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イルカ リウ
ID:3227259
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イルカ リウ
タグ:
青い月へ孤舟は進む
じゃこ式
じゃこ式二
じゃこ式二子
二万円家
暁月影の殺人鬼
金色碧眼の死神
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
現在値
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幸運
知識
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SAN
現在SAN値
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(不定領域:
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技能
職業P
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興味P
/
(うち追加分:
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
特徴表:アウトドア派、戦士 職業技能:放浪者(EDU×10+APP×10)、子どもに対する<言いくるめ>と<心理学>に+10% 元キャラシ本文:https://privatter.net/p/7577085 日本のどこかで生きる殺人鬼。 ある日から殺人衝動を宿してしまい、そこそこの頻度で人を殺さないと狂ってしまうという運命を背負ってしまった碧眼の女。 殺人衝動は持っているが精神は一般的な人間そのものだったため、人を殺しても精神を病み人を殺さなくても精神を病むという袋小路に入ってしまった。それでもいつかはこの衝動が消えると信じ、長い間自分の精神を病ませながら人を殺し続けていたが、ついに限界が訪れ、永久発狂状態となった。支離滅裂な理由で人を殺したり、良く分からない理由で殺さなかったりするようになった。 会うときで異常に性格が変わって見えることが多い。 これは、彼女が解離性同一性障害を持っているからである。 ある日を境に二つの人格が体に宿った、幼く臆病で感情的な麗友(リウ)と理性的で大人びている麗優(リユ)。もともと存在していた疑似人格が、精神的ショックをきっかけに解離した。 一人でいるときは麗友でいるが、有事の際や対人時には麗優に代わることが多い。 彼女のもともとの名前は「山石理佑/ヤマイシリウ」と言い、小学生の頃に「二万円麗友/ニマンエンリウ」と改名した。 二万円麗友のまま殺人行為を行い続けると家族に迷惑をかけてしまうという認識をもともと持っており、永久発狂を起こす直前に名前をさらに「イルカリウ」と変えそのまま生きているという。この「イルカ」というのは、二万円麗友が最期に殺した人物からもらったもの。彼が「イルカ」をくれるというから、二万円麗友が死に、イルカリウが誕生した。 二万円惠弄という双子の兄がいる。 イルカリウになった時点で、自らの意思で二万円家と縁を断ったのだが、惠弄とだけは今でも辛うじて交流を持っている。 今はどこで、誰を殺しているのだろうか。 深い闇に堕ちた殺人鬼、今どこで何を思うのか。きっと誰にもわからない。 ---------- 月が綺麗な日だった。 たった今、また一人の命が散った。 はぁ、最悪だ。事が済んだ時、いつも思う。 今日もそうだ。返り血を浴びながら、苦しそうな声をあげて死ぬのを待つ人を、これでもかと殴りつけた。 なんだかんだいって、自分には撲殺が一番合うなって思っている。 どんどん命の灯が消えていくのが、見てわかる。 見てわかれば、……”コイツ”も満足して消えていく。 ”コイツ”が消えていく感触が、だんだん快感になっている自分が、嫌だなって思ってた。 ………これで、一体………何百人目か。 今まで殺した人数は、全部数えているからわかる。声にも出したくない人数だ。 もう訳が分かんない。自分の感情が人間だと思えない。最悪だ。 さて、”コイツ”も収まったし。この人も……死んだし。……拠点に戻るか……。 今殺した人から預かった遺書を横に添え上着を着てその場から後にしようと思ったとき、近くで木に何かがぶつかる音と共に声が聞こえた。 『あ、えへへ、すいません驚かせて。えっと、僕は怪しい者ではなくて・・・・あっえっと、この場合、怪しい者って言うのは、えっと、警察とかじゃなくて、ただの一般人、です。えっと・・・・えへへ・・・・』 ………見られた。 この距離にこの角度、タイミング。 間違いなく見られた。 …………はぁ、また一人、死体が増える。 ────────────────── そこにいたのは、やけに身長の高い男だった。 私も身長は高い方だと思っていたが、それよりもはるかに高く感じた。 こんなところに、こんな時間にいる人間。 まぁ、十中八九は”志願者”である。 彼もそれを望んでここに来たらしい。 ………ちょうど”コイツ”が収まったタイミングで、なぜ君は来てしまったのか。 見られたからには、殺るしかなくなるじゃないか。 何で来ちゃったんだよ。 ────────────────── 彼は望む。 『僕を殺してくれない、かな』と。 でも、彼は言う。 『実は、僕、君が好きみたい。』と。 …………。 …………………。 …………………………は? え、いや。は? まぁ、殺してほしいって思うのはわかる。 自分死にたくて、目の前に殺してくれる人がいるならそう思うのはわからんことはない。 でも、え、なんて? ……私が好き? どういう思考回路ならそういう結論に至るの? 私のどこに その要素がある? この人殺しのどこに? 『あ、でも、もう少しだけお喋りは続けたいな・・・・なんて・・・・。だって、君と話すのはとっても楽しいから。』 唖然とするしかない。 なんだこの人。なんだ……?何? でも、まぁ……いいよ。私の正気が持つまでだけど。 運がいいことにさっき”コイツ”を鎮めたばかり。 どうせ今殺したところでこのまままた一人で時間を過ごすだけだ。 それなら……、まぁお話くらいなら問題ない。 変な人だけど。一人よりはマシだ。 私は、一人が嫌いだ。 ────────────────── 良く分からないが、キーホルダーを貰った。 フェルトで作った犬のキーホルダー。 これは素直にかわいいなって思った。 驚いた、私にもそんな感情がまだあったんだ。 ────────────────── 目の前の彼は、やけに嬉しそうに、さっき会ったばかりの私に、浮ついた言葉をかけてくる。 本当に死にに来たのか疑いたくなるほどに。 こう……なんというか。 こんな言葉を投げられたこと、なかったから。 気恥ずかしさが自分を襲う。 そして聞いた。 彼は、「自殺癖」を持っているらしい。 死にたいのに、死ねないらしい。 死ねないのに、死にたいらしい。 目の前の無邪気に笑う男が、そんなものを抱えている。 ────────────────── 生きてるだけで偉い。 彼はそう言った。 ……………頭が痛い。 そんなわけあるか。 私が、生きてるだけで偉い、そんな存在なわけ、ないだろ。 そう思って、つい、言い返してしまった。 ………はぁ。気分悪くなってきた。 ダルい。 綺麗な人を見るの、しんどい。 言い過ぎたかもしれないと思って、思ってもないような取り繕いの言葉を添えた。 出まかせを言うのが、いつの間にか身に染みてしまっていた。 彼が、正論を並べる。 この世に存在しちゃいけない人間なんて居ない。と。 君は、僕に、いろいろくれた。と。 確かに殺人はよくない事だけど、だからといって生きちゃいけない理由にはならない。と。 君ももっと堂々と生きてていいんだ。と。 うるさいな。 うるさいなうるさいなうるさいな。 綺麗なことばっか言わないでよ。 やめてよ。 なんだよ。 そんな綺麗な目で、私を見ないでよ。 やめてよ。 ああ………言い返しちゃいそう………言わなくて良いのに……言わないと………気が済まない。 君は知らないだろうけど、私はね、たった一人で何人も、何十人も、何百人も、人間を殺してきた。 そんな人間が、どう、存在していいなんて人間になれるというのか。 殺人はいけない、というのなら。わかるでしょ。 私は、存在しちゃいけない、存在。 堂々と生きれるものなら生きたいさ。でも、生きられないんだよ。生きたかったよ。 でも、どうがんばっても無理なの。 いくら抗っても、この衝動から逃れられない。悪魔が、目の前の人間を殺せと囁いてくる。 「だから……そんな綺麗なこと、……言わないでよ……。」 なんでこんなことを赤の他人に言ってるんだよ、バカみたい。 誰も信じないでしょこんなの。 はぁ、最悪。 最悪最悪。 ムカつくムカつくムカつく。 ……………マズい。 ………ぶり返してきた……。 ……この感覚、マズい………。 【ムカツクカ?】 【ナラコロセヨ】 ………やっぱり出てきた……。 ………アンタはさっき…鎮めたじゃん………くっそ……。 ────────────────── 彼が、何かに謝罪をしている。 多分私に謝ってくれている。 それに、耳を傾ける余裕がなくなってきた。 【ムカツクモンネェ】 うるさい……。やめて………。 【コロシチャオウヨ】 ………アンタに、言われる筋合いはない……。 【ナァ】 『殺人、止められないんだ。僕と同じだね。』 【イッショダッテ?】【ナーンモワカッテナイヨ】 うるさい……。 【ムカツクネェ?】うるさいうるさいうるさ【コロソウヨ】 やめて。やめてくれ。 今日の分はもうやったでしょ……? なんででてくるんだよ………。 苦しい。怖い。【サァコロセ】苦しい。 【ホラ、リウ】楽になりたい。 今、目の前の彼を、殴り殺したら。【コロセ】きっと楽になる。 ────────────────── ある日から、私に宿った”悪魔”。 宿った日から、私をヒトゴロシと罵り、目の前の人間を殺せと囁くようになった。 私は、その悪魔がとても怖かった。 怖くて怖くて仕方なかった。 得体の知れないからというのもあるだろうが。 それ以上に、本能的な怖さを覚えた。 この怖さは、誰にもわかりやしないだろう。 この”悪魔”を、一時的にだが消す、唯一無二の方法を見つけた。 見つけてしまった。 だから、それ以来。私はその方法に縋るしかなくなった。 殺人に。 殺人をしてまで、この”悪魔”を鎮めないといけないほどに。 私はこの”悪魔”が怖いのだ。 ────────────────── 『安心して。僕は逃げないよ。どこにも行かないし、君の事を嫌いになんてならない。見捨てない。』 『だから、もう少しだけ時間を頂戴。もうちょっとだけ君と一緒にいたい。』 不【コロセ】思議なほどに、彼の声が自分の中に入ってきた。 この感覚、なんだろう。 なんと【コロセ】なく、”コイツ”の声が減った気がする。 これは………なんなんだ。 「……………………うん………ちゃんと……、殺すから………。…………もうちょっと……お話しようか………。」 言葉を捻り出した。 もう少しだ【コロセ】け、彼の話を、聞いてみたい。 私の心が保つ限り。 ────────────────── 見守ってくれる人はいるかと問われた。 いると答えた。 私の、大事な、お兄ちゃん。 あ、そうか。 この感じ。 惠弄に似てるのかな。 そうだね。惠弄と喋る時だけは、なぜか”コイツ”は鳴りを潜めてたもんね。 でも彼は、惠弄とは違うから。 完全にはい【コロセ】なくなりはしないらしい。 ────────────────── 『僕は、何があっても君の事、嫌いになんてならないから。好きだよ。名前も知らない誰かさん。愛してる。これからもずっと』 今から殺されるというのに、なんという呑気で、浮ついた言葉なのだろうか。 それでも。 なんか、【コロセ】。 言いたくなったから言うことにした。 「私のことを気に入ってくれたみたいだし、教えてあげる。麗友っていうの。私の名前。」 ────────────────── 彼の名前は、櫂く【コロセ】ん。 人に名前を告げ、人に名前を教えてもらうなんて、いったいいつぶりなんだろう。 いつもは、聞くこともしない。 殺す人の名前をいちいち記憶していたら、きっとパンクするから。 そして、なんか言うつもりもなかったことまで言【ナニシテルンダ】ってしまった。 なんでこんなにぺらぺらと、自分のことをしゃべってしまうんだろうか。 ……そういえば、櫂【ハヤクコロセヨ】くんは先生だとか言ってたな。 だからかな。 先生になんて、何年ぶりに会ったんだろう。 ────────────────── 『そんな悪魔、僕が何処かに連れて行けたらいいのに。』 櫂くんはそんなことを言う。 こんな、キチガ【ハヤクコロセヨ】イ染みた言葉を、信じて。 あまつさえ、それをどうにかしようと考えてくれている。 ああ、君【コロセ】は。 とてもいい人だな。 でも、殺さないといけない。 ……本当に殺さないといけない【コロセ】の…………? さっきから、うる【コロセ】さいな。 ちょっ【コロセ】とくらい黙ってろよ。 ────────────────── 櫂【コロセ】くんが、まだ話したいというから。 私もそれに乗ってしまうことにした。 どんな口実だっていいや。 もうちょっとだけ………もう少しくらい、お話をしよう。 ここは、この森でよく月が見える場所。 今日の月は綺麗だから、君に【コロセ】贈るのにきっとぴったりじゃないだろうか。 はは、これから殺すというのに。 何を言ってんだよ私は【コロセ】 ………うるさいな。 【コロセ】……お前に対して、怖さよりも………とにかく鬱陶しさを覚えるよ。 ………なんで? なんで、怖くないんだろ【コロセ】う。 いや、やっぱり怖いけど。 それ以上に、もうちょっとだけ、君【コロセ】の声を聞いていたい。 ────────────────── 「…………ねえ。 君は。本当に死にたいの?」 『どうなんだろう。わからない・・・・。もうずっと前からわからないんだ。本当は、生きたいんだと思う。でも、気づいたら死のうとしてる。たとえ今日、もしも生きて帰っても、僕は今までと同じことを繰り返すと思う。今まではなんとなく助かってきたけど、これから先同じようにして助かる保証なんてない。なら、今日死にたい。君に殺されたい。』 ああ。 せめて。 生き【コロセ】たいと言ってくれれば。 私はそれに甘【コロセ】えたというのに。 そんなこと言われたら。 私は。 君【コロセ】を殺さないといけない。 なんで。 いつもと同じように。【コロセ】 【コロセ】【コロセ】”コイツ”を鎮【コロセ】めるために。 ただ殴るだけなのに。 なんでこんなに嫌な【コロセ】んだ。 ────────────────── 櫂く【コロセ】んを縛る。 【コロセ】櫂くんが、逃げないように。 違う。 私が覚悟を決めるた【コロセ】めに。 縛ってる間、櫂くんが【コロセ】やけに黙っていたから。 つい、いろ【コロセ】んなことを喋ってしまった。 弱い弱い、二万円麗友という、クソ野郎の話。 私がこの世で最も殺したい、二万円麗友という人間の話。 最も殺したいのに、この世で最も殺したくない人間の話。 自分の存在が、周囲に危害を及ぼすかもしれないというのに。 それでも、まだ戻れるかもしれないなんていう、ありもしない幻影に飲まれ。 勝手な言い訳を垂らして。 麻薬のような助けを期待して。甘えて。 ずっとずっと、罪を重ね続けている、大馬鹿野郎の話。 私を待っててくれるという言葉に自堕落に乗っかって。 人の人生を壊し続けるクズ野郎の話。 どうやったら殺せるんだ。 こんなにたくさん人を殺したのに。 二万円麗友だけはずっと殺せない。 そんな話を、まるでいい話のように纏めやがる、二万円麗友という人間を。 私は、辞めたい。殺したい。 【モウコロセ】 【コロセ】 ────────────────── か【コロセ】んが言【コロセ】った。 『僕の名前使う?射鹿。』と。 ああ。 ああ。 【コロセ】 そっか。 そっか。 【コロセ】 名前を貰ったら。 私はも【コロセ】う、二万円麗友じゃなくなるのか。 二万円麗友を、消せるんだ。 それなら。 今日、消してしまおう。 今日、殺してしまおう。 だから、名前を貰【コロセ】った。 「イルカ リウ。新しい名前。 どうかな?」 『かわいい。いいね。えへへ・・・同じ苗字だ。イルカ。えへへ』 同じ名【コロセ】字。 そっ【コロセ】か。そりゃそうだ。 「うん、同じ苗字。なんか、ちょっと不思議な感じ。 ………二万円麗友は今日、ここで死んで。イルカリウが、今日生まれた。」 ありがとう、か【コロセ】ん。 ようやく。 二万円麗友を殺せる。 これから私は。 ”イルカリウ”という悪【コロセ】魔として、醜く生き延びる。【コロセ】 悪魔の名前にしちゃってご【コロセ】めんね。 でも。 か【コロセ】くんなら許してくれるよね。 ────────────────── 今日は特に何もない日だった。 特に何もない日から何物にも代えがたい特別な日に変わった。 射鹿櫂の命日。 二万円麗友の命日。 そして、私の、イルカリウの誕生日。 ────────────────── 「櫂くん、ありがとう。今日、君に出会えてよかった。」 『えへへ、僕も、今日麗友に会えてよかった。二万円麗友の死に目に会えてよかった。そして、イルカリウの誕生に立ち会えてよかった。今日という何にもない日が、僕達にとって特別な日になって、ずっと残るんだ。素敵な事だよね・・・・。僕が死ぬ日を、そんな素敵な日にできてよかった。ありがとう。リウ。』 「うん。きっと私も忘れない。そして、月を見るたびに鮮明に思い出すんだ。 …………じゃあさ。最後のお願い聞いてほしい。とても身勝手なお願いなんだけどね。………櫂くんと一緒に、二万円麗友を、連れて逝ってくれないかな。二万円麗友ってさ、本当は一人が嫌いなんだ。……櫂くんと一緒なら、きっと寂しくないからさ。」 『うん。いいよ。それなら僕も怖くないし、寂しくない。ずっと好きな人と居れて凄く嬉しいし、幸せ。』 我【コロセ】がら、なんて虫唾【コロセ】【コロセ】るお願いなんだと感心【コロセ】る。 きっと、か【コロセ】んなら受け入れてくれると思って、言【コロセ】た。 【コロセ】想がまる【コロセ】悪魔。 はは【コロセ】は。 だってイルカリウは悪【コロセ】だからね。 でも、二万円麗友が、一人が嫌いなのは本当。 じゃあ、せめて。 せ【コロセ】てさ。 死んだ後くらい、幸せになってくれよ。 ははははは。 バーカ。 何言ってんだよお前はよ。 か【コロセ】ん。 こんなのだけど。 連れ【コロセ】行って。お願【コロセ】だ【コロセ】 ────────────────── 『それから・・・もちろん、僕はリウのことも好き。大好き。何があっても、リウがどんな人になっても絶対に嫌いにならない。神様に誓う。』 ………人。 ふ、【コロセ】ふ。 【コロセ】はは。 【コロセ】は。 こんな私で【コロセ】ら。 人【コロセ】って言ってくれ【コロセ】だね。 はは………。 はは【コロセ】。 そ【コロセ】か。 神様に誓【コロセ】なら。 悪魔になんてなれな【コロセ】。 わ【コロセ】【コロセ】。 【コロセ】れなら。 「あ…………そぅ……か。 ………それなら……。これからは、悪魔として…生きていこうと…思ってたけど……………。櫂くんが……そう言ってくれるなら。人間として生きていこう………。殺人鬼なのは変わらないけど……。もうちょっとだけ……生きていく。 死ぬのは怖いから。最期まで足掻いて生きていくよ。」 『えへへ。・・・・生きて。死にたいなって思う日まで生きて。周りの人が赦さなくても僕が赦すよ。たとえ周りの人がリウの事、悪魔だと言っても、僕はリウの事、人間だって言うよ。僕が認めてあげるよ。リウも生きていいんだ。』 はははは【コロセ】は。 【コロセ】ったよ。 人【コロセ】して、醜く生【コロセ】延び【コロセ】る。 覚悟【コロセ】めろ。 決め【コロセ】。 イ【コロセ】リウ。 も【コロセ】めだ。 【コロセ】考が、”コイツ”に奪わ【コロセ】る。 も【コロセ】【コロセ】。 殺【コロセ】。 【コロセ】。 せ【コロセ】て。 イル【コロセ】ウが残っ【コロセ】【コロセ】【コロセ】に。 ────────────────── 『僕、君にあえて本当によかった!だって、今、凄く凄く幸せな気持ちなんだ。こんな気持ちで死ねる人、ほとんど居ないと思う。僕は幸せ者だよ!君のおかげだ!ありがとう!またね!リウ!』 「うん。こちらこそありがとう。……二万円麗友のこと。よろしくね。 ………それじゃあ櫂くん、じゃあね。……またね!」 【コロセ】【コロセ】【コロセ】【コロセ】【コロセ】【コロセ】 ”私”が殺すんだよ、邪魔【コロセ】なよ。 あ【コロセ】とう、か【コロセ】ん。 ────────────────── ────────────────── 我に返った。 そこにいたのは、私だけ。 目の前に居たはずの、彼は。 穏やかな表情で、息絶えていた。 表情なんて、ぐしゃぐしゃで見えないけど。 なんとなくそう思った。 二万円麗友は死んだ。 櫂くんが連れて逝ってくれた。たぶん。 私はもう二万円麗友じゃない。 ああ。 惠弄にはなんか言っとかないと。 二万円麗友の、後始末をしてやんないと。 その後は、どうしようかな。 考えるの、ダルいな。 まぁいいや。 どうだっていいや。 もうなんだっていいや。 なんとかなるだろ。 あーあ。 今日は月が綺麗だというのに。 なんでだろ。 月が滲んでよく見えないや。 ------------- ”二万円麗友”の中には、仮想人格がいた。 この仮想人格は、二万円麗友が弱い自分を嘆き強くなりたいと願った想いから、いつの間にかそこにいた。 だが、もともとの麗友の性格や気性が災いしたのか、少し自分に厳しすぎる人格になっていた。 それでも、麗友が怖いと思うものに対して代わりに立ち向かってくれる、そんな人格だった。 そんな仮想人格は、あくまで麗友の中で麗友を支える存在だった。 厳しいことも言ってくる存在だったので、麗友は仮想人格に対し頼る反面少し煩わしく思っていた部分もあったらしい。 基本的に明確に別れているわけではなく、麗友にその仮想人格が混ざって麗友の足りないところを補うような形で、麗友を支えていた。 仮想人格は、この夜の射鹿櫂との会話の時にも、麗友に混ざって出てきていた。 そして、この夜、彼女に「イルカリウ」と仮名がついた。 漠然と二人の間に存在していた「二万円麗友を殺したい」という欲求を、叶えるチャンスが生まれた。 その欲求を叶えるために。リウは麗友を、殺そうとした。 もはや”悪魔”に半分思考を乗っ取られた状態で、その欲求をかなえようとした。 だが、できなかった。 元々、彼女は麗友を守るための存在だ。だから、殺すことができなかった。 殺したのは結局。自分を生み出すきっかけを作り、自分たちの存在を人間と認めてくれた彼だけだった。 これ以降、生き残ってしまった主人格の麗友は自身の現状への感情に限界が来たため、表層に出てこなくなった。 そして、どうして私を殺してくれなかったのかと、副人格リウに内側から問い続けるようになった。 身体に取り残された副人格リウは、本来の身体の持ち主から身体を奪ったような認識に苛まれ始めた。 自分の中には間違いなく、その持ち主がいることは理解している。実際、会話は出来ている。 副人格リウは、もともと主人格麗友を守るための存在だから、彼女がまた表に出てくる時まで、この身体を預かろうと決意した。 麗友がいつぞやに出会っていた、謎の組織。 異常者を支援している団体なんだとか。 最低限の生命活動を維持できる程度の支援を受け、どうにか二万円家には頼らずに生きていけるようになった。 とはいえ、この間にも”悪魔”は囁いてくる。 実はリウは悪魔には恐怖までは感じない。放っておくと思考は奪われてしまうが、しばしの猶予はある。 だが、麗友はそうではない。”悪魔”に対する本能的恐怖が襲ってくる。今まではリウが混ざっていたから少し緩和されていたものが、ダイレクトに襲い掛かってくるようになってしまった。その恐怖に抗う為なのか、麗友は”悪魔”を感じると癇癪を起すようになっていた。 その癇癪は、表層にいるリウに頭痛として襲ってくるようになっていた。その頭痛を抑えるため、何より麗友の恐怖を取り除くために、結局のところリウは人を殺すことを余儀なくされた。 殺人鬼は、結局殺人をしないと生きていけないままだった。 変わったことと言えば、自分たちへの認識が、「悪魔」から「人間」に変わったことだろうか。 イルカリウは、自身の内側にいる大事な分身を宥めながら、人を殺しながら、今日もどこかで自分を責めながら生きている。 ------------- ある日。 不思議なことが起こった。 殺したはずの彼が、再び彼女たちの前に現れたのだ。 理由なんてわからなかった。 ただ、理由なんてどうだってよかったので、さほど問題はなかった。 リウは内に隠れる麗友に語り掛ける。 彼と話さなくていいのかと、これがきっと最後のチャンスだと。 その言葉をきっかけとしたのか、麗友は恐る恐る表層に舞い戻った。 彼と動物園を回った。 動物園なんて幼少期に行ったっきりだったので、とても楽しかった。 彼との交流がとても楽しかった。 いろんな話をした。 スタンプラリーを一緒に探した。一緒にジュースも飲んだ。おみくじも引いた。手をつないで歩いた。 ただそれだけで、とても楽しかった。 刻一刻とお別れの時間が近づいていた。 麗友は帰りたくないと、まだこの時間に浸っていたいと駄々をこねた。 彼は、それはお店の人に迷惑がかかると窘めた。 その代わりに、約束をしてくれた。 姿は見えなくなるけど、きっと傍で君たちを見守ると。 君たちを50年だって、100年だって、きっと待つと。 そして、そのあと一緒にその先にどこにだってついていくと。 それがたとえ傍から見れば荒唐無稽な世迷言のように見えたとしても。 麗友にとっては、救いのように感じた。 袋小路に入ってしまい、逃れることすらできなくなった。 どうあがいても、先に絶望しか見えなかった。死ぬことも怖かった。生きることも怖かった。何もできなくなった。 そんな中、彼が待っててくれるというのであれば。もうちょっとだけ頑張れる、そんな気がした。 ------------- 麗友は再び世界に舞い戻る。 怖いことだらけだ。悪魔は変わらず襲ってくる。世界はいつになっても自分たちを許してくれるわけでもない。 それでも、きっと彼は見守っててくれるから。 麗友は今日も彼女なりに頑張って生きている。 内なるもう一人の自分と改めて向き合った。 今まで、漠然と喋っていた相手だったけど、ここで初めてきちんと向き合った。 彼女に名前を付けた。すこし口が悪いし厳格だけど、とても優しい彼女に名前を付けた。 二人で頑張って生きて、彼とまた会って、いっぱい褒めてもらうんだ。 それだけを、それだけを糧に今日もイルカリウは生きていく。 ------------- イルカリウ 日本のどこかで生きる殺人鬼。 人を殺さないと生きていけない、どうしようもない人間。 出会えば、支離滅裂な言葉とともに殴り殺されるかもしれない。 自家撞着な発言とともに生かされるかもしれない。 そのゆがんだ青い瞳は、虚空を見据える。 何が見えていて何が見えていないのか。 本人にだってわかっていない。
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
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「クトゥルフ神話TRPG」は
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