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異物への耐性 POT判定+20% 手先が器用 製作+50 機械修理・電気修理+10 元大学助教授。 ある程度の文献や薬品の収集を終えたので、気ままに生きてみようと思ったまでだ。 b0c4de *☼*―――――*☼*――――― 両親はお互いに小学校の先生だった。 幼い頃からきっちりした教育を受けていたためか、理科が好きだった。 そのまま化学の大学へ行き、就職をするよりも研究を続けたいと思ったから助教授になった。 至って普通の人生を送ってきた砂寿には、幼馴染が居た。そいつは馬鹿みたいに明るいヤツだったが、引っ込み思案の自分とは何故か波長があった。 彼女は中学校の先生になった。お互いに先生としての生活を進めていく中、そちらの方が都合が良いからと同棲も始めた。 彼女がいつもと変わらない笑顔で「殺して欲しい」と言ったのは、結婚を目前としたとある冬の日だった。 彼女が幼い頃から家族から嫌がらせを受けていたことを、何一つ知らなかった。配属された中学校でもいじめが起きて居たことも。教師からも生徒からも虐げられる毎日など、空想の中でしかないものだと思っていた。 もう、彼女は決めていたのだ。変わらない毎日を覆せる程の力が自分には到底見いだせていなかったのだ。だから死ぬならせめて、唯一愛した人の手で。 幼い頃から夢を見ていた彼女の『教師』という道は、とうに崩れてしまっていた。 長い逡巡の末、2人が選んだのは毒だった。 いつものようにする食事の中に、砂寿が無断で生成した青酸カリウムを混ぜ込んだ。 「苦しんで死ねた方が、私が生きた意味ってあるよね？」 組成物でも充分に効果はあった。血を吐きながら薄く微笑む彼女は、涙が出るほど美しかった。 止まらない涙の理由は、美しいものを見て感動したからだ。それ以外になにがある？ 自身を人たらしめている何かが、ぐちゃりと壊れた気がした。 *☼*―――――*☼*――――― 大学は辞めた。 死体の処理は困ったが、何処から嗅ぎつけてきたのか、そういうものが大好きな連中から手を借りることになった。もうどうせ、人間の世界では生きられない。毒物の生成に必要な薬品や器具は彼らから入手することが出来た。その代わり、時たま渡されるリストの人間を殺すことになった。 砂寿は、あの時の彼女の顔が忘れられなかった。 歪んでいることは理解している。でも、その歪みが酷く心地好くて、愛した人の死に際の顔を見れば酩酊できるのだ。 目元が似ている。 快活に笑う声が似ている。 髪が長いところが似ている。 ネイルの色が愛おしい。 夢を追いかけている様が愛おしい。 小さな歩幅が愛おしい。 愛おしい人。恋人を殺すことで、あの時の酩酊感が蘇る。だって彼らは恋人なのだ。自分以外に死に際を、あの愛の表情を作らされる前に殺さなくては。 *☼*―――――*☼*――――― ギャラリア / 柊キライ *☼*―――――*☼*――――― 【渡る世間は殺人鬼ばかり】(2022-11-20) 結菜、お前があんな目で見るから、俺はおまえを愛してるんだ。 【自涜の手引き】(2022-11-23) あまり褒められた行為ではないだろうが、まあ、今更か。

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