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羅川 涅涅（らかわ ねね） 移動販売パン屋、シェニールベーカリーの店主。 Chenille（シェニール）意味:芋虫、毛虫 旅好きとパン好きが転じて、キッチンカーでパンを作りながら日本を旅することを思いついた。 旅行もできて、パンも作れて、一石二鳥！ 1人称:私 2人称:○○くん、○○さん、きみ、あなた 【過去】 幼い頃からネグレクトを受けていた。 母親は出産時に死亡し、顔を見たことはない。 行きずりの女を孕ませてしまい、泣く泣く責任を取るしか無くなった父親は、育児に全く興味を示さなかった。 居ない者として扱われた。 言葉をろくに交わしたことはない。 生まれた後数年ほどは父親の仕事が忙しいと、家族が育児をしたこともあった。 避妊をしなかった結果、行きずりの女を孕ませ、その上、女は死に。愛情も沸かない赤子を自分の手一つで育てねばならない。 社会からの風当たりもそれは冷たく、やがて父親の精神は折れた。アルコール依存症になり、仕事も辞めさせられた。 それからは父親がずっと家にいるようになり、父親の家族は、父親が家にいるならばもう手を貸さなくていいだろうと、それ以降育児に参加することはなくなった。 ろくに食べ物は与えられなかった。 飢餓状態の中、ゴミ屋敷のような部屋にあったのは、もういつ買ったのかもわからないような菓子パン。 干からびてパサパサで、斑模様に青緑のカビが生えていた。 それでも、それを口にするしかなかった。それをしないと生きていけないと本能が警鐘を鳴らしていたから。 パンは美味しかった。 どんな状況であれ、そのパンはとても美味しかった。 パンに、羅川涅涅の食という行為と、生きることへの執着とが、密接に結びついた決定的瞬間であった。 【出会い】 千草誠と出会ったのはほんの偶然だ。 彼が羅川涅涅のベーカリーにたまたま訪れた。 開店当初、上手く行かないことだらけだった。そもそも資金すら借り入れするのも難しく、従業員もまともに雇えない中執着のみを燃やして開店した。 『店の雰囲気も仄暗く、売ってるパンはどこかパッとしないものだらけで、店主もどこかおどおどとして気味が悪い。』 そんな悪評はすぐに口コミ等で広まり、客足はパタリと途絶えていた。 結局、こうして夢を叶えたとて、自分が変われることもなかったのである。何を期待していたのか。何をしたかったのか。わからない。 しばらくすれば、店にはいたずらがおきはじめ、改装した外壁にはスプレーで書いたであろう落書きが目立った。 それでもパンは焼いていた。意地でも志でも何でもなく、ただ、生への執着だったから。 捨てるだけのパンを焼き続けていた。 そんな時、カランコロンと扉が開く音がした。気のせいかと思い、そちらを見やれば、一人の男がさも当然のようにベーカリーの店内に入ってきた。 外から見て、店名も何屋かもわからないほどにひどい有様なはずだった。 そして男は当たり前に捨てるはずのパンをトレーに乗せて、平然とレジにやってきた。 わけがわからずに目を丸くしていれば、会計を急かされる。 "言われたことはやる"。身についた習慣のままに商品をレジに打ち、袋詰した。 男はさり際に、何か困ったことがあればという言葉とともに探偵をやっていることを告げて出ていった。 呆気にとられ、言葉を発することができなかった。 いま、何が起きたんだろうか？ それから、男を探した。探して、探して、探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して探して、 見つけた。 見つけた！私の千草誠さん！ あなたのおかげで私は救われたの！ あなたのおかげで私は決心がついたの！ 口コミに書かれた悪評と向き合って、店はきれいに、身だしなみは清潔に、メイクだって覚えたし、笑顔もつくれるようになった！ そうしたら、だんだんお客さんが増えたの！ みんな美味しかったよって言ってくれる！ ぜんぶ、あなたのおかげ！ しばらく、夜にのこのこと店に落書きした奴らがまた来たから、自力で捕まえた！ 練習台になってもらった！ パンをこねるよりも大変だなんて思ってなかったわ！ でもあなたのために、あなたを愛するために、私頑張ったの！ ねぇ！ ねぇ！！！ ねぇ！！！！！見て！！！！！ わたし、あなたのために、たくさん準備したの！！！！ ああ、早く"此処"にあなたを……！！！ 「あﾞﾞ〜〜〜〜！！！！早く、早く！！！早く死んでしまえ！！！」

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