タグ： 蹂躙するは我が手にて HO4

「俺の声を聞くな。俺の姿を見るな。俺の事を考えるな」 「殺すなら早く殺せばいいだろう。語ることは何も無い」 常に不機嫌そうな顔をしている陰気な男。大抵の人間に対して刺々しく高圧的。自分のことを知られるのを極端に嫌がり、一切心を開かない。必要が無ければ部屋の隅で誰とも話さずにじっとしている。 研究所にいた頃も、余程のことがない限り人前に姿を表さず、部下に名前すら伝えていなかった。命令などは側近を通して伝えていたが、その側近も一年ごとに殺して交代させていた。 その他かなり色々な横暴をしていたが、兵器開発の技術が代替不可能な腕だったため見逃されていたらしい。 D国 Dという民族が人口の99%を占める、小さな単一民族国家。 元は大国・δ国の一部であったが、30年ほど前にδ国へ内乱を起こし、見事勝利して独立を果たした。 この時、戦力として圧倒的に劣るD民族が勝利したのは、ひとえに民族間の団結によるものだった。δ国による長年の圧政に対する恨みが、深い民族愛を育てたのだ。その精神は凄まじく、戦地での特攻はもちろんのこと、命に関わる人体実験にもほとんどの民族が自ら志願したという。 それゆえ独立戦争が終わっても技術は発展を続け、第三次世界大戦が始まる頃には小国とは思えない技術力を所持していた。だが法律により他の民族との結婚・出産を許さなかったため、人口が少なく国土の拡大には至らなかった。 以下、過去と言う名のセルフ秘匿 ゼノはδ国の人間である。 正確に言えば、独立戦争の際の混乱に乗じてD国に置き去りにされた、δ国の血を引く孤児だった。 彼は産まれた直後からD国に居たため、罪はない殺す必要はないとされたものの、納得できない国民によって凄まじい差別を受けてきた。 どれくらい凄まじかったかと言うと片腕を失うほど。 挙句にやってもいない罪を擦り付けられて投獄されそうになったが、そこでの知能検査で異常なほどの好成績を叩き出したことから政府に目を付けられる。 以降は匿われて育てられるが、少しでも頭の回転が衰えたら殺されるような状況で生きてきた。 最終的には努力が実り、研究所所長にまで昇進。自身がいなければ国の進退に関わるほどの地位についた。 だがδ国の血を引くことが知られたら軽蔑されるという意識は変わっておらず、徹底的に自らの存在を隠そうとするようになった。 そういった経緯があるために、重度の人間嫌い。自分を差別したD国も、自分を捨てたδ国も、他の国も全て滅んで欲しいと思っている。 その望みは既にある程度叶ったため、投獄されてからは比較的諦めモード。だが死にたくないという気持ちはあるので、死刑にならない可能性があったら全力で生き延びるつもりである。

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