タグ： オカマ イギリス

　少年時代、可愛い物が好きで女の子と遊ぶ事の多かったリキッド。まるで少女のように美しい容姿に、引っ込み思案で淑やかともとれる性格も災いして、同年代の男の子達からイジメを受けていた。その結果、男性に対しては強い警戒心を、女性に対しては信仰に近い憧れを持つ事になる。 　女性的な美しいプロポーションを手に入れるべく、筋トレやジョギング、バランスの良い食事を徹底した結果、身長は200cmを超え、最高に美しく屈強な身体(筋肉)を手に入れる事に成功したのだった。 　そんな彼が冒険家になったのは、世界の美しい景色を見たいという思いによるものである。 　まだ少年だったあの日。親友である少女に手をひかれ家出した夜。一夜の2人ぼっちの大冒険。 　泣き虫な少年の手を握り、不安を隠して少女は言う。 「今は暗くて不安な事が沢山あるけど、きっと歩き続けた先には綺麗な優しい世界が広がるんだ。辛かった事の何倍も、楽しい未来がきっと来るから。」 　そうして見上げた夜明けの空。暁に染まったモーニンググローリーを、2人は一生忘れない。 大人になったリキッドは今日も美しい世界を探して旅をするのだ。無知で無垢で無邪気で、ただ夢中で足掻いた少年(自分)に誇れる世界を見つける為に。 　尚、20代の頃にジャパニメーションにハマった結果、日本に拠点を構える事になったリキッド。今日もとある地域の二丁目で、オカマの極み乙女達と美を語り合う。 　行き着けのBAR『OH！カマンベール』は常連客には「オカマン」と呼ばれている。 　オカマンに集まる常連客の中でもリキッドは古株であり、熟練のオカマ先輩として、自身の性別に疑問と悩みを持つ同志や、恋に悩む若人の悩みを親身になって聴く。その為、BARの常連客からは「お姉タマ」と親しみを込めてよばれている。 　彼の見る世界はいつだって美しい。どんなに醜い現実の中にあっても、彼はきっと一握りの輝きに辿り着くだろう。だからこそ彼の冒険は続く。 　オカマの気高さと、オカマの誇りを世界に示す為に。─────いや、違った。美しい世界と出逢い、己が美しく生きる為に。 ■魔法亡き世界

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