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≪HO3≫ 探索者③はクラスで一番頭の良かった”猫山(ねこやま)”と仲が良かった。 猫山は気さくで話しかけやすく、クラスの中心人物だった。 半面、どこか冷めていて、10歳にしては大人びていた気がする。 探索者③はそんな彼と頻繁につるんでいた。 --- 警察庁科警研法科学第三部化学第二研究室所属の研究員。研究員主任。毒物のスペシャリスト。 色々なものに興味を惹かれるが、非常に飽きっぽく継続して何かに関心を持ち続けるのは稀。 飽きっぽいが執念深い。恐らく殺されたら7代どころではなく相手の魂が擦り切れて消滅するまで祟る。 基本的に直ぐに興味を失うが、もし継続して惹かれるものがあれば…どうなっちゃうんだろうね。 形から入るタイプなので普段から慇懃無礼な敬語。この方が賢そうじゃありません？え？その発言が馬鹿っぽい？おやおや失礼ですねえ。 実際国家試験に受かっているわけなので頭は良い。科警研の採用試験は院卒でないと受からないと言われているが、幸運と言いくるめにクリティカル出しているので普通に大卒で現在の研究室に所属している。 猫山とは小学4年生の頃初めて出会った。 4年生の新学期。クラス替えの張り紙を見て、ああ今年はD組かとどうでも良いことを思いながら教室に向かった。 黒板に張り出された出席番号順の席順を見て、自分の席に着く。 ぼーっと窓の外を眺めていた時、聞いた事のない声に話しかけられたのだ。 「あれ、お前もネコって言うのかあ。はは、一緒だな、オレ猫山」 こちらの名札を見てにこりと人好きのする笑みを浮かべた少年に、こちらも同じような笑顔で返す。 「君もネコちゃんなの？ふふ、お揃いかあ…珍しいじゃん、よろしくね」 相対した穏やかな春の朝の教室、終わり掛けの桜が最後のひとひらを散らす頃。 ポリエステルみたいな薄っぺらい挨拶から、俺達は始まったのだ。 席が前後だから。たまたま名前の読みに共通しているものがあるから。 そんな至ってありきたりでつまらない理由から彼と会話をするようになったが、彼の話は存外面白かった。 頭が良いらしく、外で駆け回るかゲームをする事にしか興味のない同級生達と話すのなんかよりよっぽど楽しくて。 自分の知らない話を聞いて、相手の知らない話をした。 最も、知識量としては猫山の方が上だったしこちらの興味があっちそっちに飛ぶので、話して貰う事の方が多かったが。 色々な事を知っている彼の事は素直に凄いなあと思っていたし、それと同時にたまに見せる冷めた表情と物言いに興味を惹かれた。 子供ってのは好意を抱いている相手の真似っこをしたがるもので、自分もそれは同じだったようだ。 普通に紛れて生きて来た、己の善性と悪性にすら興味を失っていた禰古末蓮慈という少年は、生まれて初めて出来たと言ってもいい友達が「良い子」でいるからというそれだけの理由で、人生の方向性を善であれと定めた。 気さくで話しかけやすい猫山と、どこかぼうっとしていた雰囲気が抜けて柔らかく笑うようになった自分はいつもクラスの中心にいた。 にこにこと、ポリエステルみたいな笑顔を浮かべたまんまで。 それでも二人は人気者だった。 大半の人間は気にしないし、気付きもしないものなのだ。 綺麗なものは綺麗であるからそれでいい。 その美しさが本物だろうが偽物だろうが、それはキレイに見えるのだから。 彼は窓の外を眺めていて、自分は本を読んでいた。この1年、ずっと一緒にいて見続けて来た背中に問い掛ける。 「ねえ猫ちゃん。人生って楽しい？」 本に並ぶ活字から視線を上げてにこりと人好きのする笑みを浮かべる自分に、振り向いたあちらも同じような笑顔で返す。 「　　　　　　」 向かい合う静かな春の夕べの教室、開花を待ちわびる桜が蕾を綻ばせる頃。 ポリエチレンみたいに熱の通わない言葉を交わして、俺達の小学校4年生という1年間は終わったのだ。 ―――ああ、そういえば。 あの時彼は、何と答えたのでしたっけ？ ＜他色々設定箇条書き＞ ・蓮慈は猫山君の事を猫ちゃんと呼んでいた。今はどうかな。わからん。 ・猫山君は今も昔も好きに呼んでくれ。生きていればな。 ・頭いいなーすごいな～自分も賢くなりたいな～って思った結果の今。インテリ路線で売っている。 ・クラス内で猫ちゃんって言ったら猫山君の事でにゃーちゃんって言ったら蓮慈の事でにゃんにゃん達って言われたら二人のことを指していたりすると可愛いですね(適当)(全部うちの猫の呼び方) ・善なる者として生きようと定めはしたが、別に積極的に正義のヒーローになりたいとか人助けをしたいとかいう思想ではない。善い事と悪い事の2択と出会った時、内心どうであれ表面上は善を選ぶという意味。 ・これは(これも)勝手な妄想だけど、多分学区が同じで中学までは一緒の学校だったけど、高校から別のとこ行ったイメージ。学生時代とかはたまに連絡取り合ってたかもだけどどんどん頻度が減ってった。 ・最近は全く連絡を取っていない。成人式の後の同窓会とかに二人が出てたらそれが最後なんじゃないかな…。蓮慈が送ったLineに返信がつかなくてそのまま…とかだといいと思いますね。 ・この設定だと鼠谷君のイジメも見かけたら止めてそうだけど…。まあ、なんか色々あって関与しなかったんじゃないでしょうか(適当②) ・三半規管が弱い。車とか船とか直ぐ酔う。電車は路線による。一応自分で運転する車は大丈夫だけどそれでも酔う時は酔う。可哀想。 ・寝る時は丸くなって寝るし動くものは目で追いがち 己の在り方を「善」と定めた彼が将来を考えた時、一番最初に浮かんだ職業が警察官だった。 しかし、体力が無いし犯罪の取り締まりに東奔西走するのにも興味が無い。 そんな時たまたま刑事ドラマを見て、鑑識や科捜研という職業を知った。 そっちの方が面白そうだなあと思って調べてみたら、科捜研というのは地方組織で、そのトップが警察庁附属の科警研だと知り、じゃあそこでいいかと進路を決定。 TVの特集か毒図鑑的なものを見て毒に興味を持ち、化学第二研究室へ。 毒と一口に言っても色んな種類があって、人体に与える影響も様々で、更に自分で作り出せると来た。それってとっても面白くない？恐らく研究職は天職。 趣味はこっそりと新しい毒物を開発すること。未知の毒という響きは、やっぱりロマンがあってよろしい。 仮に1億人を殺せる未知の毒を創り出したとして、使わなければ悪では無いでしょう？ それに、「人を1人殺せば人殺しであるが、数千人殺せば英雄である」という言葉もあります。 ……まあ、これが想定されるのは戦時下の話であって、今の日本で千人も殺したらただの大量虐殺犯ですけどね。 彼が悪として生きていた場合、化学兵器によるテロでも起こしていたかもしれない。 猫山君は大好きなお友達。 愛とはそれ即ち所有欲である。 お綺麗な言葉で飾り立てたところで、相手が自分のものであって欲しいという感情に他ならない。 男女間の愛であれ友愛であれ家族愛であれ、好いて愛した相手は両腕の届く範囲に居て欲しい。 手を繋ぎ眠る恋人のように、久し振りに会った友人とハグするように、我が子を抱く母のように。 繋いで囲って離したくない。 それなのに…それなのに！猫ちゃんたら最近全然相手をしてくれないんです！ 嗚呼、私寂しくて死んでしまいそう。兎じゃなくてねこですけど。 人間の感情なんて所詮一方通行で、運よく双方向に矢印が向けば僥倖なだけ。 そんなことわかっちゃいるけど、私は貴方のことをこんなにも愛しているというのに。 あーあ、さっさと俺のになってくれればいいのになあ。 ………というのは一般的に見て恐らく「悪」なので己の胸中に仕舞っている。 自分勝手で粘着質で面倒くさい男なのである。可愛いね。 ※端的に言えば、大好きなお友達にずっと構ってもらえなくてめっちゃ拗ねている。 もっとちゃんと俺の相手してよね！！！ぷんすこ

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