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技能「お嬢様」初期値19、8D10→55 私立舞麗慈和学園の高等部2年生(16歳)。 その少女、ただの少女と侮るなかれ。 大手である暁病院院長の娘はしたたかであった。令嬢と言えども万が一の時は身を守ることができねばならない、という父の教えのもとムエタイから派生した足技を習得している。このせいで、スカートの下に常にスパッツを履いている。（いつどこで何が起こるかわからないため）でも問題ないね、制服はひざ下スカートなので。 個人的にはキラキラしているもの（宝石とか）が好きなものであるが、自分で自由にできるお金には限りがあるので（とはいえ一般家庭からしたらとんでもない金額である）我慢している。親から15歳の誕生日にもらったピンキーリングは、平日はチェーンに通して首から下げている。 言いたいことは言ってしまう派。傲慢ではないが、さっぱりとしている点もあり、勝負事で負けた時などはきちんと負けを認める。 読書家で、実用書や恋愛小説、SFからファンタジーと幅広く読む。鞄にはいつでも文庫本が入っている。 いずれは父の病院を継ぐかもしれないし、ふさわしい後継者が現れたら譲るかもしれない。（道場破りではない）が、今はわからない。自分がどの道を進むべきなのを探している。 祖母がフランス人で、髪色や瞳は母譲り。豪華なので好き。（当人はフランス語を話す機会がなくて習得していない） --- 　執事の須藤が部屋に来るまでに起きるのが毎日のルーチンだ。二度ほど鳴ったアラームを止めて、ベッドから降りる。そのまま化粧台へ行って、まずは寝ぐせの髪を梳かそう。母方の血が濃く出た髪色と瞳は、自分が持っているものでも自慢できる大きなひとつだ。 　髪を梳いている間に須藤が挨拶に来る。今日の予定と、整えられた制服を持って。 「おはようございます、お嬢様」 「おはよう、須藤。いい天気ね」 　丁寧な最上級の礼を受ける。 「いつも思うけれど、そこまでかしこまらなくてもいいんじゃないかしら？　もう十年来の付き合いでしょう」 「けじめは必要かと思います」 「あら、そう……？　まあいいです、今日もよろしくお願いしますわ」 　もちろんです、と腰を戻して自分より一回り年上の男が口元を上げる。 　それから身支度を整える。洗顔、歯磨き。受け取った制服に袖を通して、タイの結び目はきゅっと締め、リボン部分はふんわりと。 　朝食を食べた後は、須藤が学校の近くまで車で送る。短い距離ではあるが、校門は歩いてくぐるのがかなでの個人的な楽しみだ。 　学校での生活は至って普通だ。授業を受けて、時々教師に当てられたり。居眠りなんてしませんわ。 　生徒会への呼び出しは快諾して。少しだけお茶会が楽しみだ。 「時にはあきらめも大切ですわ。だって可能性が0のものにいくら掛けてもゼロですもの。――0が1になる可能性を除けば、ですけれどね」 「まあまあ、わたくしそれなりに理解がありましてよ。多様性を受け入れることも、これからの社会では大切ですわ」 --------- 脱獄は乙女の嗜みHO3　2020/3/22　ロスト

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