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個人経営の小さな病院で精神科医として働いている。祖父の第からの病院で、働き手もほとんどいない。 【バレ】 幽季とは恋人である。 最初、医師とその患者として彼と知り合った。 当然節度を持った関係を保っていたが、患者の数もそう多くはない医院で深くかかわるうちに、次第に人柄に強く関心を持ち惹かれていってしまう。 しかし、氷巌には自身にも深い悩みがあった。 それは自身のマイノリティについてである。 氷巌はAセクシャルであり、他者に性的な魅力を感じたことがない。そして、人間性に惹かれてもそれが女性であるか男性であるかは彼には関係がなかった。己がマイノリティの中でもさらに少数派であることを自覚し、肩身が狭い思いをして生きてきたため今までほとんど人と深く関わらなかった。 精神科医を目指したのは己の悩みを解決するため心理学に傾倒したためでもある。 そんななかで、ただでさえ医師と患者として越えてはならない交流をしてきた幽季と何度目かの食事で、罪悪感にかられその事を口走ってしまう。 幽季はそのことを受け入れてくれた。 親にすら話したことがない話を、受け入れられるはずがないと別れ話のつもりで話したそれを受け入れられたことが氷巌には何よりも心に響いた。それに、ただ受け入れられたわけではなく、幽季が真摯に自分に向き合いそこで二人お互いの事情を語り合ったことが。 彼の悩みや家の事情はある程度把握していたが、裕福な家庭に育ったということはそこでしった。 紫色のアネモネを胸に参列する

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