タグ： 天使たちの黙示録

・北の国の首都で生まれ育つ。家は国の中でも有数の酒蔵を持つ家系であり、造酒だけでなく国外への輸出、また原材料の輸入に関する貿易業も担っていた。 ・ヨエカトルは特に数字に強かったため、その輸出入に伴う金の収支を管理する仕事を学んでいた。学校には通っていたが、それよりも家で勉強する事の方が多く、外で友達と遊ぶ事もあまりなかった。来る日も来る日も、勉強の繰り返し。 ・そんなヨエカトルにも、好きな事が一つあった。夜明け前に外にを歩く事だった。その時間は家族も街もぜんぶ寝静まっていて、とても静かだった。外で遊ぶ同年代の子供たちも、うるさく躾ける大人もいない、その時間にしかヨエカトルの自由は無かったのだ。 ・夜明け前、街から少し離れた丘を歩く。すると早起きの猟師たちが犬ぞりにのって森にかけていくのが見えた。犬は寒さにも負けず揚々と駆け回り、そりは快調に雪を掻き分けて進んでいく。その上に乗る猟師は凍える風にさらされて、鼻頭を紅潮させていた。 ・ヨエカトルは思った。自身が家で勉学に励む間にも、こうした厳しい環境の中を逞しく生きる人間がいるのだ。自分の居る場所と、あの猟師が居る場所は実際よりも遠く思えた。しかしきっと何処かでつながっている。ヨエカトルの家で作られた酒をあの猟師が夜な夜な飲み干しているのかもしれない。あの猟師が買っている獣の皮をなめして使った服や家具を、ヨエカトルが手にしているのかもしれない。遠いけれど、繋がっているのだろう。 ・だからヨエカトルは、まして頑張ろうと思えたのだった。人並みより外とのつながりの薄い自分も、どこかで誰かの助けに成れるはずだから、自分は自分の居場所で事を成すべきだと。その一連の思考が終わった時、頭上から一枚の白い羽が落ちてきた。 ・次の日、黄金色の招待状が家に届いたのだった。 ▸ヨエカトル→アステカ神話の「ヨワリ＝エエカトル」から。意味は「夜の風」 ▸何事も他者と繋がっている。だから正しく生きるべきだと考えている。他者との繋がりを尊重し、共に進む事を重んじている。まじめな性格 [最悪の人生] 何にも成れずに死ぬこと。誰にも見つけられず、誰にも評価されず、社会の平均化に擦り潰され埋没して、そのまま死んでいくこと。 これこそが自分であると世界に表現する事なく終わること。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ