タグ： 沼の住人ロスト・引退

◆芸術家/2015準拠（選択：＜天文学＞＜物理学＞） 宇宙をモチーフとした立体造形アートを中心に製作している若き造形作家。 少々気難しいと捉えられるような性格で、あまり人付き合いが得意な方ではない。 個人のアトリエに篭ってひたすら何かを作っているかと思えば、突然外出して三日三晩戻らないこともある。 周囲の人間からは「芸術家ってやっぱり変わった人なのかな〜」と思われがちだが、実際はわりと常識人。 自分の作品を作る傍ら、映像作品をはじめとする造形物の製作に携わることもある。 政治家の父と医者の母親、5歳上の宇宙飛行士の兄がいる。 両親との折り合いはあまり良くなく、小さい頃仲の良かった兄とも彼が高校卒業後に家を出て行ってから会っていない。 小学生の頃から図工の時間が好きで、中高は美術部に所属しており、宇宙が好きになったのは兄の影響である。 自分は兄とは違い親の望む進路に進むつもりで大人しくしていたが、結局のところ親の反対を押し切って家を出て芸術大学へと進学する。 視力が極端に悪く、真剣になればなるほど目を細めてしまい、周囲に目つきが悪いと印象を与えがち。 好きなものは宇宙、猫、うなぎの蒲焼。 苦手なものは圧力、甘すぎるお菓子。 ◆特徴 アウトドア派 眼鏡をかけている（1d6→3*10Pt） ◆参加シナリオ 『N=R*fp*ne*fl*fi*fc*L』/ロスト オゾン層の向こうに思いを馳せる人間が時折生まれる家系のひとりである彼が一際惹かれたのは、『孤独と文明宇宙』の存在である。 昔から両親には「きちんと勉強をして、安定した職業に就け」と口酸っぱく言われており、それを否定するのも面倒だった。 きちんと人の言うことを聞き、宿題を終わらせ、ごく普通の日々を過ごしていた。 得意なことがあるとすれば、身の回りにあるものを使って工作をすることくらいだっただろう。 友達もそこまで多いわけではなかった。当たり障りのない交友関係が多かった。 彼の人生に一番最初の影響を与えたのは兄だった。 物心ついた頃から、兄は宇宙を見続けていた。どうやら自分が生まれてまもない頃に、アスレチックから落ちて頭をしたたか打ち付けたらしい。 その時に、『星を見た』のだという。 たったそれだけのきっかけで燃え上がったものが、いつまでも兄の中から消えなかったもので、その火はやがて弟へも伝染していく。 兄から聞く宇宙というものがどういうものなのか、弟は気になって図書館に通った。 けれどいくつも天体や星空、銀河系の写真を見るたびに、それを美しいと感じることはあっても、それ以上の感情を抱くことはなかった。 ある日、ふと目に入った谷川俊太郎の詩『二十億光年の孤独』を読んだことが、彼にとって初めて文明宇宙に触れた瞬間だった。 特段詩が好きなわけでもなく、それを目にしたきっかけすら朧げなものだったが、どんな美しい写真をみるより彼にとっては大きな衝撃だった。 広い宇宙のどこかに、人知れずどこか別の文明に届けと交信を続けている生命体がいるのかもしれない。 そのことが何故か、ひどく自分の心を惹きつけた。 以来、彼の作品は専ら宇宙のどこかにあるかもしれない文明宇宙をモチーフにしたものへと変わる。 地球に散りばめられた星の痕跡を探しに外へと出ては、それらを組み合わせて美術室にまばゆい文明を築いた。 そして彼の作品の中にいる「宇宙人」と呼ばれる生命体は、いつもひとりに限られていた。 「孤独」というものを考えるようになって、それがある限り自己は表現を許される。 作品は、彼にとって目にも見えないほど遠くにいる何かへの一種の手紙のようですらあった。 高校3年になった頃にはいくらか賞ももらうようになっており、美術教師からは美大への推薦受験の話もあがるようになる。 当然両親は反対しており、自身もそれに逆らうつもりはなかったが、そんな最中に事故に遭う。 意識不明から漸く目覚めた時、理由もなく静かに脳裏を過ったのは次のようなことだった。 自分はいつどこで野垂れ死ぬかもわからないのに、親の言いつけに従ってこの交信を途絶えさせてしまうのだろうか。 すべての文明における生命体が孤独であるということを、別の星の生命体と分かち合うという可能性を放棄してしまうのだろうか。 この孤独を、飼い殺しにしてなるものか。 そう考えた瞬間、全てが吹っ切れたように頭が冷えて、家を飛び出し推薦受験で美大へと進学することとなった。 視力が悪いのは事故の後遺症である。 兄は宇宙飛行士として大きな功績を残したと、最近ニュースになっていた。 恐らくあの人はそのうち幸福そうに、宇宙の塵になって死ぬのだろう。 それを横目に自分は今でもたどり着けやしない、人類の誰もが発見に至っていない文明に、地球の片隅から信号を送り続けている。 おそらくは、今後も。 宇宙が広がる限り消えない愛すべき孤独に魅せられている。 『二十億光年の孤独』 http://www.poetry.ne.jp/zamboa_ex/tanikawa/ ■イメージソング 宇宙飛行士への手紙 / BUMP OF CHICKEN （https://www.youtube.com/watch?v=x6pzZ_IGQAg） シリウスの心臓 / ヰ世界情緒 （https://www.youtube.com/watch?v=gr2pXdiAHsg）

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