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「は、初めまして…！俺は世乃 恋虎って言います！その…よ、よろしくね？」 「俺、デザイナー志望なんです。特にユニセックスの服が作りたくて…。」 「ま、まといについてどう思ってるか！？えっ、えっ、えっと…その、あの…………」(顔が赤くなる) 「ち、違いますよ！ただの赤面症ですからっ！」 ゲイの男。駆け出しデザイナー。 ユニセックスな洋服を作る為に毎日勉強中。 高校時代、好きだった同性に告白したところ振られた挙句ゲイであることが学校中にバレてしまい虐めに逢う。 「もう男に恋心を伝えるのは辞めよう」と塞ぎ込んでいた時、とある女子生徒に庇われる。 それが今回の集団自殺現象にて失った友人・宮古 志奈だ。 宮古は所謂 "陽キャ"、クラスの中心にいる活発的で明るい女子生徒だ。 ───しかしそんな彼女にも秘密がある。それは、トランスジェンダーである事だ。 『スポーツ女子』という仮定で髪を短く切りボーイッシュな服装をしているが、結局どこまでも "女子" という肩書きがついてまわる事に彼女は辟易としていた。 同じ性に関する悩みを持つ恋虎を見て思わず助けに入っていったのだ。 そうして恋虎と宮古は良き友として長く交友を続けていた、勿論、男女の友情に『実は好きなんじゃないのか』だなんて水を差してくる邪魔も多く居たが、2人は決してそんな感情を持たないまま友情を深めていった。 このまま楽しく過ごせたらいい、互いに素敵なパートナーができるといいね、だなんて話し合っていた。 幸せな日々が続くはずだった。 「……………………………宮古？」 目の前に広がる集団自殺の死体。 その中によく見知った顔が1つ。 なんで、宮古、なんで、なんで倒れているの、どうして寝ているの、なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんで ──────なんで、『NOBODY』と書かれているの？ ぐちゃぐちゃになって、どうでも良くなっていた。 睡眠薬を飲んでも眠れない日々が続いた。 このまま死んでやろうか、なんて事も考え出しては宮古の励ましを思い出して頭を掻きむしっていた。 「大丈夫？」 そう言って手を差し伸ばしてくれた。 まとい。 あぁ、まとい。俺の心に差し込む一筋の光。 まとい、離れないで。どうか、手を繋いで。俺の隣にいて。もう離さないから。どこにも行かないで。怖いんだ。 まとい、まとい、まとい……………… 好きだ、まとい。

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