タグ： PL:中二病 月面世界職員

月面世界　エンド2　生還 月に向けて、鎮魂歌を。 地質学者、地球型惑星の鉱物事情に明るくそれをベースとした土壌微生物の安定した固定が主な研究内容、地球ではフィールドワークを淡々と元気に行っていた。 その才能とは裏腹に彼の本来の夢は歌手だった。 彼は謳うことが好きだった、夜コッソリ家を抜け出しては夜空をドームにし高らかに歌った。 しかし中学生にもなると自分の才能の無さが嫌でも自覚できる、故に彼の声はこの狭い教室にさえ響き渡ることは無いだろうとも理解していた。 誰に聞かれなくとも、自己満足でも彼は歌が好きだったが『自覚』という毒は彼の心を折るには十分だった。 ――誰にも見えないくらいならいっそ……―― 彼は歌った、満点の星空の下で。誰にも届かぬ歌を、涙を流しながら。 ――嗚呼、嗚呼。誰にも聴かれぬ我が声よ。夜空に吸い込まれよ。空気もない宙空に、響けよこの凡人の歌声―― 無常にも歌は続く、山から跳ね返り戻る自身の声が一層孤独を際立てた。 寝転ぶ1人。もうどうにでもなれ、彼は独り言ちた。 ふと視線、お月さまと目が合う。夜空にぽっかりと、1人で浮かぶお月さま。 「…………」嗚呼、あそこならば。誰にも聴かれず、音も響かず、1人で謳うことができるだろうか？ ※阿曽宇　宙輝（あそう　ひろき）の孫、祖父の影響で宇宙に関する知識は堪能であった。 イメージソング：ダスト（クワガタP）

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