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関東の極道を束ねる最大勢力、極東連合。直系団体矢島組の二次団体、逢鳳会（あいほうかい）の初代会長。杖をつき、おっとりとした京都弁を話す。 弱冠33歳にして逢鳳会を二次団体に育て上げた実力者。最近では直系への進出も噂されているが、本人にその気はない。 かつて、持ち前のタフネスさとパワー、スピードを売りにした武闘派であった。だが、とある潜入捜査で若衆を庇い、左足に銃撃を受ける。それ以来、足を悪くし杖無しでの生活はできなくなった。以前のような戦闘スタイルはできなくなったが、持ち前の射撃の腕でカバーしている。 幼年期に実の親に首を絞められ殺されそうになり、孤児院に移る。親から開放されたが、今までと変わらず部屋の隅で静かにジッと座って一日を過ごしていた。日常的なDV、ネグレクトを受けて育ったため、それ以外に過ごし方がわからなかった。 ある日そんな彼は他の子どもたちに目をつけられる。スカしたあいつを懲らしめてやろう、という動きが子どもたちの間に流れた。 殴る、蹴る、……痛い。温かいご飯があれども、これはどこに行っても変わらないのだと。忘れていた涙が零れそうになったその時、後ろから「悔しいならやり返せ！」と叫ぶ声が聞こえた。自分も周りも一様にその声に驚いたが、その隙をつき、力いっぱい、体力の尽くす限りに暴れた。目の前の襲い来る暴力に対する、初めての抵抗だった。 数分後、足元で縮こまり悶え苦しむ園児たちの真ん中に立つようにして肩で息をしていた。結果は明らかだった。騒動に駆け付けてきた職員たちがどよめく中、声の主はどしんどしんと巨体を揺らしこちらに歩み寄り、目の前でしゃがんだ。大きな傷だらけの手を頭に乗せ思いっきり撫でられる。 「そんだけやれりゃ充分やな。お前さん、うちくるか？」と大きな口を開けて笑っていた。この男こそが極東連合直系団体矢島組 組長であり、逢初七耶が一生をかけて恩義を返していくその人との出会いあった。 逢初 七耶（アイソメ ナナヤ） 逢初…人と初めて会うこと。特に恋人のこと。 耶…「おおざと」は人々が集まる場所を、「牙」は牙が交わる場所を表す。また、父親のこと。

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