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〈設定〉 三嶋愛祈(ﾐｼﾏ ｱｷ) 脳神経外科医。38歳。 毎日元気に患者さんを治療している。 現在12歳になる息子(脳)がおり、彼の身体を求めてイケナイ事に手を染める日々。 〈2年前の事故〉 2年前、息子の誕生日の事。 仕事が忙しくてケーキを焼く時間が取れなかったから、近所のケーキ屋さんに買いに行った帰り道。 「ママみたいなお医者さんになりたいんだ！どうしたらなれるかな？いっぱいお勉強すればいい？」って言うから、追加のプレゼントに買ってあげた生き物の図鑑を抱えて、2人で手を繋いでね。 あの日は寒かったから、私の手をぎゅっと握って温めてあげるねって、あの子、笑ってた。 ママの事は僕が守ってあげるっていっつも言ってくれる、私の小さな騎士。 ありがと、寒いから早く帰ろっかって、普段通らない道を通ったの。 ちょっと狭くて、金属を打つカンカンって音と、ドリルの音がちょっとうるさかったな。丁度ビルの改装工事をしてたみたい。 繋いだ手をゆらゆらしながらご機嫌だったあの子が、突然ハッとした顔になってね。 いつもニコニコしてる子だから、あんな、叫び声なのか怒鳴り声なのか分からない大きな声、初めて聞いたなあ。 「ママ！！！」って声が聞こえるのと同時に私のお腹に衝撃があって、一拍空けてもう一度ドンッて衝撃が来た。 プチ、だかブチュ、だか、水風船に泥水を詰めて叩き割ったみたいな音がした。 気付いたら私の視界にあの子は居なくて、何だか頬っぺたが生ぬるかった。触ってみたら赤くて鉄臭くて、下を見たら鉄の塊に押し潰された小さな体が見えたの。私の足元には、真っ赤な水溜まりが出来てた。 辛うじて見えていた顔は何でか笑っていて、息をしてるんだかしてないんだかも分からない状態で、あの子「良かった」って。 さっきまでの幸せな日常が壊れる音だった。 これからの絶望が足元に広がってた。 一緒に選んだ真っ白なショートケーキも、グチャグチャに潰れて真っ赤に染まってた。 ……そこから先の記憶はあんまりなくて、気が付いたらあの子の脳みそだけがぽつんとシリンダーに収まってたんだよね。 何で？私がバースデーケーキも作ってあげられない駄目なママだったから？寒いからって普段と違う道を通ったから？どうして？？私があんなちっちゃな子に守ってもらわなきゃいけないような弱い人間だったから？？？ほんとは私があの子を守ってあげなきゃいけなかったのに。 優しいあの子はこんなどうしようもない私の事を一言も責めたりしないの。 「ママにケガがなくて、元気でよかった」 「でも、ママのお顔が見られないのと、悲しそうな時にギュッてしてあげられないのはやだなぁ……」 「僕ね、元気になったらいっぱい勉強してママみたいなお医者さんになるよ！」 「病気で困ってる人をいっぱいいっぱい助けてあげるの、ママみたいに」 「大丈夫！ママは凄いお医者さんだから、僕の事も絶対治してくれるもん！！」 ──うん。あなたの事はママが絶対元気にしてあげる。 大事な息子1人助けてあげられない駄目なママだけど、絶対絶対治してみせるよ。 だからどうかまた笑顔を見せて。このままじゃ、助けてくれてありがとうって抱きしめることも出来ないから。 後少しだけ、待っていてね。 〈ミ=ゴちゃん〉 多分愛祈先生の両親のお知り合い。 三嶋医院は元々先生の両親がやってたけど、何でか早々に隠居しちゃったんだって。 今は何してるんだろうね、フシギダネ。 そんな訳で現在の病院は愛祈先生がほぼ1人で回している、こじんまりとした(？)病院。 囚人のジレンマ →自白 懲役とかは関係なく、自分の罪に耐えられないから。 悪い事をしたらちゃんと償わないとね。 テセウスの船 →パーツが入れ替わってもそれはテセウスの船である。 パーツが代わっても、今まで旅してきた事実は変わらないでしょう？その船はこれまでもテセウスの船だし、これからもテセウスの船として航海を続けるんじゃないかな。 家だって、リフォームしたって同じ人が住めば〇〇さんの家、として存在するわけだし。 パーツがどうこう、っていうのは私は気にしないかな。 臓器くじ →お医者さんとしては認められないよねえ。 …でも、臓器を欲しているのが自分や身内だったらって考えると…はは、難しい話だなあ。

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