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「＿＿＿雪白先生は優しく話してくれる」 ……………………… ▼過去 　幼い頃に両親が離婚した際に、父との二人暮らしを始める。 勿論最初は辛かった。特に父がふとした時に見せる苦渋を浮かべる一瞬が、幼いなりにも、その胸の内を理解できたから。 　けれど毎日が楽しかった。元々父の事は昔から大好きで所謂パパっこだった。 料理はちょっと下手くそだけど、料理本を買っては慣れない手つきで作ってくれて日に日に美味しくなっていくご飯をふたりで喜び合ったり。 遠出や旅行にも連れてってくれて。ホテルのお風呂に入浴剤入れすぎて浴室が泡いっぱいのお風呂になって喜ぶ私を横目にあたふたする父。 仕事だって忙しかったろうに、学校行事なども来れるようにしてくれたり。 　笑顔が絶えない家庭だった。 　あの頃までは 　そんな大好きな父がある日、交通事故で亡くなった。 　幸せが崩れるのはほんの一瞬だと、追いつかない頭に嫌というほど現実は刺してきた。 　父が亡くなったのは、目の前だった。 気づいた時には暴走したトラックがもう背後に迫ってきていて、父は。お父さんは。 私を庇って、死んだ。 　突き飛ばされた私は軽傷で済んだものの、父はもう瀕死の状態でトラックの下敷きになっていた。 耳に届くのはクラクションと群がる野次馬の悲鳴が遠くから響いてきて、妙にその音がくぐもっていると感じた時。 自分の喉が焼ける感覚が、その原因だと気づいた。 　もうこの頃の記憶は朧げだがはっきりと覚えているのは、私のことについて話す親戚の話し声を後ろに、目の前に広がる白い百合と何も気に留めずにゆらめく線香の交わった香り。 　それからは目まぐるしい変化が続いた。 もう何年も会うことのなかった母に連絡を入れるように言われ電話をかけるも虚しく溜まる発信履歴。 臭い物を押し付け合うように騒ぐ父方の親戚。 身を寄せたとしてもそこに自分が居るか居ないかの定義さえあやふやな扱い。暴力的な家、無視してくる家、嫌悪を当ててくる家、弄ぼうとしてくる家。 色々と転々としては誰からも愛情を受けることなく、心を委ねることもできず。 あの幸せな時間が嘘のような、孤独な人生を歩んだ。 　誰か私を見て。誰か私を温めて。誰か私を、心から愛して＿＿＿＿＿。 そんな思いが育ってしまうのもそう短くはなかった。 ……………………… ▽詳細 ・目の前で父を亡くしたトラウマや不遇な扱いを受け続けてきたトラウマ、ストレスから精神的に不安定。 　普段それが表に出る事はないが、長い間我慢を強いられてきたこともあり溜め込んでしまいがち。その為一度に大きな爆発を起こしがち。 ・爆発を起こした時ヒステリックで物を投げてしまう。基本家でひとりの時に行う。 ・冷え性・不眠症を患っている。年中手袋とブランケットが手放せない。 ・生徒たちからは親しまれている方。短大卒業してすぐに養護教諭になった為、生徒たちとも比較的年齢は近い方。 　明るい生徒たちからは「ゆきちゃん先生」ってあだ名があるかもしれない… ・雪白　穂乃果の名前の由来：雪白→白雪姫　　穂乃果→仄か→灰→シンデレラ 　　　　家庭から除け者・邪魔者扱いされ居場所を追いやられる共通点から ・投擲→家でひとりヒステリックで物を投げるから 　隠れる→義理の家庭では布団や物陰、廊下で隠れることがあったから染み付いている ・保健室ではハーブティや白湯を作っては飲んでいる ・親戚の家庭では不遇な扱いを受けていたこともあり、衣服の買い替えなんてあまり受け付けてもらえなかった。 　その為裁縫を身につけた。なんかあった時のために裁縫道具を持ち歩いている。 ………………………… ▼自殺した生徒「美影 杏」との関係について 　彼女は私と同じように、家庭に居場所のない子供だった。両親の仲が悪いと、いつもあの物鬱げで儚い雰囲気を帯びては話していた。 担任の先生からも、彼女が所属しているバトミントン部の顧問のことでも居心地が悪いと。そう話していた。 　家庭でも、学校でも居場所をなくした彼女は自然とこの保健室に通っていた。 言葉を紡ぐ度に消えてしまいそうな、自分に重なる点も多くあり。ある日気付けばあの子を抱きしめていた。 抱き返してくれる彼女の腕のなかは今までに感じた事のない温かさを持っていて、冷え切った体に染みて溶けていく感覚が今でも鮮明に残っている。 　それからはハグフレンド、添い寝フレンドのような行いを重ねていった。 その時だけは私も今だにふとフラッシュバックする過去のことを忘れきる事ができ、そんな日々が日常へと化していった。 　キスすることや、触れ合う一環で胸や体を触れ合うこともあったかもしれない。といっても衣服越しに。 腕や脚、首や 顔周りは素肌で触れ合っていた。 　彼女と触れ合う時は手袋を外していた。 　彼女が死んでからは、荒むことが急激に増えた。だってそうでしょう？私が生きてきた中で２番目に心を許せる、相手からも許される関係にあっただたひとりの＿＿＿＿＿大切な存在。 　似た物同士で、生徒としても、未来ある子供としても、一人の人間として彼女のことは隅に置けない存在だった。 今まで行ってきた行為がもし彼女を苦しめた原因になったらと、いつも頭にあった理性を長年育ってきた執念が覆い尽くし、自分自身を言いくるめる。 　あの子が死ぬ原因になったのはあの担任を務める先生、体育教師のバトミントン部顧問の先生、家庭問題。 きっとそうだ、あの子が苦しんでいたのはあいつらのせいだ。だって、あの子の口から聴いたことだもの。 私が関わっている事なんて、ありえない……ありえちゃダメなの。 私はあいつらと同じなんかじゃない。 　だってそうしたら私はもう、一体この先なにを信じて生きていけばいいの＿＿＿＿＿＿。

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