タグ： 松神 談話室卓

成長記録　 聞き耳初期値、図書館初期値、目星C 剣道に対し激しい妄執を抱く父親に鍛える名目で虐待同然に育てられ、顔や背中、腹部等に多くの傷跡がある青年。 しかし彼自身は父に対して憎しみなどは抱いておらず寧ろ肯定的に考えていて、強くなるために仕方の無かったことだと考えている。その考え方と父親譲りの性格故か、非常に荒々しく攻撃的な思想の持ち主に育った。母親の熱心な教育の甲斐あって人を殺したりなどはしていないが、試合や喧嘩となるとどんな相手にも一切の容赦が無いので周囲の人間からは非常に怖がられている。 本人はそのことをどうとも思っていないが、この性格を直さない限り道場の師範を継ぐことは無理だろうと友達に言われそのことだけは悲しく思っている。 父親との関係は良好だった。剣道の才に恵まれず剣道への愛故にひたすら妄執に駆られてしまった父親は、自分の子供全てに虐待同然の厳しい育て方をした。その子供たち三人の中で最も剣道の才に優れていたのが三男の隼人で、そのことが判明すると同時に上の兄二人は多くの傷跡を抱えながらもその地獄から逃れ出ることが出来た。 結果的に父親が最も愛を注いだのは隼人であり、隼人にとって父親は良い剣道家ではなかったが、それでも自分を最も強くしてくれる人物だと信じていた。 しかしある日、隼人は運命の出会いを果たす。隼人の祖父に当たる万代 繁一との出会いだ。父親は祖父との折り合いがどうにも悪かったので祖父と隼人が出会う機会はほぼ無かったのだが、ちょっとした大会で自分の祖父であろう人物をたまたま見かけてしまった。 父親とは全然違った。立ち振る舞いも、物腰も、そして何より……強さが。一目見てその判断に至った隼人は、そのすぐ後に自分の才能は父によって育てられたものではなく、祖父から受け継いだものだと知った。関係は瓦解した。 隼人にとって父親は己を強くする装置、道具だ。それ以上でも以下でもなく、それに価値が無いのだと判明してしまえば隼人にとってそれはただの邪魔な玩具でしかなかった。その日隼人は初めて父親に逆らってみた。祖父の道場へ赴き、教えを乞うた。わかったのは、隼人にとって父親は玩具と相違ないという事実。 隼人は、父を棄てた 惨めに地面に転がる父親を冷たく見下ろしながら、静かに溜息を吐いた。 一週間後、祖父の道場で父親の自殺の報を聞いた隼人はただ……やっとか、と呟いた。 現在は体育大学にて特待生として頑張ってます！

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