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クトゥルフ PC作成ツール
暗乃 幽化
ID:4208794
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暗乃 幽化
タグ:
よこむき
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
現在値
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APP
SIZ
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初期
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デア
幸運
知識
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SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
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技能
職業P
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(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
あんの ゆうが オリジナル職業、レストラン支配人 聞き耳、図書館、制作(料理)、信用、値切り、経理、心理学、博物学 都内の田舎にある森林地帯、その奥でひっそりと経営されているレストラン。そこはごくごく限られた人物のみが知っている超高級料理店。 暗乃家の一人息子である暗乃幽化は、そのレストランの2代目の支配人である。幼少の頃から箱に入れられるように、お客様対応から料理のことまですべてを教え込まれ、早死にした両親の後をしっかりと継いでいる。 …しかし、前述したように、箱入りで育ったため、如何せんお客様や自分の下で懸命に働いてくれるシェフや給仕担当以外の人間との関わり方が分からない。彼の嫁となる人間が、主にそれの被害にあっていた。 暗乃の嫁、暗乃××。彼女との出会いは4歳の時…、箱入り教育時代のことである。両親の熱心すぎる教育に耐えかねた幽化はレストランを抜け出し、森の中で1人泣いていた。 「あなた、ないてるの?」 その声に気づき、顔を上げて見ればそこには自分と同じ歳ぐらいの女の子が立っていた。 「泣いては、いけないですか」 年に似合わない言葉遣いで返した。 「いけないって言ってないじゃん!」 「じゃあ、なぜおききになったのですか」 「んー、きになるから!」 「…父上が……」 これが全ての始まりだった。 この日から、定期的に女の子…××と幽化は会って話をするようになった。××はびっくりするほどのお人好しで、びっくりするほど抜けていた。一方幽化はその出会いの頃から、唯一本音で話せる存在として××にゾッコンだった。5歳になる頃には料理は作れるようになっており、会う度にお菓子を作って渡していた。自分の血液入りのものだ。しかしお人好しで抜けていた××はその事には全く気づかなかった。仕込み作業等の開店前作業をしなくてもいい日は、ひたすら××の観察。登校する××を眺め、授業を受ける××を鑑賞し、帰宅中の××を凝視した。そんな日々が17年経った。しかし、この感情を表現する方法はまだ上手くわかっておらず包丁はいまだ彼の手首を傷つけ、そこから溢れた血は××の口へと運ばれるジャンドゥウヤの中で鎮座していた。その様子を恍惚とした笑みで眺めていると、ふと××の顔が赤らんだ。 「私たち付き合わない?」 「…付き合うとはなんですか」 「その…愛し合う関係になりませんかって…ことなんだけど…」 この言葉を耳にした幽化は、興奮と貧血により倒れた。 間もなく、2人は結婚した。誰にも祝福されない廃教会で2人だけがステンドグラスの影を作る。薬指に交わされた契約を、天に昇って行った両親達に向けて掲げる。感謝の気持ちと、ざまぁみろの気持ちを込めて。自分は両親の立場も、自分の幸せも、もぎ取ってやったのだと。 しかし、程なくして××の容態が急変する。 不知の病だった。 レストランを放棄し、ひたすら××に付き添った。 「こいつァ高くつくぜ、支配人サンよ」 「勝手になさったらどうです」 料理長が彼の代わりに取り仕切ってくれていたが、礼を言う余裕は彼にはなかった。 ××の手を握りながら玉のような汗を流し、できるだけ優しい声色で、震える唇から子守唄を歌う。 「…ゆうちゃん」 「もういいよ」 「ありがとう」 幽化はそのかすれた言葉に応えなかった。子守唄を囁くように歌い続けた。 「ゆうちゃん」 「……あなた、ないてるの?」 心電図が終わりの音を鳴らす。それでも彼は歌うのをやめなかった。 それからというものの、彼の本領が発揮される。毎日毎日自殺を繰り返す支配人に、それを止めるレストラン従業員達。支配人としてのプライドがあるのか、しっかり仕事はしているものの、少しでも目を離せば縄を持ち、刃物を持ちの毎日である。もうずっとここ8年間同じ状況だ。そろそろお手上げだと従業員達が音を上げ始めた頃だった。 「ごめんください」 1人の幼い少女がこの森の奥地にあるこの店に尋ねてきた。しかもこの仕込み時間にだ。 外は雨、少女は傘を忘れたのかずぶ濡れだった。 「みちにまよっちゃって」 出迎えた給仕担当にそう告げる彼女。小学生だろうか。ランドセルを背負っている。 「あら、それは困ったわね。しかもあなたずぶ濡れじゃない。風邪ひいちゃまずいわ。支配人に車だしてもらおうかしら」 「しはいにん?しはいしてるなら、あなたよりえらいんじゃないのですか?」 「冴えてる子ね。いいのよ。彼、今仕事を与えてなきゃ死んでしまうから。」 「ふうん」 「何何!?おやまー!べっぴんさんなお客様だ!どうだい!!今日出す予定のデザートを1つ食べて行っておくれよ!!純粋な感想に飢えていたんだ!!」 珍しい客人が来たと聞きつけ、レストラン従業員がわらわらと沸いて出てくる。 「おう、本当に嬢ちゃんじゃねえか。俺のスープ食ってくか?普通のスープが泥水味になっちまうがな」 「キャーー!!かわいい〜!!ネェネェ〜??お紅茶入れるからァ!!お姉さんとお話しよォ〜!!とっても香りがいい茶葉なのォ!!」 「フン、ただのガキにこんな興奮しちまって…おいお前怪我してるじゃねぇか。消毒してやるからこっち来いよ」 「おい!そんなグイグイ引っ張ったら可哀想だろ!!僕が抱っこしてあげるね。それともおんぶがいい…?女の子だし…お姫様抱っこかな……?選ばせてあげるよ…」 「それ…せくはら…」 「ソウダソウダッ!!ヤラシイヤツメ!!キサマロリコンカ!?」 「全く…バカどもがうるさくてごめんなさいね?ところでアナタ…磨けば光るものを感じるわ…。いらっしゃい、あなたに合うお召し物に心当たりがあるの。今の服も洗濯して差し上げるから。おいでなすって?」 「あんた、オネェだからって許されると思ってんの?」 「うるさくてごめんね…っごめんね…っ、びっくりするよねっ…バカ共がごめんね…っ」 「誰がバカじゃブッ殺すぞォ!?」 「あ、あはは」 たちまちレストランは大騒ぎ。 道を教えて欲しかっただけなのに、少女は従業員達の玩具になってしまった。 「うーん」 「騒がしいですね」 首吊り自殺をしようとして料理長の峰打ちを喰らいダウンしていた幽化は、わいのわいのと騒いでいる従業員達の声によって目が覚める。 寝ていて崩れた髪や衣服を鏡を見ながら手でさっさと整え、中央ホールへと向かう。喧騒の元はここからだ。 「一体何をしているんです」 観音開きの扉を、音で牽制するつもりでバタンと開く。 従業員の塊がこちらを向く。その塊はある人物を中心として生成されていた。そこに目をやる。 そのある人物は、××と瓜二つの見た目をしていた。 思わず目を見開き凝視してしまう。着飾られた××に瓜二つの人物は、「おじゃましています」と申し訳なさそうに幽化に告げる。その言葉を皮切りに、幽化は大粒の涙を零して泣いた。 「ご自宅はどの辺ですか?」 「えっと…○○町の6丁目66番地です」 「随分歩かれていたんですね。」 「…はい、歩きたい気分だったので」 「では出しますね」 「よろしくお願いします」 あの後、「最高のおもてなしを、お客様に」と声を上げた幽化の号令に続き、結局フルコースをいただくことになってしまった。服もひと目で上質なものと分かるドレスを着せられており、濡れてしまった服もしっかりとアイロンがけされた状態で、袋に入れてある。普段のレストランでは見送りは給仕担当のみだが、料理長なども外に出て少女との別れを惜しんでいる。 「あの、なにからなにまでありがとうございます。おりょうりもすごくおいしかったです、お金はすこしずつはらいますので…」 「子供がそんなことを気にする必要はありませんよ」 「…」 「…」 「…あの」 「ええ、なんでしょう」 雨の中の夜道で車内はとても暗かった。お互いの表情はうまく確認できない。 「あつかましいってわかってるんですけど…またきてもいいですか?」 「いつでも来てください。なんなら迎えの車も寄越します。ですがあなた1人で、です」 「わかりました」 どう考えても警戒するべきなのに、この少女は応えてしまった。幽化は車を止めた。 「あの…えっと…?」 少女は恐る恐る幽化の方へと顔を向ける。 「泣いてるんですか?」 「…すみません」 「だいじょうぶです、おとなも泣くんだなぁっておもっただけです」 「…」 「泣いてるりゆうをきいてもいいですか?」 「……あなたが死んだ私の最愛の人にそっくりだからですよ」 「…………へんなはなしをしてもいいですか」 外は止めどなく雨が降りつけ、ボンネットやガラスを叩いている。 「どうぞ」 「わたし、ものごころついたときから、わたしの知らないきおくがあるんです」 「…」 「でも、さいしょからおぼろげで。どんどんわすれていってるんです。たぶん、おとなになったらぜんぶわすれちゃう。それがこわくて、きおくをたどってあるいていたら、あなたのレストランにたどりついたんです。」 「……」 「わたし、あなたの…さ、さいあいの人?かはわからないです。でも、わたしのたましいは、あなたにあいたがっていたと思います」 「………あの」 「はい」 「紳士として宜しくないこととは思っていますが」 「はい」 「あなたに触れても?」 「いいですよ」 少女は何の警戒もせず幽化の方に片手を差し出す。その幼い手を、彼の大きな両手が包んだ。 「つめたいですね」 「あなたはとても暖かいです」 「…突然すみませんでした。帰りましょうか」 「……はい」 そう返事をする少女の頬は、心做しか紅潮しているように見えた。 それからの喑乃の奇行は自殺から、また以前のように自分の体液を彼女の中に入れ込むようなものへと変わっていった。今回ばかりはレストラン従業員も1度少女と関わってしまっているため、そうはさせまいと全力で止めている。 「あんたこの子と何歳離れてるかわかってんの!?」 「愛に年齢は関係ないでしょう!?!」 「お前の愛ってヤツぁ…重すぎんだよッ!!!」 「知りません!知りません!!これが私の愛情表現なんですッ!!」 何はともあれ、8年間暗闇に閉じ込められていた幽化の精神は、少女の登場によって再び光が差し込んだのだ。 幽化は年甲斐もなく××にしていたようなストーカー行為を少女に対しても繰り返して行っていたが、不審者情報に1度載ってからレストラン従業員が全力で止めることになった。 「でもなァ、俺思ったんだけどよ」 「何よ急に」 「今まで支配人と俺らの中ってサ、ちょーッと隔たりがあったよなァ」 「…否定はしないわ。」 「でもよ、あの子が来てから支配人も笑うようになってよォ、なんかスゲー打ち解けたって言うか」 「確かに、あの子が来てくれてから私たち自身も支配人と関わるようになった感じはあるわね」 「元よりこの職場に文句あったワケじゃねぇが、今はスゲー良いな。」 「そうね。すごく良い」 「…今日もよろしく頼むぜ」 「ええ、こちらこそ。信頼してるわよ」 少女は1、2週に1度程度定期的に遊びに来ていた。 電話で連絡が来て、指定の日時に駅前の集合地帯まで車を出す。それがルーティンだった。 「あんのさん!」 「お待たせしました。それでは向かいましょうか。」 開店前の仕込み時間に来る特別なお客様。 従業員の誰もが彼女を心待ちにしていた。 「ようこそおいでくださいました!」 「いらっしゃ〜い!待ってたわ!!」 「よォ嬢ちゃん!今日は良い肉が入ったんだ!絶品だぜ?ガッツリステーキなんてどうだ!?!」 「あァーん!ダメダメェ!私のティーセットをお披露目するって前に話してたのよォ!」 「このめにゅー…きょうのわたしのたんとう…えらんでくれると…うれしい…」 「コイツ、オマエサンガクルッテキイテ、モウレンシュウシテタンダゼー!」 「…いうな」 「ギエー!!オタスケーー!!」 わいのわいのと少女に群がる従業員達。 「あはは、えーっと…」 そこにパシンパシンと乾いた音が響く。 「はいはい、彼女困ってるでしょう?皆さん仕事に戻る!!」 「ちぇっ…しょーがねーなー。またあとでな!」 「んもー、支配人はその子を独り占めできていいわねぇ」 「ばいばーい、仕事終わったらまた遊びに来るねぇ」 喧騒は散り散りになり、また2人きりになった。 「ふぅ、すみませんねぇいつもこの調子で」 「えへへ、たのしいからだいじょうぶ」 少女の笑顔に、思わず幽化も笑みがこぼれる。 「では中央ホールまでご案内しますね。」 「はい」 いつまでこんな日が続くかなんて分からない。もしかしたら唐突にパッタリ電話が来なくなったりするかもしれない。彼女が××の生まれ変わりだったとしても、彼女の人生はまた新しいものだ。何故だとか、どうしてだとか言えるような権利はない。今の関係性だって、あくまで、店員と顧客。特別とはいえ、それ以上でも、以下でもないのだ。それでも今、私達がこの少女の幸せの一つである限り、最高のおもてなしをする、それが幽化達にできる精一杯だ。もう一度笑顔にさせて頂く権利を貰うために。 「あの」 「お電話ありがとうございます、明日、いつもの場所にいつものお時間にお迎えにあがればよろしいですか?」 「あ、はい…えっと…」 「……どうかされましたか?」 「いつもおせわになってるみなさんに…わたしもなにかできないかなってずっと思ってて…」 「ええ」 「クッキーを…やいたんです…でも、みなさんおりょうりとかすごいべんきょうしてるかただから、たべてくれないかもって…」 「…はは、そんなことですか。心配ご無用ですよ。むしろ数が足りないと戦争が起きてしまいそうなのでそっちの方が心配ですね」 「あ、あはは。たくさんつくったのでだいじょうぶだとおもいます!」 「私も楽しみにしておりますね」 「はい!ではおやすみなさい!」 「おやすみなさい」 クッキー…。少女が作ってくれたクッキー。少女のぬくもりを受けて型抜きされたクッキー。少女が一生懸命考えてデコレーションしたクッキー。そう考えるだけで興奮して眠れなかった。 「うっわ支配人顔怖」 「あの子が怖がるから昼のうちに寝ておきなさい!もぅ…昨日の電話で何を言われたのか…」 「いえ…私が彼女に会えることが嬉しくて眠れなかっただけです」 多分、少女的にサプライズにしたかったのだろう、クッキーのことは言えなかった。 「………支配人、流石に小学生に手ェ出すなよ?そこまで行ったら俺も擁護できねェ…。妄想に留めておいてくれよ……?」 どうやらあらぬ誤解を招いたらしい。そうではない。右手は疲れていない。 なんであれ、この顔で少女に会うわけにもいかないため、白湯で身体を温めてから眠りについた。 集合時間に、集合場所に出向いたが、そこに少女の姿は無かった。 地面に、可愛らしい包装が施されているクッキーがひと袋落ちていた。踏み抜かれたようで、中身は粉々になっている。 嫌な予感が脳裏を過ぎった。急いでレストランに電話し、従業員総出で捜索をした。幸い今日は予約人数が少なかった為、すぐに従業員達は駆けつけてきた。 それからは集合場所に1人従業員が残り、他の者たちは街の至る所を隈無く探した。大変お人好しな少女だ、もしかしたら街にいるおばあさんを助けたりしてて遅れてるのかもしれない。きっとそうだ。みんなそんなことを考えながら夕が染めていく街を探し回った。 幽化の携帯に電話が入る。 「見つかりましたか!?」 「……見つかった、けど支配人は来ない方が…」 「………………場所、教えてください」 「支配人、頼むよ…俺……もう…………あなたが何かを抱えてしまうのが……」 「いいですから早く!!!!」 マップで現在位置と目標位置が示される。 それを確認して、全力で走った。もう髪の乱れだとか、服の皺だとか、そんなことはどうでもよかった。 少女はまるで救世主の死に様のように壁に張り付いて死んでいた。手は翼のように釘で壁に縫い付けられ、胸の部分にはぽっかりと穴が空いていた。額にも釘が刺さっていたのだろうか。穴が空いているが、全身の重みに耐えられなかったのだろう。穴より上の部分が崩れ、頭骨や脳が外へ飛び出し、釘にひっかかってしまっている。そんな凄惨な状態でも、何故か顔は綺麗なままで、血は顔を避けて通るように下へと落ちていた。その様相は1周回って神々しくも思えてしまうような異様な光景だった。 「なん、ですか、これは」 「…支配人」 「なんなんですかこれは!!?!?!?何かのイタズラですよね!!?ねぇ!!?」 「お、落ち着けよ。」 「何故そんなに冷静なのですか!!?!?おかしいでしょうこんなの!!?!?!?人の死に方じゃありませんよ!!?!?」 「は、はは、冷静じゃねぇよ。意味わかんねぇよ。夢なんじゃねぇかってまだ思ってるよ。頭を何度叩いたってこの景色は変わんねぇんだよ。おかしいだろコレ、はは。ははははは」 そう言う彼の額を見遣れば、少し膨れ上がっており、部分的に出血していた。 「ヒッ…キャァァアアーーー!!!!!!!」 その声に後ろを振り返れば、連絡を聞いて駆けつけた給仕担当の女性が金切り声を上げていた。 「どうして…!!?どうしてこんなッ……!!?こんな幼い女の子に誰がこんな惨いことができるのよッ!!?!?」 少女から出来上がった血溜まりの中に、大きな紙袋があった。中にはぎっしりと個包装されたクッキーが敷き詰められている。集合場所に落ちていたものを合わせて、従業員の人数分入っていた。 間もなく、警察が到着し、従業員達は一人一人事情聴取に協力することとなった。しかし、警察からの対応は散々なものだった。そもそも幽化含めレストラン従業員達は全員、少女の秘密の友達であって、両親や学校の同級生達もその存在を知らなかったのだ。当然この事件の犯人として疑いの槍が向くのは当たり前の結果だった。しかしレストランの存在を知っていた警察上層部が幽化達従業員が疑われていると分かれば対応は早くなり、結果として証拠不十分として数日で解放はされた。 「ええ…あなた達には知らぬ間にうちの子が色々とお世話になっていたようで…」 「いいえ、お世話になっていたのは私達の方です。彼女のおかげで私達のレストランはチームワークを高めることが出来ました。式に参列させてくださいなどとは言いません。何かお手伝いさせて頂きたく……」 「いえ…」 「お願いします!彼女に何かをしてあげられる最期のチャンスなんです…!」 「い、いえ…もう…関わらないでください……」 「え…」 「すみません…あなた達が事件に直接関係無いことはわかっていますが…分かってはいるんですが…」 「誰かを恨まずにはいられないと…」 「…」 「大変、失礼いたしました。」 幽化は深々と頭を下げ、家を後にした。 「…そうだったのね」 「支配人…気を落とすなって…きっとご両親だって…」 「…いや、分かってるか言わなくたって…」 「ええ…わかっています。分かってはいるんです…。」 「しはいにん…」 「シハイニン…」 「すみません、私はしばらく部屋にいますね。」 それからというものの、幽化の生活はまたあの暗黒の8年間の頃に戻ってしまった。 従業員達もいよいよ彼の表情は戻らないかもしれないと肩を落とす。そうだったとしても、今日も今日とて選ばれたお客様に最高のおもてなしをする。彼にはそれしか生きる選択は残されていないからだ。自殺未遂を繰り返しながらもプライドだけでレストランの支配人として生き続ける彼の姿はもはや亡霊のようだった。 ところで、何も知らなかったとはいえ長年幽化の血を与えられ続けてきた××の一生は短かったものの、その他人の血を多量に摂取したという経歴から、実は悪魔に魅入られていたりする。 悪魔は幽化との再会を望む××の魂の声を聞き入れ、前世の記憶を保持したまま輪廻転生をさせたのだ。但し、やはり相手は悪魔。勿論タダでは許さなかった。少女が10歳の誕生日を迎えると、それまでの記憶の一切を奪うことを条件に悪魔は願いを聞きいれたのだ。また、この契約は幽化への愛の告白をした場合は禁則事項となり契約以上のものを支払うこととなっていた。 悪魔は愛情に付け入ることも多いが、愛情自体には弱いからだ。クトゥルフ神話の神話生物はどうか知らないが。 …少女の遺品は証拠品として回収されている。少女が何を伝えようとしていたのか、幽化は一生を持っても知る術は無いのだ。 ★ロールプレイ用メモ ・幼少の頃から、××を除くと両親、従業員、お客様の3種類の人間とだけしか絡んでおらず、「友達」「恋人」となると距離感を見誤りがち。 他人のパーソナルスペースにずかずかと土足で入ってしまう。精神的にも物理的にも。(自分がされても困らない為、余計にタチが悪い。) 分からない為。輪廻転生後の××への対応がまあまあ大人しかったのは、「お客様」とみなしていたことに由来する。 ・逆に「お客様」認定した場合、一定の距離を保った関係性になる。判断基準は結構適当。 ・基本敬語。というか敬語以外のしゃべり方を知らない。 ・身なりにはかなり気を付けている。ショーウィンドウの反射を見て髪型を確認してから集合場所に向かうようなタイプ。まあ本人が綺麗でいたいというより、職業柄…といった理由。 ・友達居たことないという衝撃の経歴
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
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エラーメッセージ
「クトゥルフ神話TRPG」は
ケイオシアム社
の著作物です。
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