タグ： いぬい まひろ

2024/11/3　ビブリオビブリ 【キャラクターメモ】 「困ったなあ。いや、本当に困った。あまりに芸がなさすぎるよ。B級ホラーの方が説得力があるね」 とある大学で民俗学を専攻する大学生。他の生徒より年齢を重ねているが、浪人ではなく、留年しているだけ。 その留年の理由も、教授から、 「ここに残って研究を手伝ってほしい」 と何度も言われたため。 「じゃあ、学生特権を延長するなら考えますよ。まだ貴方の専属になるつもりはないなぁ」 との提案により、学費をかなり免除されながら大学に居座っている。 ある種の問題児、ただし功績あり。 データ収集やその分析が得意だが、外出が嫌いな性格。仮説に連なる仮説を立て、一つの推定結論に至った後に、 「それじゃあ君たち、確認をよろしくね。私は別のこと調べておくからさ」 と、後輩やサークルメンバーを駆り出している。 民族学専攻の理由は、その地域に根付いた怪談じみた歴史を小馬鹿にするため。 それはそれとして、案外掘り下げると人知外の何かが飛び出てくることがあるため、彼女にとって研究は娯楽である。 ただ、最近は報告を待つだけもつまらないなと感じ、気が向いた時に外に出て、危険がない程度にフィールドワークをするようにしている。 「どうする？　暇だし、もったいないお化けでも調べてみるかい？　いや、時間がまさに『もったいない』か。ははは」 【プロフィール】 名前：狗井　真尋 年齢：23歳 性別：女性 身長：145cm 体重：53kg 職業：大学生 好きな物：面白いこと、研究、素直な後輩 嫌いな物：しんどいこと、フィールドワーク、めんどくさい人 【経歴】 狗井は昔から、変な子どもだった。 見える筈のないものが見え、聞こえない筈の音が聞こえる。幼い頃、両親にそんな話をするたび、気味悪がられ、もうするなと叱責された。 しかし、どれだけ話をしなくとも、見えるものは見えてしまう。 通学路の植え込みから覗く手。用水路から聞こえる人の声。 恐ろしく感じるそれらは、彼女の世界ではあり触れていた。 しかし、それらは実があり。幽霊の正体は枯れ尾花ではなく、実際に埋められた死体だった。 用水路の声は、通行人の下着を覗く変態だった。 子どもの頃に恐怖を抱いていたそれらは、正体のない不可思議な物ではなく、実在する悪意や危害そのものだった。 なんてことはない。全てのことには機序があり、何かしらの説明がつくものだ。それが、彼女の至った結論だった。 だから、この世の不可思議な話の全てに、説明をつけると決めた。 見えてしまうもの、聞こえてしまうもの、感じてしまうもの。その全てを解き明かそうとした。 調べれば調べるほど、説明がつかないことはある。しかし、彼女はある種狂気的に、それら全ては説明できるものであると信じている。 民俗学の世界は、彼女にとって玉石混交の宝の山だった。 有象無象を調べ、その証明をする。データを眺めるだけなら、実際にものを見なくて済むから、彼女にとって都合が良かった。 見えないに越したことはない。聞こえないに越したことはない。 我が身を危険に晒す必要はない。自分はあまりにも、誘われやすいと理解しているから。 彼女は民俗学を志して間もないころ。 とある場所でのフィールドワークで、これまでの比にならないほどの心霊体験をした。 髪を引かれ、足を掴まれ、呼吸ができなくなり、耳鳴りで頭が割れるかという体験をした。 見えたり聞こえたり、それらはこれまでもあったものの、実際に命の危険を感じることは無かった。 フィールドワークの後、彼女は病院にかかった。掴まれた足は骨にヒビが入り、肺には溺れた後のように水が入っていた。 オカルトに恐怖を抱いているが、だからこそ目を向けずにはいられない。 未知の恐怖は、既知のものにして恐怖を取り払わなければならない。 自身に降りかかる、降りかかってくる心霊的な体験の全てを、心霊ではないと全て否定するために、彼女は生存証明を続けるのだ。 「知らないから怖いんだ。知れば怖くない。知れば対処ができる。分かるかい、無知こそが罪なんだよ」

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