タグ： 海枯れ

生まれつく顔が良く、どちらかというと女性寄りの顔をしているが、男に見えもする。毛は非常に薄く陶器の様な肌をしているが、左の脇腹に肋骨を沿うような古傷痕がある。小学校を卒業し中学に入ってから二年が経とうとする頃、次第に胸に膨らみが現れ、両性具有であることが分かった。両性具有ではあるが下半身に女性器は無く、男性器が付属しているがその男性器に睾丸は無い。男であることの象徴とも言えるそれをぶら下げながら、成長するのは女性に付くはずの乳房ばかりであった。家族にはバレぬよう毎日サラシを巻いて過ごしていたが、ある日浴室でほどいているところを実の父親に見られ、襲われた。 結局、両親は離婚し母親が晴間を引き取ることになったが、離婚した母が引き連れてきた男はみな晴間に欲情しており、晴間の居る部屋に入り浸るほどの関係になった者からは例外なく性的搾取をされた。そんな晴間を、母は"悪魔の子"と呼んだ。自らの身体を呪われたものとして思っている。気分は酷く憂鬱で、自死を試みた傷跡が他人から見えないようにいつも手袋を付けている。 疑心暗鬼に陥りやすい性格で、人を信用することが出来ない。優しい顔をして近づいてくる相手には襲われるのではないかと怯え、強く当たってくる相手にも臆病になる。普段は優しさという仮面を付けているが、それは他者から必要以上に関わられないためであり、いわれのない噂や八つ当たりを避けるためである。 生まれいづるは悪魔の子。宵の光を身に纏い、現の他人を勾引かす。そこに遺るは色の妄執。

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