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片鱗 HO1 高校生 劣悪な家庭環境のせいで眠れないことがよくある。酒に溺れる愚かな父と精神を病んでしまった憐れな母、童話に出てくる悪い魔女のような祖母。唯一寄り添ってくれた兄は遠くへ行ってしまった。この家が嫌い。いつか自分の足で遠くへ行けるように免許も取った。ずっとここにいたらいつか本当に壊れてしまいそうだ。 この学校が嫌い。クラスメイトも先生も嫌いだ。学校に私の居場所はない。机に落書き、裏で弄りと称された暴力、見て見ぬふりをする教師。耳障りな笑い声が頭から離れない。大事に伸ばしていた髪の毛も無造作に切られザンバラになってしまった。できることならアイツらに何らかの罰を下したい。私にしたことをそっくりそのまま返したい。ハンムラビ法典にもあるでしょ？目には目を、歯には歯を、同害復讐法ってね。いえ、もしかしたらそんなもんじゃ生ぬるいかもしれない…。 空が嫌い。誰に対しても日は暖かく、恵の前をもたらすその存在はあまりにも公平すぎる、いじめっ子や誰に対しても同じく与えられるその恩恵が気に入らない。だけど、1度だけ、私がどうしようもなく泣きたくなった時に空も一緒に泣いてくれたことがあった。そんな気まぐれな空が好き。誰に対しても平等なそれは私を苦しめることだけは絶対にしない。 図書館で本を読むことが好き。あの空間だけは私を許容してくれている。暇つぶしで始めた読書はいつの間にか趣味となりその知識が転じて昼の空、夜の空を見るのが楽しくなっていた。信用できるのは本と知識だけだ。 私は本が好き。 助けてくれるのなら白馬の王子様でも、なんでも出来る魔法使いでも、凶悪な悪魔でも、誰でもいい。とにかくこの苦痛を晴らしたい。 一人称:私 二人称:あなた、そちら 三人称:あなた達

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