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小さい頃から私のことを思って厳しくしてくれてた母が大嫌いだった。幼い私は母が考えてることも、何故それをしないといけないのかもわからなかったから。 だから逆に優しい父が好きだった、大きくなったらお父さんみたいな優しい人と結婚すると決めていたほど。 父は優しく、医者をしていて 私に「いつでも弱い人の味方でいるんだよ」と教えてくれた。最初は単純に捉え医学の勉強を一緒にしていた、でもそんな父も私が大きくなるにつれ仕事で帰らない日々が多くなった。 私はとても裕福な家庭で育った。そのため行かされた学校も厳しい人たちばかりで競争が激しかった。友達は多いし周りにはいつも沢山人が集まってき た。でも‘いつも1番じゃなかった。 だからテストの点も順位も‘生徒会立立候補者投票で副会長になってしまったことも全て母にだけは言いたくなかった。1番じゃないと怒られると思っていたから。 後から父に聞いた話だと、母は『厳しくするのは、いいところには行かせてあげたいからそれまでだけ』と思っていたらしいが、当時の私はそんなこと知りもしなかった。 日々‘自分の中で生まれた身勝手な重圧に殺されそうになりながら過ごしていた中学2年の春、父の言いつけも厳しい母も裏切りたくなった。 先輩が卒業していく中、若いスクールカウンセラーの新人先生が入ってきた。ある日‘その先生と目があった。私が微笑むと先生は顔を赤らめ目を逸らした。 そのとき私はいっそのことすごく’悪いことがしたい’そう思った。だからこの人に私の春を売ってやろうって決めた。 その関係は高校生になっても続いた、けどずっと気持ち悪いと思ってた。私の愛を誰に向けていいのかも 生きてきてずっと分からなかったから春を売ろうと思ったのに‘春を売っても帰ってくるのは白い煙とお金だけで何もなかった。 今思えばただのあてつけに過ぎなかった、勝手に酷い人と思い込んでいた母や父への。 高校2年の春、母が死んだ。若い頃からの病気だったそうだ。 母の部屋からは私に宛てた沢山の手紙が見つかった。母は孤児院で育った、だから母方の祖父も祖母もいない。愛情のかけ方も伝え方もわからなかったのだろう。 ただ、ひたすらに私を愛していたことだけは、その時はじめてわかった。 母は花が好きで花言葉に詳しく『正義感』という花言葉を持つ竜胆（リンドウ）という花からとり私は『漂』と名付けられた。 それを高校生の頃母を亡くしたあとに父から聞き「正しい人になろう」と決心する。安直ではあるが、だらしなく生きてきた私にとってはそれだけで十分であった。 母の病気を知らなかった私はそこから医学について勉強しようと思った。幸い幼い頃に医者だった父のそばで医学について少し勉強していたため楽ではあった。たまに父にわからないことを聞いては母を思い出した。 父はその後医者をやめ「母のことをずっと胸の中に留めておきたい」とお花屋さんをしている。 私は正義の味方になるために法と医学を学べる大学へ行き、大学の先輩からの紹介で探偵事務所の社員になった。 この職業なら弱い人の味方になれるから

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