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セレム 【説話】 カザ地方に、リョザンと呼ばれる山がある。 その山には、『鍛冶の悪魔』が住むと云われていた。 『鍛冶の悪魔』は戦士の願いを叶える。 そのものに最も適した、最も硬く、最も強く、最も靭やかな武器を、悪魔は戦士に授けるのだという。 だが、強さには代償がある。 その武器には呪いが込められている。 武器を授かりし戦士が、戦場での雄姿を讃えられしとき、悪魔は戦士の前に現れ、戦士の命を奪う。 東方の石巨人、北方の氷帝、西方の龍騎士……並み居る猛者が、栄光の果て、悪魔を返り討ちにすべく立ち向かい、そのすべてが敗北を喫した。 還らぬ英雄の数は、百を超える。 未だ、悪魔を倒せしものは現れない。 【経歴】 《剣魔》と呼ばれし剣士。 カザ地方、『剣の一族』の出身。剣のために生き、剣のために死ぬ一族で、彼は脈々と続く先代たちの技を、すべて受け継いでいる。 だがその技は一子相伝。一族の掟により、彼は兄弟達と殺し合う運命にあった。結果、彼は兄を二人殺害している。 父は厳格だが優しい男だった。4人の男児と一人の女児をもうけ、皆に平等に剣の技を授けた。また、鍛冶師としても一流であり、家族の生活をよく支えた。 だが誰よりも自身の継承した技が危険であることを熟知していた。 厳格であるが故に、血塗られた掟であっても、それに反することはなかった。 長兄は力だけを欲した。彼にとって、武を極めることだけがすべてであり、その他のことは意に介さなかった。 だがそれ故に、彼に剛の剣は最も継承者に相応しいと、彼も弟妹達も考えていた。 次兄は天才だった。穏やかな草原の風を彷彿とさせる彼の剣は、カザの民の魂の美しさの体現だった。その技に相応しい清らかな心を、彼は持っていた。 だが彼は不治の病を犯されており、余命は長くないと言われていた。 三兄は野心家だった。勝つために手段を選ばない男で、数多くの問題を起こした。力で長兄に及ばず、心と技で次兄に及ばないことを苦にした彼は堕落し、継承者の候補に上がることもままならないまま、破門された。 本来、破門は意味したが、彼は逃亡した。 末弟は優しい男だった。 兄達が技を継ぐのであれば、自身は殺されてもいいと思っていた。 次兄が病魔に打ち勝ち、継承者になることを、心から望んでいた。 継承者が決まるその日まで、妹にだけは人並み以上の愛情を注ごうと思った。 継承の日、父が選んだのは末弟だった。 父は長兄に覇道の無価値を説き、次兄にはその病身の無念を説いた。 長兄は認めなかった。 その場で師である父と次兄を殺害した長兄は、妹をも手に掛けようとした。秘伝の技を知る弟妹は、彼にとって邪魔者でしかなかった。 妹を守るため、必死に戦った末弟は、激闘の末、長兄に勝利する。 父の授けた技が、次兄の残した心が、彼に勝利をもたらした。 長兄を打倒するとともに、彼は剣の極意を悟る。 だが同時に、心に灯る想いがあった。 『武など、なんの意味もない』 この世から『武』を、『暴力』を消し去ろうと思った。それが亡き父と次兄に対する弔いだと思った。 今の自身にできることを、彼は必死に考えた。 だが長兄のように、三兄のように、一度『武』に心を染めたものを、言葉で射つことはできない。 彼らのようなものを納得させるためには、同じ『武』で諦めさせる他ない。 それには、彼らが絶頂の肉体と、至高の武器を手に入れ『武』を極めたそのとき、その思い上がりを砕く必要がある。完膚なきまでに。 『武など、なんの意味もない』と。 彼は今日も鉄を打ち続ける。 『暴力』に頼ろうと、『武』を志そうとする痴れ者が、表れるのを待ちながら。 【性格】 厨二っぽい喋りの優しき剣士。だがその生い立ちから優しさの方向を間違えてしまった哀しき戦士。 ガチで暴力のない世界を目指している暴力の化身。 目ぼしい戦士を見つけては完全オーダーメイドの素敵武器を与え、武人として熟れた頃に斬りにくるデュラハンのような狂人。 一度認めた相手を『最強』にするためにはどんな労力も惜しまないため、異常なまでに尽くす変人。 妹大好き。 【雑記】 名前はモンゴル語で剣（武器？）を意味するсэлэмから取りました。 リョザンの一角に、彼が倒した英雄達の武器を墓標に見立て、何十本と地面に突き立てた『剣の丘』と呼ばれる場所があります。 次兄の病気は三兄が密かに食事に盛っていた毒のせいです。クソ野郎ですね。 ------------ カノンさん：クラフト/アタック 【剣魔】…剣に憑りつかれた剣士 　カザ地方の剣の一族の生まれ。 　剣のために生き剣のために死ぬ一族で、一子相伝の剣を受け継いでいる。 　あなたはすでに父と妹以外の兄弟を殺し、さらなる強者を求めて各地を放浪している。 　ある日、あなたは《主人公①》の一行に出会い、彼らの潜在能力に目を止める。 　いつか彼らは強くなり、戦うにふさわしい相手となるだろう。 　その成長と、彼らの旅に襲い来る強者たちを斬ることを楽しみに旅に同行することにした。 〇旅の目的：強者を斬る

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