タグ： 女学生(華族)

つきくさ さらさ。 異性一卵性双生児の兄で嫡男の清白(きさら)がいる。 (2人合わせて沙羅双樹。哀愁、儚い美しさ。) 兄とは背も見た目もそっくりなので、父の命で子供の頃から体の弱い清白の身代わりを務めていた。 また、露草家には体の弱い男児を女児として育てるという風習が残っており、幼い頃は「かわいいおひぃさんがふたり」と花よ蝶よと甘やかされて育った。 そして頻繁に入れ替わっては屋敷内で悪戯をして怒られていた一面もある。 成長するにつれ体が強くなっていった兄は幼い頃の分を取り戻すかのように遊び歩く放蕩息子になり(時には白紗の振りをして女学生として振る舞い、時にはプレイボーイとして街中を出歩く)、未だ背丈も顔立ちもあまり変わらぬ白紗は兄の代理に父に連れ回されることが多々あった。 その中で、女性であるときの自分は和装が基本だというのに男性は洋装が多い事に気づき、嫉妬のような羨望のような燻る感情を抱く。 「きぃくんはずるいですわ、こんなお洒落が表立ってできるのに」 「わたくしの振りをして女の子を誑かすのは良い加減になさいまし！！」(家にある薙刀を振り回す) 「女性も襦袢や綿入りの重い着物から解放されて、素敵なお洋服で街中を歩けたらなんて素敵でしょう。ふわりとひろがるスカァトに編み上げのブーツは屹度風を切るように舞い上がる。ああ、まるで夢のやう」 そんな先の時代の夢を見ながら、彼女は今日も兄の代理で華族の令嬢と義務的なご挨拶を重ね、課題の裁縫をこなし、勉学に励む日々を送るのでございました。 彼女は女学校卒業と共に嫁入りが決まっている。相手は良い人で、「未だ清白の体は完全に丈夫とは言えぬ、共に生まれた兄妹だ、せめて白紗の嫁入りは卒業まで待ってもらえまいか」という父の言い分を受けて卒業を待たずする予定だった嫁入りを待ってくれた。とは言え特段恋しい人とは言えぬ。良き夫婦にはなれるかもしれないが、胸に抱える劣情にも似た洋服への憧れには勝てない。 そして父の言い分も決して白紗のことを考えた訳ではなく、清白に「遊んで良いのはそれまでだ」と期限をつけるためのもの。 「令嬢はお家のためのお道具ですわ、裁縫箱と変わりなし」と嘯いて、なんだかんだとお互い何もかも理解している大好きな双子の片割れと残された時間を過ごすのです。 露草の色水は洗えば落ちることから友禅染の下絵に使われていた。 洗えば落ちる、役には立つが惜しまれぬのが露草の色水。 名前の由来はそんなところ。 「懐かしい関係」もう元には戻れない嫡男と令嬢。 「僅かな楽しみ」白紗卒業までしかできない遊び。 「朝咲き　夕は消ぬる　つき草の　消ぬべき戀も　吾はするかも」 ＊＊＊ ・潮騒に月見里 ＊＊＊ AF「乙女の洋服」 　神話的事象の重なりによって、《精神的従属》の効果を含んだ洋服。 　着用者は実際に呪文を取得していなくても、《精神的従属》を扱うことができる。

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