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彼は愛を求めていた。彼自身は何故そうなのか理解していない。いや、しようとしていないだけかもしれない。 彼は幸運なことに、一般家庭より裕福な家庭に生まれた。しかし、不運なことに、親からの愛に恵まれなかった。過度に厳しい教育に幽閉されているかのような息がつまるような生活。 その反動か、名門大学に入り親の目が無い場所で自由に動き回れるようになった途端、彼は愛を求めて彷徨うようになった。 決して悪くはない容姿、そして金もある。そんな彼に様々な人間が、様々な理由で近づいた。幽鬼のような彼は、誰ひとりとして拒まず、受け入れ、そして愛を求めた。そんな関係を持った人間が両手で数え切れなくなった頃、彼に本気になってしまった不幸な女性が居た。 それも一人ではなく。 彼女らは皆「私にだけに愛を」と求めたが、彼は断った。するとその女性達の内の一人がヒステリックに叫びながら彼の顔面に隠し持っていた薬品をかけた。それは顔面の半分を焼き、左目の視界を奪った。 それ以来、彼の人生は変わった。怪我によってそれまでの行為が露見し、家を勘当され、裕福な生活と悪くはなかった容姿を失った。 しかし、彼自身は変わらなかった。己のそれを悪癖と知りながら、知人の探偵事務所に転がり込み生活をしながら、相も変わらず軽々しく愛を求めて人々の元を巡っては、哀れな姿の彼に同情し近付いてきた親切な人にまで愛を囁き、懲りもせず生々しい愛と恨みの証を着々と身体に増やしているうちに、いつの間にか髪は灰に染まった。 そうして向けられる刃も苦痛も傷跡も、全て向けられているのは愛の証に他ならないと思っている。 身体が強いわけでもない彼が何度も病院の世話になりながら、それでも生きているのは、ひとえに彼が人並み外れた悪運を持っているからなのだろう。 アロママッサージの技術はかつての女性に教わり、確かな腕を持っている。 不誠実な天才探偵 常に体中に傷を作っているため包帯まみれ ある1件以来、悪癖はスッパリと鳴りを潜め、随分と大人しくなったと言われることが多くなった。それを乙霧も否定はせず、どこかポッカリと穴が空いたように感じており、自身が悪癖と呼んでいたアイデンティティのようなものを失ったことを自身で理解している。 弟切草（オトギリソウ）の花言葉は「迷信」「敵意」「秘密」「恨み」 アザミの花言葉は「独立」「報復」「厳格」「触れないで」「人格の高潔さ」「人間嫌い」 通過シナリオ↓ 1.身裂館殺人事件 【HO3】探偵　28歳 【同行者】小桜 華莱　夾竹桃・(ビバーナム)・細葉榕 　鬼灯 柘榴 【呪文】 2.花とひきがね　29歳 【同行者】世良 鸞

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