タグ： ほしかわ さゆり

星川小百合は両親が医者で少し裕福な家庭で育った。傍から見ると優秀な医者の両親とお淑やかなお嬢様、といった印象だろう。そんな彼女には1つ欠点があった。 自分の意思が無い きっと他からみたらそんな事あるのかと言われるだろうが彼女は機械のように決められた事にしか行動が出来なかった。その欠点に気付かずに両親は彼女に医者になって人々を救わないか、と誘う。もちろん彼女は言われたままに親の引くレールの上を走り続けた。期待を裏切らないように。常に彼女はノートと向かい合った。全て残さず頭に入れてただただ知識を蓄えた。 彼女は勉学に励み続けた。 蓄えて蓄えて蓄え続けた。教師からは実に優秀な生徒だ。と言われる程に勤勉だった。足りない所は知識で補っていくようにした為成績も比較的高かった。 さらに時が経ち大学生になって小百合は1人の女子生徒と出会った、のちの親友である春夏だ。小百合は今の今まで友達というものを知らなかった為初めは警戒していたが春夏の明るい性格は次第に小百合の警戒を緩めた。春夏は小百合と同じく医者を目指している。 たくさんの人を助けてみんなに笑顔になってもらいたいから と春夏は話していた。他にも二人は共通の趣味が多く星が好き、色々な土地を巡るのが好きなど二人が仲良くなるのに時間はかからなかった。小百合はだんだん変わってきていた、本人が知らないうちに好きな物、やりたい事。自分の意志を持つ事が出来たのだ。ずっとこの時間が続く事を祈るほどに小百合は春夏との時間が楽しかった。 二人は医者としても優秀だった。たくさんの患者を救い守ってきた、二人がいればなんでも乗り越えられると思っていた。 しかし、春夏は23歳という若さにしてこの世を去った。死因は不慮の事故だった。小百合の中で何かが崩れ落ちていった、もし自分があの場にいたら少なくとも春夏は死なずに済んだのではないか。精神的に小百合は弱っていき自分を傷付けることで気を紛らわしていたが彼女に残ったのは複数の傷痕と罪悪感だけだった。 彼女はあまりにも無力だったのだ 春夏との"約束"も守る事は出来なかった。 小百合は自分の力の無さを知ってしまったが故に自ら医者のレールを断ち切った。手元にあるのは1台のカメラと両親の写真が入ったペンダント。そして亡き親友との写真。それらを片手に親友との、春夏との思い出の場所を辿りながら約束の場所へ向かう。そこを自分の最期の場所にする為に。 一｢やっぱり私1人じゃ何も出来ないよ、春夏｣一 補足事項 星川パパと星川ママ ・お医者さん。 羽海野 春夏 (うみの はるか) ・ごく普通の家庭で育った少女。星が好き。小百合とは同級生。ロールキャベツが好き。

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