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雨夜 史桜（あまや　しおう）。 小説家志望の文学部生。 大学二年生。 劣等感を抱えた男。 自分は劣ったところばかりだと思っている。 ちゃんと優しいのだが、人のことを褒めるのは、劣等感があるからこそかもしれない。 本を読むのが大好きで、小説家になりたいと考えている。 しかし、才能がない自覚がある。 書道の才能溢れる弟を、誇りに思っている反面、うらやましいと思い、嫉妬もしている。 しかし、嫉妬の感情を分け、弟のことはいつも褒めている。 何もかも弟に負けている。 弟のことは兄として大好きだ。 でも、何もうまくいかない自分を彼と比べてしまい、憎みの感情を抱えきれなくなってしまいそうだった。 だから、大好きなはずの弟を嫌いになってしまう前に、助けになってやれなくなる前に、憎む前に。 兄でいられなくなる前に。 死のうと思った。 弟は僕と一緒に死んでくれるだろうか。 一人で死ぬのは寂しいから。 一緒に死んでくれるなら、それは僕をちゃんと愛してくれていたってことになるし、僕が一番ということになれるかもしれない。 自分が好きになって死ねるかもしれない。 僕は自分勝手、だね。

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