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カエラズノケンHO2 セロ・フィッツロイという登山家は、放っておけない無謀な登り方をするどうしようもない男だ。ただ、そんな登り方をしている彼の瞳は彼自身の深い内側にも向けられていて、そうしたところでひとを惹きつけるところのある男でもあった。 無謀なところを冷静に諌めるのは自分の役目で、怪我をしたことに小言を言いながら手当をするのも自分の役目だった。 今にして思えば、もともと読書が趣味だったとはいえ、彼をフォローするために医学書などにも手を出していたのかもしれない。 山との対話で育まれた彼自身の哲学論を聞くのは、彼との登山における私の楽しみのひとつであった。 決して無茶をするな、と送り出した彼は、次の登山の約束をしてあっけらかんと山へ向かった。 その約束が果たされることは無く、それ以降、夢を見る。 果たされなかった約束を、彼を悼んでいるからか？彼を恨んでいるからか？それとも、自分も登山家の端くれらしく、彼が戻って来られなかった山に登ることで追悼としたいからか？それともかの山自体に呼ばれている？ 彼と一緒に登山をしていた頃のように冷静に努めようとして、その実、自分に余裕がない。 彼に倣った無謀な登山を自分ができるわけがない、自分は死にに来たのではない。 約束を違えた彼の身に何があったのか、それを知るために来たのだ。 特徴表：眼鏡を掛けている。(眼鏡を失うと目星マイナス20) 2022/9/12 カエラズノケン～狂気山脈第三次登山隊の顛末～ KPあうるさん PC 茅潜 伊吹、山川雨奈 セロ。お前から山を奪ったこと、恨んでくれてかまわない。けれど、お前が次を望んでくれるなら。…次は約束を守ってくれ。

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