の足を切り捨てた武人の遺骨だそうな」 「彼は死に瀕した際、自らの身骨で武具を拵えろと残したそうだ。それをもって魔を祓えと」 「そして今こうしてお前に受け継がれた、道を誤るなよ」 山伏はそういう残し、彼を旅に出した。少なからず生きられる武は授けた、あとは人として道を探すのだと。 彼は山を降り、里をめぐり、時に人を助け、時に人に助けられながら日々を過ごしていた。 ある日である、彼は霧深い足柄の山間を歩いていた。そんな時、目の前を年端もいかぬ童が森を抜け山道へ現れたのだった。 もう日も暮れ、彼自身もそろそろどこか身を寄せられる場所はないかと探していたころ。 どうにも怪しいと思ったものだが、彼が声をかける前に童は道を横切り、反対の森へと消えていったのだ。 慌てて彼が童の後を追うと、日の落ちたというのにまるで日輪のような輝きが、森の奥より溢れ出るではないか。 童といえばまるで吸い寄せられるかのように、その光へと歩みを進める。 やや、これは妖の仕業に違いないと思った彼は、ぱっと飛び出し童を抱き寄せた。 すると童は、はたとし、親もおらず見知らぬ森のなかにいるのが恐ろしくなったのか泣き出してしまった。 彼は童に優しく声をかけ、里への降り方を伝えてやった。童ははじめこそ首を横に振ったものの、彼の優しい声色と、その瞳を見ているうちに小さく頷いた。 彼はそっと童を送り出すと、光の方を向きかえる。 未だ煌々と輝くその先に、一体何がと腰に下げた刃無しの柄へと手をかける。 じりじりと距離を詰めいざ、といったその時だ。 光は一層強くなり、彼の視界を白く塗りつぶした。 彼は腕で顔を覆い光が収まるのを待った。そして光が徐々に弱まり、彼が腕をどけると。 そこは21世紀現在であったそうな。 （未登録オーヴァードよりの聞き取り調査記録より、一部抜粋）

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ