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「大丈夫ですか！自分は消防隊員のキリンであります！もう大丈夫ですよ！」 「助かりますからね、なんたって、自分がいますから！」 一人称：自分 二人称：○○さん ちょっとどこか口調の堅苦しいムキムキおにいさん。腕相撲大会では負け無し。 *☼*―――――*☼*――――― 幼い頃の記憶が無い。 いや、記憶がないという言い方では不適切で、『その記憶がこびり付いて、それ以前が霞んで見える』というところだ。 火奈菊の家は立派な戸建てを持っており、大きな庭や綺麗なリビングのあるその家が、優しい母親と厳しくも誠実な父親が、いつも一緒に遊んでくれる兄弟が、大好きだった。 家は放火魔によって全てが灰になった。 そして火奈菊は幼心に思う。 (――消防士、めちゃくちゃかっこいいじゃん！) *☼*―――――*☼*――――― 幸い、海外旅行に行っていた為家には誰もいなかった。タクシーで家へと向かえばそこには轟轟と赤く燃える家だけがあり、絶望する家族を他所に叫ぶように指示を出している消防士に憧れたのは火奈菊だけだ。 そして幸い、近くにもう一軒家を買ったばかりだったのでそちらで生活することにもなり、前よりもちょっと綺麗になった我が家を見て、姫燐一家は少しテンションが上がった。 憧れがいつしか夢になり、火奈菊は消防士を目指す。昔家が燃えまして！と説明すれば立派な志望動機だ。元々素質があったのか、筋力はずば抜けていたし。素直で優しい性格も相まって、彼は先輩からめちゃめちゃに可愛がられてめでたく消防士となった。 火奈菊の冒険はまだまだ続く！ これからの活躍にご期待ください！ *☼*―――――*☼*――――― 消防隊員になってすぐの出来事だった。 近くで燃えてるボロアパートがあると通報を受けて、初仕事ひゃっほう！と言った感じで火奈菊は現場へ向かった。 見知ったアパート。 2.3年出会ってなかったが、ここはまさしく長年の幼馴染の住んでいた所だ。大学に入ってから少し疎遠になって、顔を毎日見るということはなくなっていたが。 新人で行動か制限されつつある中、火奈菊は無我夢中で扉を蹴破った。1ルームの小さな部屋の片隅に、火傷1つない、頭の良い、優秀な幼馴染が小さくなって震えていた。 昔から自分のことを気にかけてくれる幼馴染だった。 何か言い合いをしても直ぐに負けるくらい頭の良い彼は、1歩引いたところでこちらを眺めている様な気がした。それでも、随分長く一緒にいてくれた。 そんな彼が小さく弱々しく、誰かに助けを求めてるところなんてはじめて見た。こいつはおれが守らねば！ 「流くんも家が火事デビューだな！」 「ふざけんな」 殴られた。 それからお金がなかったり、炎に恐怖心を抱いちゃったりする彼を見計らってルームシェアを提案してみたところ、すんなりOKされた。余程怖い思いをしたのだろう。 家で揚げ物の鍋立ち上る火柱に腰を抜かした彼を見て庇護欲が更に爆発したのは不可抗力だ。 *☼*―――――*☼*――――― 十七夜 流くんとは幼稚園からの幼馴染。 小さい頃はよく泣きよく笑う為、流くんにずいぶん迷惑をかけていた。今じゃ立場が逆だなあ！と本人は思ってる。 彼が「敬語を使ったり一人称を変えたりしたら無視するから」と言うので、彼の前だけでは口調を戻している。別にいいじゃんね。 お前にはおれがいなきゃ絶対駄目だから、だからいつまでだって守ってやるからな。 *☼*―――――*☼*――――― 【キルキルイキル】(2021-1-11) 応えてあげられなくてごめんなあ、だってもう俺達には時間が無くて、俺はお前が好きだから、ちゃんと考えて答えを出したいんだ 悔しいな、こんな選択しかできない俺たち、どうしてこうなっちゃったんだろう 一緒に生きてあげられなくてごめん 生かしてあげられなくてごめん 応える時間が無くてごめん なにもかも全部ごめん、ごめん、流 まだ言いたいこと、やりたいこと、たくさんあったのに お前とずっと一緒にいたかったのに ロスト

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