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九重　小慈郎　（ここのえ　こじろう） 21歳　男　学部3年生　彫刻科 九州の名家、九重家の長男として生まれる。 旧帝大か医学部しか家族と認められない学歴差別の激しい家庭で育つ。それに従って勉強ばかりしている子供だったが、高校2年生の時に美術館で出会った彫刻作品に魅せられ、その作品を作った彫刻家や美術作品を漁ることに没頭するようになる。そのまま作る方にも興味が向き、東京の美大を志望するようになった。 彼の主だった制作コンセプトは「抑圧からの解放」である。木材とFRPの複合表現により現実の中に感情を具現化するような爆発力のある作品を制作する。物静かな印象の学生であるため作品とのギャップから、周りの学生からは「本当は人を殺したいとでも思っているのではないか」と根も歯もないことを言われたりする。 グループ展5回参加、学外内コンペの受賞経験あり。学内奨学生。 ある理由から就職をしなければいけなくなってしまったが本当はアーティストになりたいと思っている。制作以外のことに正直興味はない。 秘匿 姉　九重　沙依子　（ここのえ　さえこ） 22歳　女　社会人　高卒 九重家の長子。九重家は旧家であるため九州の男女格差が根強く残っており、「女に学歴はいらない」とされ高卒で父親のコネのある会社に無理やり就職させられた。しかし東京の美大への進学を志望している弟の強い希望に魅せられ、4年前に姉弟で半ば家出するような形で上京した。そのため実家では勘当のような扱いを受けており4年間一度も帰省していない。上京し総合職に中途採用され、わりかし安定した収入を得ているが、小慈郎の学費が高額なためかなり生活費に苦労している。が、小慈郎にそれを悟られないよう頑張っている。 鬱屈とした家庭で育った反動か明るく気丈な性格であり人から好かれるタイプ。 初めて恋人を小慈郎に紹介した時、彼が地獄の門番が如き烈火の怒りを滲ませていたことに彼女は気がついていない。 小慈郎が焼いたパンケーキがすき。 「こーちゃんまだ学生やけん、おねえちゃんに全部任せておけばよかと。何にも心配いらんけんね。」 「ほんでやっちゃん（恋人）なぁ、なんて言うたて思う！？「仕事終わらなくて行けない、ごめん」やって、今日うちん誕生日だで！？も〜〜！」 小慈郎はついに、彫刻家として生きていくことに腹を決めた。姉に恩返しをするのはもうすこし先になってしまうかもしれない。自分のせいで家族と勘当してしまった姉に、まだ迷惑をかけ続けてしまうかもしれない。それでも彫刻を作りたい、姉が応援してくれたこの夢を叶えたい。そう決めた日。姉ちゃんが今日旅行から帰ってきたらこのことを話そう。 姉は、帰ってこなかった。夜がずいぶん更けても一本の連絡もなかった。朝と夜の間に、待ち望んでいた電話がかかってきた。電話に出る。相手は姉ではなかった。 バチが当たったのだ。自分だけ自分のために生きようとしたバチが。姉ちゃんはずっと俺のためを考えていてくれたのに。俺だけが。 「あなたは憂う」 俺には時間がない。就職するなら卒業までに自分の創作を確立させなければいけない、大学の資料をしゃぶりつくさなければいけない、いける展示には全て行かなければならない、家事もしなければいけない、なにより沙依子に会いに行きたい。クソッ、こんな学校都合の授業がなんで必修なんだよ… いいそうなことリスト 「九重小慈郎、彫刻科3年、よろしく」 「所詮美術大学にくるやつに常識的なのがいるわけがない」 「自分は日々「人間の感情」…いえ、それだと話が大きすぎる。徹底して「自分の感情の発露」のために探求し、それを表出するように努めています。印象派の画家が 「（作品が良くなくて）自分でも理解しています。もう少し見識を深めます。」 「姉ちゃん、昼飯パンケーキ焼いたばい」 「旅行！？………わかった、いってきんしゃい。気ばつけんしゃい（あのクソ野郎姉ちゃんになんかあったら殺す殺す殺す殺す………）」

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