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「俺と関わるとロクな事がねぇって？ …ヒヒッ…俺も、俺との縁を切りたいね」 倉九手 人理(くらくて ひとり)。 市立高校に通う17歳。 特徴として真っ先に浮かぶのは顔に絆創膏や包帯をつけている点だろう。時には青痣をそのままにして登校する日すらあるが。 彼には母親がおらず、父親と二人暮らしをしているのだが、目つきが気にくわないだの、学費を出してやってるのに感謝の気持ちが無いだの、理由にもならないような事で人理に暴力を振るうような父親だった。 人理はそんな父親の見慣れた軌道の拳も、ワンパターンな蹴りも、たやすくかわせるような理不尽さに、ただ黙って殴られる事を選んでいた。 自分に非があるから仕方がないのだと考えているからだ。 お前と関わるとロクな事がない。昔吐き捨てられたその言葉が嫌に記憶に残っている。 そしていつからか、彼は人を遠ざけるようにして生きるようになっていった。 他者の好意的な行動を口で制し、傷つかない程度に不快な気持ちにさせて自分に近寄らないようにする。 幸か不幸か、高い身長も相まって異様な雰囲気を漂わせていたため他人を遠ざけるのはそう難しくなかった。 そうして人理は孤独へと自らを追いやった。 そうすればきっと、疎まれることも、迷惑をかけることも無くなるだろうと。

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