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クトゥルフ PC作成ツール
乙黒 礼徒
ID:4684391
MD:8000cfa7c1124a12f0b827b5b72ef852
乙黒 礼徒
タグ:
なまこ式
高校生
一人と一時のヴォヤージュ
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
現在値
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デア
幸運
知識
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SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
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技能
職業P
/
(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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通常表示
<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
2015特徴表:奇妙な幸運、天才 名前の読みは「オトグロ ライト」。168㎝57㎏、しっとりとした黒髪と淡い茶色の瞳を持つ、少し地味な出で立ちの男子高校生。立っている時も座っている時も姿勢があまりよくない。 大人数で集まっている時は場を温めながら明るく振る舞う一方、こと一対一の状況では『会話ができるコミュ障』としての本性が露になってしまうタイプ。とても正直に「あー、そういうの僕わかんない、ごめん」と言い放ったり、喋り出すタイミングが何度も重なるなど、本人が明らかな失敗として引きずるようなことを多発させるので、人数が減ってくると自分もそそくさと居なくなることが多い。 そんな性格もあってか、互いにドライな関係として納得している状態の知人が非常に多いものの、人を嫌っているわけではないらしい。むしろ友好的なほうであり、初対面の身近な人物に対して数回はコミュニケーションを試みるほか、懐いた相手に対しては自分から話しかける積極性を見せるとか。そうしたことによって距離を置かれた経験もあるとか…… ───────────────────────── だらだらとメールに長文を書いたことなんて殆ど無い。自分で読み返しても、どこが必要でどこが余計なのか全然わかんなくて、自己PRに全く慣れない自分を恥じた。そもそも第一通にここまで情報を詰め込む必要はないのかもしれない。興味が有りますと一言伝えて、後日オフで打ち合わせするとか。向こう側のイメージはそういう段取りだったかも。まあ、だとしても怒られはしないんじゃないか? と思って、カチリと画面を真っ暗にした。そこにしかめっ面の自分が映し出される。 これが届く相手はどんな人だろう。同年代の高校生とかだったら一番いいな、と空想する。夢たっぷりの募集フレーズに反して、しっかりと現実を認めたシビアな大人に読まれるとしても、みっともなくないような内容を書けただろうか。それとも、ひねくれたリーダー格が自身の思想と照らし合わせて、いまいち魅力がないという理由で弾いたりするかもしれない。インディーズバンドの黎明ってそういうものだから。 バンドはともかく、魔法少女ってなんだろう。全然わからないけど、僕が求めているものと少し重なっている気がした。僕が求めているものってなんだろうか。 他人の音楽に求めるのは自己実現。その人自身がやりたいと思っていることに、こう在りたいと願っているものに向かって、真っすぐ突き進めているか。他の誰でもない自分のために。僕はそういうアーティストを見るとちょっと安心する。表現の世界という暗い海で、星や火のように輝いているものがあると、ちょっと勇気を分けてもらえた感じがする。僕が魔法少女バンドに何を期待しているのか客観的に考えるなら、そんな灯りの役割かも。 自分の音楽に求めるのは? これから僕は魔法少女の一員になるかもしれない。常識的感性を気取ってこんなこと言うべきじゃないだろうけど、普通の女装をすっ飛ばしていきなり魔法少女コスチュームなんて、率直にイカれてるしすごく奇妙だし滑稽ですらあると思う。でも、あんまり気にしていない自分も何処かにいて、なんならそっちの方が声が大きかったわけだから、こうしてエントリーまで漕ぎつけてしまった。 ぼんやりとプレイリストを転がして気が付いたのは、自分が音楽から受け取ってきたメッセージのことだった。僕はガキなのでヒーローに憧れがある。僕はひねくれた思春期のガキなので、自分が信じる正義のためのヒーローではなく、自分ではない誰かの理想と希望を守るために戦うヒーローを求めている。今思うと、そういう価値観を語り合える友達は全くいなかった。僕は魔法少女になって、そういうヒーローになりきろうとしているのかもしれない。 わからない。悩んだ直後に答えが出てくるなんて都合が良いこと滅多にあるもんじゃないだろ、思い違いじゃないのか。もし本当にそうだったとして、それだけで胸を張って魔法少女を語れるか? そんでその価値観は、他のメンバーの顰蹙を買ったりしないものなのか? 心配だ。これまでにいろんなバンドマンと関わってきて、何を言われてもほぼノーダメージで済んでいた自信があったはずなのに、怖いとすら思ってる。まだ一言も喋ってないってのに。 仲良くできるかなぁ。それこそが僕にとって一番自信がない分野だった。 ──────────────────────── 音楽趣味がない一般層には全く認知されていないが、「乙黒礼徒」という名前を知っている者は界隈の中にごく少数存在する。彼が17歳にして、天才と称されることに誰も異存を挟まないほどの凄腕ベース奏者として細々と活動しているためである。 特定のグループに所属することは滅多にせず、また自分一人で音楽的な活動を行うことも無い。主に東京都振斗区のライブハウスなどを巡回し、ベーシストが欠席しているグループに助っ人として駆け付けたり、ライブをする歌手のバックバンドにバイトとして参加したりなど、「ふと見ればいろんな場所に顔を出しているが、次の行動を追うことが極めて困難」という活動を続けていて、そのせいかファンというものは滅多にいない。知り合い全員への連絡のためにInstagramとTwitterのアカウントを持っているが、楽曲の権利を気にして演奏動画の類を全く投稿しないため、ほとんど食事の画像だけが並んでいる。 また、それほど深刻ではないものの自他共に認める遅刻常習犯であり、彼を待っていると事前リハーサルの時間が少なくなってしまう。本人は「かなり遅れると思って先に始めててください」とよく言っていて、実際にも後半部分しかリハーサルに参加しないものの、それでも本番になると必ず時間通りに来て、他の奏者が全く不自由しないほどの水準でパフォーマンスを完遂してはさっさと帰るのだとか。この遅刻癖は貧血体質のせいで朝起き上がれないことから来ているらしいが、自分からそれを明言することは少ない。 なるべく失礼にならないように気を付けながら活動しているが、前述の通りコミュニケーションがあまり得意でなく、根が少し自分勝手でもあるためにしょっちゅうトラブルを起こす。滅多に特定のグループに名を連ねないのもそれを気にしているからで、実際に人とセッションする際も自分以外のリズムをできる限り理解して、自分がなるべく合わせるように努めている。これが奏者としての彼にとって良いインプットになるおかげでモチベーションは前向きであり、自分の気まぐれで様々なアーティストと邂逅しては、全員にとって良い感じの結果を手助けしてまた何処かへ去っていくという、ベースの妖精のような存在に成り果てている。 なお、いわゆる技巧重視のアーティストとはあまり馬が合わず、過度な練習時間を自慢するような現場に居合わせてしまった時は少し顔をしかめる。まさに昔の自分自身がベースの腕前で幅を利かせるイキリ少年だったので、黒歴史を掘り返されるような感じがしてウワーーーッてなるらしい。 親しい友人にすら教えていないが、現在は「魔法少女」をモチーフとした6人編成バンド“(魔法少女バンド)”にて、実名を伏せつつ正式なメンバーとして活動している。以下にその設定文を掲載する。 ─────────────── バンドネーム/魔法少女名「セレスタイン・ソロウノーティカ」 担当楽器:ベース イメージカラー:青 モチーフは「天青石」「海」「船乗り」「航海天文学」「占星術」。鮮やかな青い髪に、それと良く似合う身軽なドレスを纏った魔法少女。 空に描かれた星座からの力を使って「水」を顕現させ、その流れや勢いをコントロールして多くの状況に対応したり、どんな状況においても星の導きによって「向かうべき先」を光で指すなど、仲間を助ける魔法が得意。 用いる魔法の影響か、はたまた彼女の性質ゆえにこの力を手に入れたのか定かではないが、迷う人々に光を示し、悪意あるものたちから守り、どんな恐怖の中でも「希望」を伝えることに使命感を覚えている。 常にフランクでフレンドリーな口調のまま喋っていて、それは打倒すべき敵の前でも同じ。どんな相手に対しても優しさや慈悲を以って接するが、そもそも使う魔法の致傷性が低いこともあり、戦いに手を抜くことは一切ない。 その優しさに偽りは無いが、「思い描く最良の結果」に向かう為ならば如何なる手段も惜しまない強かさを併せ持っている。防戦を得意とすることから、敵を言葉で挑発して攻撃を自分に引き付けるなど、単純なぶつかり合い以外にも工夫を重ねて戦うことが多い。仲間の魔法少女である「ディアーナ・ストリングス」が掲げる『美しく華麗』というポリシーには時々抵触してしまうので、可能ならば彼女には気付かれないようにしているらしい。 『みんなには、私の腕の中で悲しい思いをしてほしくないの。私が手で掴める、私が見つけてあげられるすべての中で』 『さあ、好きなだけ一緒に踊りましょ。きっとあなたも本当は寂しいんだろうから』 ─────────────── (魔法少女バンド)の活動においてもかなりマイペースだが、自身に出来るようなことなら凡そなんでもしている。公式アカウントでたまにリプ返信を実施しているのは主に彼で、無関係のバイトを装って近所のあちこちに許諾済みで宣伝ポスターを貼ったり、写真撮影や買い出し、果ては衣装やセットに対する軽い修繕など、雑用と呼べることなら片手間だけで全て片づけてしまう。譜面を覚えるまでが非常に早いことからメンバー同士での合わせ練習を主導することもしているが、演奏に纏まりが出てくるにつれ気が抜けるのか、日によっては平気で2時間くらい寝坊することも。 カルチャーとしての「魔法少女」についてはあまり知識が無いため、アバウトに決めておくことで後々どうとでもなるようにする作戦で乗り切っている。「水」という属性を選んだのも、その流動性によってどんな場面で何をしてもあまり不自然ではないから、ということらしい。最近になって先輩の水属性魔法少女たちの活躍を履修し始め、一周回って「やっぱり水強くない?」「よっぽどじゃない限り割と万能なんじゃないか」「やっぱり決め手には欠けるかも」など、当初のイメージと近しい知見を得ている。 ──────────────────────── あ~。みんなめっっっっちゃ楽しんでたっぽいなぁ~。 今日は、先週から話していた通り「”(闇バンド)”の演奏パフォーマンスをみんなで偵察しよう」という集まりの予定だった。僕はというと昨晩から体調を崩している。ちょうどインフルが流行ってる時期なのでライブハウスなんか行けるわけもなく、自宅で素直に寝ていた。けっこう楽しみにしてたんだけど。 僕はこの年齢にしては人間ができているので、グループLINEで「いいな~~~~」とか言うとちょっと変な感じになりかねないことを知っている。いやどうだろう。心配しすぎかもしれないけど、とりあえず事務的な返答から先に済ませる。「しっかり休んだので大分回復してきました! 少なくとも3日後の合わせには行けると思います」とかこんな感じでいいでしょ。最初に比べると返信が早くなったかもしれない。 喉が渇いたのでスポドリを軽く煽る。返信はない。そっか、みんな今頃そのへんの飲食店で楽しく食事をしている頃合いか。気付いてしまえばやけに寂しくなるというものだった。スマホの電源を切る。起き上がって照明を点けるのが億劫だったせいで部屋は真っ暗で、ついに何も見えなくなった。僕はその後すぐ寝落ちてしまったかもしれない。 通知の音で目覚めたような、そこからもう一度寝たような気もするが、なんにせよ通知があった。URLの共有が。 なんでも、今回(闇バンド)が行った演奏のうち、1曲分の映像を無編集でYouTubeに即日公開したらしい。僕みたいな境遇の人にとってはこの上ない吉報で、俄かにテンションが上がる。体に血がまだ巡っていなくて、画面に触れようとした指先がふるふると揺れる。あ、ちゃんとしたヘッドホン持ってこないと...... しっかり準備をして、改めて動画タイトルなどを確認する。サムネイルから察するに、海の怪異を象徴するメンバー「The bloop」を主題にした曲目らしく、彼(彼女?)がセンターに立っているようだ。まだあんまり詳しいわけじゃないけど、セレスタインを意識できるキャラクターだった気がする。本当に偶然だろうが、中の人としてはとても嬉しいし、同時になんとなく申し訳なさすら感じた。ありがとう…… 再生開始。直前のパフォーマンスへの喝采がほぼ鳴りやもうとしている場面から、十数秒に及ぶ完全な沈黙が始まる。観客たちの間から、トラブルを疑うような囁き声が聞こえ始める。 ふっと、青が灯る。長くて細い、タバコの煙のような形の歪んだ光が、空間全体をなぞるように下から上へ、左から右へと通り過ぎていく。 右耳と左耳が、わずかに異なるタイミングで「音」を受け取る。 それはイントロであり、人間が普段まったく親しまないくらいに低すぎる音階だった。鼓膜を貫いて気道をくすぐられているような感覚と一緒に、人間のような唸り声が届く。笑っているとも取れるような…… 演出とイントロ、イントロとAメロの境目が、驚くほど曖昧だった。ボーカルがThe bloopと同調して唸り始めたかのように思えたそれはれっきとした歌詞の始端だったし、ほとんど気付けないうちに全メンバーの演奏が始まっているその構成は、音楽の試みとしてこれ以上の物が思いつかないくらいに前衛的で、間違いなくライブで体験する価値がある代物だ。後で聴き返したら、僕はそう思うかもしれない。 ただ、聴いてると呼吸がうまく行かない。なんでだろう。 ──────────────────────── つい忘れていたんだけど、僕には妹がいた。母さんが再婚した男との間に産んだ子だった。無くなってた記憶って、なんの弾みで思い出してもおかしくないのかもしれない。 再婚した男の方は覚えてる。ハッキリ物心が付いてからも何回か、「自分とどういう関係なのか分からない知り合いのおじさん」として思い出すことがあった人が、そういえばそうだったというだけ。ちょっと魚に似ている歪んだ顔で、小さかった僕がそう失言すると、褒め言葉だと思ってニヤついていた変な人。海辺まで車を出して星を見に行くのが好きで、服を着替えないまま波に飛び込んだりして笑いまくっていた愉快な人。 ちゃんと覚えてないが、妹は僕と話そうとしなかった気がする。母さんは仲良くしてほしかったみたいだったけど、距離を詰めたいと思うことがあんまり無くて、あっちもそう思ってるみたいだった。でも、一緒に暮らしてれば意外にどんな感性なのか分かってくるわけで、ちょっとした愛着があった。あっちがそう思ってたのかは知らないけど。 記憶の最後の方に立っている”妹”の格好は、綺麗なドレスに銀色のティアラみたいな感じだった気がする。母さんがやけに熱心に構うようになっていて、実際その姿は可愛かった。そうだ、妹の顔は自分と似ていて、そのせいで可愛いって言うのも恥ずかしかったんだ。 なぜか分からないけど、そのドレスを思い出すと、それを自分も着た事があるような、ドレスの裏側がどんな感じだったか詳しく思い出せるような気がする。 それくらいの時に、妹の名前が変わった。家の中でも「クティラ」って呼ぶことになって、その前の名前は覚えてない。名前は母さんが決めたらしくて、意味を聞いてもよくわからなかったので思い出せない。唯一、僕はその会話で初めて「先祖返り」という言葉を知ったらしくて、それだけは印象に残っている。 そんで…… そう、再婚した男と妹が一緒にいなくなったんだ、確か。母さんがすごく慌てていて荒んでいて、僕を睨んだり怒鳴ったりすることがあった。 あと、しょっちゅう誰かと電話していた記憶がある。借金の取り立てみたいな電話。そういう電話…… 思い出した。 妹がいなくなってから、女の子として過ごせっていうことになったんだ。あんたが代わりになりなさいって。 僕は確か、綺麗なドレスが羨ましかった気持ちがちょっとだけあって、別に男の子っぽい趣味があったわけでもないから、あんまり考えずに受け入れた。ドレス以外でも女の子らしい服を着て、言葉遣いも丁寧にしてみたりして、そんな感じでしばらくそのまま暮らしてて…… 目の前に海があった。周りには母さんと、4人くらい知らない人がこっちを見ていて、 それで自分は、なぜかドレスを着ていた。なんとなく、今この時のために用意されたドレスだったんだな、って思った。のを思い出した。 促されて、海の中に入っていった。引いていく波を追いかけて、すぐ向かってくる波に足を掬われる。プールの授業でやったみたいに泳ごうとした。 スカートが足に絡みついて足が動かなくて、腕だけでどうにかしようとした。10秒くらい藻掻いてみて、どうにもならないことに気付いて、パニックになった。声は出なかった。 何回もひっくり返る空の端っこに、岸から母さんが見えた。こっちを見ていないことだけは分かった。 肺に水が入ってきて、びっくりして体がこわばって全く動かなくなって、沈んでいく。すごく昔のことなのにその時の苦しさが完全に思い出せる。脚が針金で縛られたように痺れて絶対に動かなくて、温かいものが一つも無くて寒くて、鼻と耳に水が入ってきてすごく痛くて…… 諦めて、ほとんど気を失っていたら、音が聴こえた。それに似てるんだ。 ──────────────────────── 誰に相談するか、本当に滅茶苦茶迷った。 誰かに相談しようと決めた時、『この人が決めてくれたら安心だな、という人には相談したくない』と思ってしまった。本当にどうしようもない話だけど、一から十まで安心安全の、そりゃそうだよなって感じの納得が行く話にすっきり従うと、その時は良いんだけど後でモヤモヤしてくる。これに関して自分が悪いってことは重々承知だが、あの尊敬に値する人たちに対して変な感情を向けたくはない。心の中でさえ。 連絡先を一覧して、少し下に流した辺りで、変な人が出てくる。あー。まあ……これなら…… ということで。いつも何かとお世話になっている、「演出家」という胡散臭い肩書きで有名なカラブキさんに話してみた。魔法少女になる以前にも1~2回だけ会ったことがあるけど、まあ向こうは自分のことあんまり覚えてないだろうからやりやすい。 3つに分けてアドバイスをもらったので、その時のメモを読み返す。そういえばこのメモ取り癖も褒めてもらったことあったっけな。 第一に、『最低限でもいいから、精神科の受診を済ませておくこと』だそう。バンド云々を抜きにしても、当時を思い出してショックを受けたことに変わりはないので、しっかり様子を見ろというお達し。確かにそうかもしれない。 そう、しばらく普通にそういう話しててカウンセリングみたいな感じだったのに、ここから急に様子が変わったんだよ。 二番目に言ってきたのが、『The bloopとの戦いを演じる上で、そのトラウマは類稀なる才能かもしれない』ということ。 事前情報として、例の敵役のバンドは、モチーフだとか設定の根幹だとかに『恐怖』を据えて、それについて表現することを目指してる集団らしい。まだハッキリとは言われてないけど、僕ら魔法少女との対バンも視野に入れているかもしれないと。僕よりも調べてるんだよなこの人……みんなで知ってからそれほど時間経ってないのに…… その上で、彼らが表現したい事柄の受け取り役として、乙黒くんはこれ以上無い条件が整っている、って言われた。確かにそうかもしれないけど。いいのかなそれ。 互いに晩飯の時間が近かったので、その後すぐに通話は切れた。またいつでも相談してくれと。 そして、暫く話していた最後の最後に、これが一番大事なことだと言って伝えられたのが、『セレスタインは、きっとこんな時にこそ強く励ましてくれて、力を貸してくれる人だと思う』っていう、キャラクター解釈の話。 あー。どうしよ。そう言われたらそうだよな。僕だってそう思うよ。 思い返すと、夜空の星と海が好きって言うのも、ドレスっぽい衣装を着て恥ずかしくなかったのも、全部過去のせいだ。セレスタインはその中からやってきた。誰かを助けるヒーローっていう役割を持って。その”誰か”っていうのが、具体的には僕だったのかもしれない。 ちょっと頑張ってみようかな。流石に眠たくて意識がぼんやりしていたからかもしれないけど、そう思った。
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
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