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【概要】 「――わからない、わからないの」 命を知るために天から遣わされ、人を真似たがゆえに壊れてしまった天使。 SANc　1/1d4 【詳細】 神様は自分を模して人を作ったという。つまりは、神が自らの使いを創るのならば、それは人に似た形になるのは必然といえるだろう。 「これ」は遥か彼方の空から地上に降り立ち、神の眼として地上の生物を観測・理解するのが役目だ。同様の役割を持つ使者は複数おり、彼女は主に日本列島付近の観測をしている。 人間に近しい見た目をしているが、いくつかの特徴がある。まるで彫刻のような美しい容姿をしているが、その肌や髪はすべて作り物のように白い。また、人間でいうところのくるぶしより下はなく、薄く透けて存在が曖昧になっている（足は不合理的と神は思っているみたいです）。また、天よりやってきた証として、純白の羽を本来持っているはずなのだが、「これ」は羽の色が汚く濁ってしまっている。 観測者共通の機能として、自らの安全を脅かされないための防衛機構がある。とはいえ、それは敵対者を倒すものではなく、敵対者の敵対感情を失くすという物だ。またこの力を応用し、生態系が壊れるような争いを諫めるのも役目の一つだ。 「これ」はその役割を長年にわたり果たしてきたが、ある日人間の不条理な行動を観測し、人間の「心」への不理解を知った。人間という生物を理解するために、ある女性を参考に「これ」は自分の中に「人の心」を創造した。しかし、それは不完全な模倣だった。これがきっかけとなり、「これ」は女性としての自我が中途半端に芽生え、観測者として歪な存在になってしまう。 自らの使命にとらわれながらも、自らが生み出された意味に苦悩する。人として人に親しさを抱きながら、自らが人ではないことに絶望する。観測者に戻れず、人にもなり切れない自分を忌避する。 誰にも助けを求めることもできず、何もできず、「彼女」は中途半端な人のなりそこないとして、山の中でずっと震え続けている。

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