タグ： まぐだら

容姿端麗な絶世の好青年。人当たりがよく印象のいいことしか言わない。誰とでも仲良くし、何をされても怒ることはなく、程よく親しみやすさを出し、暗い話をすれば真摯に聞いて慰めてくれる。 ぼーっとしていることが多いのかたまに話を聞いていなかったり、レスポンスが遅いのが玉に瑕。 メッキって素敵ですよね。どれだけ中身が煤けてきたなかろうが、立派な金に見えるもんです。 ＊ 幼いころからケイニスが運営する孤児院で育てられてきた。両親は事故で亡くなったらしい。幼いころから教えは受けてきたがちゃんと入信した(というか洗礼的なものを受けた)のは17のとき。 神に近づくため、という名目で幼いころから魔術的な改造をあれこれ施されてきた。 半日に一回記憶がリセットされて何もわからなくなる。記憶喪失になる、というよりは朦朧としてすべてが煮詰められ混濁し、いろいろな絵の具を混ぜると灰色一色になるような具合で情報が何もなくなる感じ。自己の忘却と混濁、思考したことや感じたことも分からなくなるようなことを幾度も繰り返した結果、混濁に身を任せ何も考えなくなってしまった。 綺麗なのはうわべだけ。中身は灰色の渦であり、ただ外部からの刺激に対し最も好感を得られそうな反応を返しているだけだ。中国語の部屋もかくや。AIもびっくり。 大事そうなことはひたすらメモに書き記し、最低限の生活は送れるようにしている。もう自主的な思考は廃棄したも同然なのでケイニス側から送られてくる指令を行動原理にして動いている。 ショックは受けない訳ではないのでSANは減る。発狂したときに分かりやすい形で出てくるかは別として。 物理的な肉体も、内臓などの中身は蛹の中の幼虫の様にドロドロのボロボロで、見るに堪えない。薄皮一つ剥けばひどく醜いものだ。いろいろな調整を忘れると醜い化け物めいた何かしらにどんどん変わってしまう。 流れる水は腐らないが、何度も元に戻るならもう止まって腐ったも同然だ。忘れて混じってしまえば何も進展はない。人間としての体裁は整えたが、もうそれだけだ。 自分の中の時間を何度も戻し、すべてを混ぜ込むことでこれ以上何物にもなれない状態になり、彼は教団の中でいち早く教義通りの”永遠”を手に入れた。

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