タグ： 海も枯れるまで HO2

　彼女は海辺で育ち、海のような青い眼をしている。 　帯邦島（おびくにしま）で育った少女。一人称は「ぼく」。 　離島育ちで少々世間知らずなところがあるが、両親に見守られてのびのびと育った。マイペースで自由。 　素直な性格。好奇心が強く、わくわくさせてくれるものが好き。反対に、ぼーっとしたいときは海に行く。何時間も水平線を見つめていることもある。気分の波が大きい。 　何も考えていないように見えてそうでもない。とはいえ、そもそもの世界が狭いので、まだまだ青臭い。 　海辺で育ったこともあり泳ぎが得意。 　島の人達のことは家族のように思っているが、両親のことはとくに好きで、尊敬している。医師である父親からはいろいろなことを教えてもらった。手先が器用なので応急手当の腕がいい。 　学校にこそ通っていないものの、自宅や島の施設にある本を読むことはよくある。島の子供たちに慕われており、絵本の読み聞かせをしてあげることも多かった。 　いちばん好きな絵本は『人魚姫』。しかし、憧れているのは人魚姫の方ではなく、王子様の方。いまの一人称は、幼い頃に王子の真似をし始めたのがきっかけ。 　月がきれいな夜に波打ち際を散歩するのが好き。 　珍しい漂着物を探したり、潮騒や巻貝の中の声に耳をすませたりしている。拾ったものでアクセサリーなどを作ることもある。ブレスレットはこれまでで一番の出来なので、お気に入り。 　月や星の光を受けてきらめくものを愛している。 技能 目星……漂着物 聞き耳……潮騒と貝殻 図書館……読書、読み聞かせ 応急手当、精神分析……父親（医師）の影響 天文学……月や星の観察 水泳……海 参考 マーメイド／monaca:factory 月夜の浜辺／中原中也 なみうちぎわ／中田永一 ―――――――――― 「暗闇のおくから波の音だけがしずかにおしよせてくる。夜の海は宇宙のようだ。視界におさまらない大きな暗闇に、今もたくさんのひみつが沈んでいるのだろう。」 ―――――――――― 　　 　どこへもいけない。 　この島だけがぼくの世界でした。 　ぼくはこの海辺でうまれて、たぶんいつかはここで死にます。べつにそれはいいんです。ごはんはおいしいし、自然はきれいだし、島のみんなのことは好きだし。でもたまに飽きちゃって、走りだしたくなるときがあります。そういうときはいつもの浜辺に行くんです。 　波打ち際を歩くのは、あたらしいものを見つけられるかもしれないから。本を読むのは、知らない世界がそこにあるから。空を見上げるのは、きっとどこかのだれかがおんなじ月を見ているはずだから。 　ぼくはいつもくらげみたいに漂ってるだけで、それはそれで悪くないなっておもいます。けれどやっぱり、ぼくはもっとあたらしいものを見たい。知らない世界を知りたい。 　だから今日もぼくは砂浜を駆けて、水平線のむこうに目をこらすんだとおもいます。まだ見ぬともだちに会える日を夢見て。 　　　　　

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