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偽名：好井 雫(救えなかった自分の名前に、救という文字が入っているのが耐えられなかった) 明るくお調子者気質。基本的にニコニコしている。 実は三十路だがソラリスの能力でかなり若く見える。 適当に見えてやるべき仕事はやっているので今の地位にいる。 マッサージ師を副業でやっている。薬代が丸々懐に入るのでウマウマ。 「僕はなるべく働きたくないんだけどさ～……」「研究所にこもって一日を過ごしたい人生でしたッ！」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 有名な病院を経営している、名家の次男坊だった。 言われるままに道を歩み、医者となったが、何だかんだで誇りは持っていた。 ―――「簡単な手術」そう聞いていた。「見せられた」カルテも、レントゲンもそれを示していた。 明らかに誰かの手によって工作されていた。……簡単な手術などではなかった。 私の手には明らかに負えなかった。結果はその少女は死んだ。 首謀者は恐らく、いや、確実に私の兄だっただろう。 私を医者から退ける為に、まだ幼かった少女の命を利用した。勿論、異議を呈した。まさか、病院一丸の行動とも知らず。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 兄に嵌められ、医療ミスを起こし、医者を辞めた。彼は悔やんだ。もっと力があれば。それこそ小説のような不思議な力があればと。 その後しばらくの間引きこもっていたがある日突然能力が発現。「これは、あの娘が贖罪を求めている」 そう感じ、後に来たＵＧＮのスカウトを承諾した。 彼は今、境界線に立っている。全てを癒し、命を救う力と。全てを×し、命を零す力の両方を。 溢れる直前のコップの水を張り付いた笑顔と明るさで封している。そんなものは仮初で、気休めでしかないと分かっていながら。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 首のペンダントの中には少女の遺骨が入っている。 以下、彼の価値観など、駄文 蜜羽の登場は彼にとって最も計算外の事である。 彼女の天真爛漫な行動は好井の道化を演じた状態をただのお節介焼きの叔父に戻してしまった。 そのことを好井は心のどこかで無意識に疎ましく思っている。 関わっていく内に自分が元に戻っていく気がする。 (元々真面目な性格は院内で舐められない為であり、彼もどちらかと言うと彼女寄りの性格をしていた) 自分が日陰から日向に引きずり出される感覚。それは彼がもう一度「血の温かさ」を思い出してしまう最も忌避すべき行為だ。 そして彼にその感覚を味わわせる事が出来るのは蜜羽のみ。 自分はもう死んだ後の冷たい血の感覚を反芻するだけでよかった。そう、思っていた。 どうせ、彼女も、このまま巻き込まれ続ければいつか死んでしまうのに。 自分が、助けなければ、絶対に死ぬ。しかし、助けられる自信など無い。 とどのつまり、彼は誰も信用していない。良い意味でも悪い意味でも。 だから誰とでもサッパリした関係を築ける。その力を、信念を、感情を。だから「どうせ死ぬ」なんて事が思えてしまう。 蜜羽が何か事件に巻き込まれようモノなら彼は死に物狂いで助けるだろう。 しかし、その後必ず彼は彼女を拒絶する。この街から出て行けと罵声を浴びせる。そうやって独りになるのだ。それがお似合いなのだ。 本当の意味で独りになるのだけは絶対嫌だから。

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