タグ： オオキ 月面世界

時は2069年、この世は混沌に満ちていた。 科学技術は進化をし続け、人類は宇宙に歩を進めつつあった。 しかしその一方で地球は汚染が進みつづけていた。 年に何度も起こる自然災害、それに連なって起こる科学技術が発達したが故の人災、様々な出来事によって地球の人口は70億から随分と減ってしまった。 人間は内陸部に住処を移し、人の住まなくなったところでは日常的に水爆実験が行われ、放射性廃棄物が不法に投棄されていた。 その付近の生態系が、放射線や放射性物質に適応するのは当然のことであった。 いつしか内陸部では見られないような生物が見られ始め、生物学者たちは歓喜した。 彼らを研究することで放射能に強い素材を手に入れることができるかもしれない！ そうすれば宇宙でも放射線被曝量に怯えることなく生活ができるじゃないか！ そう思った生物学者たちはしかし、ある困難に突き当たった。 いったい誰が放射能まみれの土地に行き、未確認の生物を狩ってくるというのか？ ただでさえ危険な土地の中で、独自の生態系を築いている危険な動物たちに対抗できるような者がいるだろうか？ 生物学者たちは頭を悩ませた。 件の土地は重機を持ち込めるような場所ではない。 補給物資が届きにくい場所ではサバイバル能力が試される。 現代の武器に頼っている軍隊では十分ではないだろう。 何度も話し合いが行われ、ついに白羽の矢が立ったのは、不法投棄された放射性廃棄物によって住処を追われた少数部族たちであった。 彼らは喜んだ。 我々は元々あの場所に住んでいたのだ。 先祖代々の土地に戻れる上に、そこにのさばる動物を狩って渡すだけで、ありとあらゆることを政府が保証してくれる。 こんな良いことはない。 さあ帰ろう我々それぞれの土地へ！ 彼らは強靭であった。 身軽な装備で森の中を進み、巨大化した動物をやすやすと倒した。 倒した動物の皮を剥ぎ取り、新たな防具とすることで放射能への対抗手段をも手に入れた。 政府の支援によって高度な教育も受けることができる。 多様な知識を得、効率的な体の動かし方、生物の急所など、様々なことを貪欲に吸収していった。 いつしか彼らはこう呼ばれるようになっていった。 『モンスターハンター』 ズェニ・ウリヤ・ンドガロンは少数民族バッカトト族の青年。 といっても平均寿命が40代後半のバッカトト族においては年長である。 政府の援助により比較的高度な教育を受けていたため、生物学、薬学、語学には長けている。 第一級危険指定区域にて巨大化した野生動物などを狩っていたが、この度ようやく放射線に強い素材で作られた丈夫な服が完成したとのことで、実際に宇宙へ行き着衣状態での被曝量を調べてくる、という役目を与えられられた。 そのため肌の大部分は覆われ、顔も上半分は隠されているので非常に見た目が怪しい。 顔には無数の傷があるためそれも相まって怪しい。 しかし出身のメナッダ村では傷は男の勲章なので大人気である。 武骨であまりしゃべらず、どの言語でも単語だけで会話しようとしてくる。

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