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「あちきは『魍魎荒野』の月見里蒼次郎だよ！……え、知らない？まじで言っております？」 詩人。俳人としても活動しているが、名義は全て本名である。帝都にて幼馴染と暮らしていて、最近は西洋かぶれしているところが散見される。あちこちのテキトーな発言からぱっと見信用には欠けるだろうが、付き合いが長い人間にとっては『なんだかんだでいい人』となるだろう。話しぶりから頭の良さを伺えるが、これは一度医者への道を考えたことがあるから(理由は秘匿含むため後述)。 彼が書いた『魍魎荒野』などを中心とした散文詩は、帝都でいわゆる『文学好きの二十人に聞いたら一人は好きな作家として挙げる』程度の作品である。要するに、人を選ぶのだ。人を選ぶが、その言葉選びに嘘を感じさせることはなく。誠実さが、言葉に現れているようだとある人は語る。 「あたしにはね、”秘密”があんのさ。男には誰だって秘密がある。なァ、あんたは――」 ここからシナリオ『帝都心中』の秘匿があります。 あなたはミルクホウル『宵月』で働いていた女給『フミ』の恋人である。彼女は左目の下にふたつ並んだ三角形のほくろが印象的な美しい女性だ。あなたたちは半年程前に出会い、恋に落ちた。あなたは川田に協力を仰ぎ、彼の助けを受けながら彼女と恋人となる。紛うことなき恋人である。 また、あなたはフミから「恋人であることは内緒にしてほしい」と言われている。あなたは恋人の頼みを聞き入れ、彼女のことを誰にも言わないことにしている。 1週間ほど前から彼女は「少しだけ実家に帰ります」と残しあなたの前から姿を消している。その際彼女から「私の代わりだと思ってくださいね」と彼岸花が刺繍されたお守りを渡されている。これを持つと非常に安心する。POW+1。しかしこのお守りを紛失すると不安によりSAN値が5減少する。 ――帝都心中・秘匿文転載 「ああ、身勝手な女さ。でも、惚れたモンのオレの負けなんだよ」 彼は『フミ』を愛している。誰よりも。医者を考えたのもフミと暮らせる分の金を稼ぐのに一番いいだろうと考えていたから。 内緒にしてほしい？いいだろう。あんたとの約束なら。代わりと思え？いいだろう。そんなこと言ってくるなんて、勝手この上ないと思うがね。 『フミ』との関係は、月見里の中ではあくまで『約束』であり、『秘密』ではない。だって彼女が言うから守ってるだけで、もし「いいよ」のいの字も言われたら帝都中に愛の詩を書いて広めたいくらいだから。 じゃあ、秘密ってなんだよ。 「黒歴史なんだもん！！！！！」 官能小説を書いたことである。何の折かに担当編集、「お前、一辺でもいいから官能を書いてみなさい。物書きってのはそうして力をつけたもんだ」とか言ったんだ。だから書いてやっちまったんだどういうわけか。しかも、しかもフミとの『そういうこと』を想像して書いたものなんて言えるわけがない！！ かろうじてか、あの腐れ外道はあちきの名前を隠してくれたはいいんだが、こっぱずかしいにもほどがある！！お願いだから、こればかりはバレないでおくれよ…… 要するに、ただのギャグ担当である。これが俺たちの帝都心中である。

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