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数多 平(あまた ひら) 初老のオルガニスト。髪を灰色に染めている。身長は低く、少し痩せ型。また、厚ぼったい唇と鷲鼻、半開きの目が特徴的であり、容姿はお世辞にも良いとは言えない。 痩せた体とこけた頬は見る人に不健康そうな印象を与えるだろう。実際病気がちで、よく風邪をひく。 体質的に耳が尋常でないほどよく、先天性の絶対音感と聴覚過敏を持つ。日常生活では黒色のイヤーマフを着け、不快音をシャットアウトしている。 幼少期からその容姿によって苛めを受ける。それが元で常に人の顔色を伺うようになった。半開きの目は、元の目の細さに加えて周囲を注意深く観察しているのも要因となっている。 彼は自身の容姿の醜さを受け入れ、それを最大限カバーするための努力を惜しまなかった。 暴行を受けることないよう体を鍛え、目立つことのないよう変装の腕を磨き。そして自身を苛めていた奴らを見返せるように、絶対音感を活かして一芸(オルガン)を身につけた。現在の職は、それを有効活用しようと考えた結果である。 そして彼はもう1つ、日常生活を送る上での致命的な悩みを抱えている。 彼は、四則演算を初めとするあらゆる計算が致命的に苦手なのだ。2ケタ以上の足し算や引き算、九九すらも紙に書いて計算しないと解らない程、数字に弱いのである。 算数や数学以外の分野であれば基本的になんでもこなすことの出来る才能の持ち主であったため、数字にのみ弱いことを不便だと思ったことはあまり無い。 だが、これの原因が何であるのかは、本人を初め周囲の人間も理解していない。精神的なトラウマ等によるものなのか、それとも脳機能に障害があるのか。原因不明の算数障害を彼は周囲に隠し続けている。何か怪しまれるようなことがあれば、それをその場凌ぎの言葉で誤魔化し続けてきた。 彼は周囲の人間に見下される、見放されることに強い恐怖を抱いており、「これ以上弱みを晒す訳にはいかない」という観念に囚われている。

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