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　現在世界で生存しているのは3人しかいない難病【心身喪失症】の患者である。 　またの名を【ダイニング・ヒューマン症（死にゆく者）】と呼ばれる恐ろしい病である。 　心身喪失症は侵食性変異症候群の一種であると謂れ、詳しい原因や治療法は確立されていない。 　一説には「老い」が関わっている病と言われている。今のところ有効な手段は【延命】のみの不治の病である。 　延命の一貫で、幸いにも臓器移植などの手段を講じることができる。 　移植後の経過も高確率で良好である。これには『遺伝子の突然変異』が関わっていると言われる。 　主な症状としては、臓器機能の低下や停止、成長の停止、肉体の変貌、記憶喪失、精神喪失、あらゆる精神障害など。 　医学界では「心身が喪失していく症状」と言われている。 　特徴的なのは二つ。 　一つ目は、患者の容姿や精神はは常に子供のように変貌していること。天使と言われる所以でもある。 　二つ目は、身体機能の異常や精神の異常の症状が見られる期間が一時的から長期的まで様々であることである。 　過去に行われた違法臨床研究での報告では、以下のことが述べられている。 『遺伝子の突然変異が発生し、肉体や精神へ大きな変貌を及ぼしている。この突然変異には”老い”に近いものを感じられる。同時に、突然変異に逆らうかのように患者は”若さ”の化身とも言える姿になる。これは突然変異した遺伝子によって齎された異常な治癒能力なのではないだろうか。この病への研究は老いの研究なくしては進まないことだろう。』 　現在の彼女の容姿は中学生のような姿であるが、実年齢は26歳である。 　そして、もっとも恐れていた事態……『脳機能の喪失』が行われているところである。 『真相』 　救井が違法臨床研究に取り組んでいることを知った清明は、その研究成果から『老い』への特効薬を見出だせるのではと考える。 　それを知った救井は自らの違法臨床研究を暴露し、世間に裁かれることで、恵美の存在を知らしめ、恵美を守ることにした。 　20歳の誕生日の間際に、救井にそう告げられた事を恵美は今も覚えている。 【変貌後】 　橘恵美は、吉川清明を殺害しに向かう。 　その後、清明は探索者を前にしてなにを告げるのだろうか……

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