タグ： 談話室卓

①大手電機メーカー「ライトライン」の御曹司 ②始まりは大正初期頃から。4世代ほど。 ③兄弟はいない。 ④まあまあ興味がある。 ⑤支障が出ない程度の金なら出す。物によるが無理をしてまで手に入れる程の執着はない ⑥人並みには。 電機メーカーの社長の息子。 高圧的な態度であまり人を寄せ付けないが、その凛然たる佇まい、幼い頃から培われてきた上の者としての能力から次期社長と噂されている。 自室の中には書物で埋め尽くされた部屋とペットの沢山いる部屋がある。予定が入っていない時はよくこの二つの部屋に一人で入り浸っているようだ。 業界の争いというのは実に壮絶な物だ。 彼はこんな環境下で生まれたとも思えないほど心優しい少年だった。人を気遣い、自分よりも他人を優先する。人として模範的な性格をしていた。 しかし、それは一般人の話である。彼は必ずここを継ぐ運命にあった。 そんなに甘くては指導者としてやっていくことなど絶対にできない。彼の周りの人全てはそう考え、彼に常日頃「厳しくあれ」と教えてきた。 だが、彼はそれでもなかなか変わらなかった。幼いながら、彼はそんな残酷に思えることはできなかった。 ある時、仲の良かった友人たちが話しているところを見た。彼の話をしていた。盗み聞きなどよくないと思いながらも、なんとなく、話を聞いてしまった。 「社長の息子かー。生まれながらに良いご身分だよな」 「俺らもまあまあ金持ちだけど、格が違うよな。優しいけどどうせ俺らのこと見下してる」 「仕方ないよな。俺らとは違うって思ってても」 聞いてしまったのだ。 彼は不思議な感覚を感じた。絶望感とは少し違うような、世の中が変わるような感覚。彼はここで、ようやく考えたのだ。自分は優しくあるより厳しくある方が正解の立場に生まれたんだと。 彼の選択が良いものだったのかは断言できない。一つだけ間違いなく言えるのは、彼は少し疲れているようだ。

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