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ソープスクール:HO1　ずし みずき 「HO①先生からの視線は冷たい。」 社会科教師で部活動は茶華道部の顧問。 生徒と一緒に生活指導に引っかかるような前髪の長さがある。 伸ばしているとかではなく、建前では切るのが面倒くさいだけ。 本音は人に目を見られるのが怖いから。 人に感情を悟られる事に強い恐怖があるから。 イジメを受けた記憶が未だに色褪せない。 毎夜それらは鮮烈に想起される。 歩けば引っ掛けられ、座っていれば汚水をぶちまけられ、常に後ろ指を指され、浴びるのは罵詈雑言。 誰もが無視をした、誰もが嗤っていた、誰も救ってくれなかった。 極めつけは「病原菌」。 道理で誰も救わないわけだ。触りたくないんだから。 先生の見えない所で、家族の手の届かない卑劣な方法で、僕は心身を抉られた。 言い返せなかった僕が悪いのかもしれない。 立ち向かえなかった僕のほうが悪かったのかもしれない。 僕はただ必死に息を殺して、あの人たちの標的から外れることを願うことしかできなかった。 今思えば、もっと手段を講じることはできたんだろうが過去の僕はあまりにも無力だったのだ。 結局を言えば、イジメで受けた傷が両親に発覚し転校した事で物事は解決したのだが。 それ以降、僕は人の顔を見ることが非常に困難になった。 どんな顔を自分がしているのか分からなくて、そんな顔を見られたらまたイジメられるのでないかと不安で仕方なかった。 顔を見られないように前髪を伸ばした。 目を隠せば、大半の感情を隠しとおせるからだ。 その後、もう自分のような生徒がいて欲しくない、もし居たら何とかしてあげたいという気持ちで教師を志した。 善行者なんかではない、そんな生徒が哀れで仕方ないだけだからだ。 勉学へそれなりに打ち込み、教師の採用試験も通過して僕は担任のクラスを持つようになった。 いざ担任になってみると生徒が思ったよりも可愛いもので、大事にしてやりたいという感情が沸いた。 人懐こく話しかけてくる子に頭のデキは悪いが一生懸命な子、運動が好きな溌剌とした子らの十人十色な人生を支えてやりたいと。 おかげで表向きは明るく社交的に振舞えるようになった、内側の感情は驚くほど既に冷え切ってしまっていたが。 そして同時に自分の学生時代が脳裏にちらついた。 自分が苦しんでいた時、あの人たちは表面上楽しそうにしていた。 イジメは隠れて行うものであり、僕の曇った視界で見た「可愛らしい生徒たち」の認識のままでは何も昔と変わらないのだ。 自分のように馴染めていない者が居ないだろうか。 全体は可愛らしく見えていても、個や影で苦しめられている者はいないか。 目を凝らした。 よく耳を傾けた。 その子はいつも物静かに、席について独りで過ごしていた。 空間を切り取ったみたいに個、でありクラスにも馴染めていない様子だった。 しかしイジメられているような兆候はなかった。 でもそれは当たり前なのだ、イジメは教師にバレないようにするものだから。 思わず声を掛けた、自分のような可哀想な存在はもう必要ないから。 「大丈夫です」 彼女はそういって微笑むだけだった。 僕は彼女に酷いデジャブを感じた。 でもその原因は分からなかった、何故自分の心臓がわし掴まれたような感覚がするのか。 不可解な感覚と靄の掛かったその微笑みは僕を悩ませた。 一歩近づくと一歩、いや二歩三歩と彼女は遠のいていくような気がして。 そんな中、彼女は自殺した。 屋上からの飛び降り自殺、ご丁寧に遺書まで用意していた。 自分の教師人生を踏みにじられたような心地だった。 遺書を書いてまでの用意周到な自殺、それはもとよりここで命を切らすのを決めていたことを示唆していた。 「お前にどんな言葉を掛けられようと私には響かない」と言われたような気持ちだった。 屋上からの飛び降り自殺、青春真っ只中で蛮勇と言えるその行動は過去の息を殺すことしかできなかった自分を嘲笑うかのようだった。 何故気が付かなかったのか。 あの時感じたデジャブは羨望に近かったことを。 否、羨望に似たもっと汚らわしい感情の芽生えだったことを。 独りで物静かに微笑む彼女を、僕は憧れていたのかもしれない。 ◆◆◆ 一人称:僕/俺/センセー 二人称:あなた/キミ/お前 三人称:○○さん/殊更親しければあだ名 ◆◆◆ 教師なんていつか辞めてやるとは思っている。 ただせめて今、手掛けている子達が何も無く平穏に終えられたらなんて思う。 何処に転職しようか。 しかしどう思えど僕に出来る事は「もういじめが起きないように先生でいること」なので、余程いい会社がないと転職しないような気がする。 ※通過シナリオ※ ソープスクール【HO1】 喪に服すな　※KPレス

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