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高砂　司　　17歳　高校生。　 彼はいたって普通の家庭のもとで健やかに幼年期を過ごした。小学校からは両親の都合により千葉県から天築市に移り住むこととなる。　彼は絵に描いたようなエリートだった。 小学校、はにかむ笑顔は周りの人間を笑顔に。　中学校、生まれつき優れた知能、それに見合った努力と生徒会長というカリスマは、かの有名進学校OX大学付属高校に導いてくれるはずであった。　そんなある日のこと。 ーーー日はまったくもって偉そうに僕らの頭を煌々と照らしている。ヒグラシが耳元で喚く夏、まだ7月だというのに今日はやけに日差しが強い。明日から夏休みだからと言って怠けてなどいられない、塾に行こうか。そんなことを考えながら歩くいつもの通学路、黒く輝くアスファルトと白線が織りなすコントラストが目を刺す、右手をかざそうとした信号待ち。　子供が脇をすり抜け飛び出した、気がした。　「まずい！」青天の霹靂か、だが彼は優秀だ。聡明な彼の頭脳は考えるよりも先に左手を伸ばす。しかしその英断は悔しくも彼女の肩には届かなかった。正確には、通り抜けたのだ。「!?」目の前で起きた圧倒的不可解について考える間もなく、近づいてきた車に彼は轢かれてしまった。彼が最後に見たものは力なく地面に転がる自分の左手と飛び散った血液、その上で飄々と笑うぼんやりとした人影であったーーー 目を覚ますは病室、彼は思案する。「医者にはなんて説明すれば？両親にはどう弁解すべきか？僕はどうやって理解すれば？」　この経験は彼を勉学から遠ざけるには十分足りうるものであった。 見舞いに来る奴らなんて彼の気には止まらない、至極平凡である慰めの言葉は正に馬耳東風。あぁ知りたい識りたい解りたい。この際失ったものなんてどうでもいい。何故　どうして　どうやって　この欲求をどうしようか。　　こうして彼の人生は変わってしまった。　そうして幸運にも彼は見つけた。天築市を、天築学院を、オカルト部を。　いつも通りの僕のように、何も変わらないように、強かに、少しづつ、自分なりに調べるんだ。 俺は高砂　司　ごくごく普通の高校生だ　 少年は語った、「オカルトなんて存在しない」と。 青年は騙った、「有り得ないなんて存在えない」と。

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