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彼は高校卒業寸前まではどこにでもいるような学生であった。 勉学に励み、学友と笑い合い、色恋を嗜むこともあっただろう。 転機は大学受験の日。受験会場に向かう彼が乗る電車が脱線し、生存者が殆どいない大事故を起こした。 そこで彼はオーヴァードへと覚醒した。 しかして彼はイリーガルとして人々の社会に溶け込む事を選んだ。日常の中に一際大切なものがあったわけではない。 ただ、UGNという大きな枠に括られるよりも自由に生きることを望んだ故であった 大学受験には失敗し、高卒である彼を拾ってくれたクレープ屋の店主に感謝しつつ、奇妙な隣人と共にお客にクレープを提供する。 それが今の彼が望んだ最大の自由であることは間違いないだろう 彼は高校以前お菓子を作る事が趣味であり、よく妹に振る舞っていたが、事故の際に味覚の修復が行われず現在も味を感じる事ができない。 ことクレープに置いてはマニュアル通り、味見が存在しないため問題なく生活出来ているが、実家には帰っていない

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