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目覚めた時から、私は知的欲求に満ちていた。 周りは知らないものばかりで、知らなければならないと強く、強く、強く感じた。 それは初めて"音"を聞いたときもそうだった。 一番初めに聞いた"音"は――そう、｢"ネゲレイドビーイング"がいたぞ｣だったな。 振り返るとそこには何人かの研究者がいた。といっても研究者という存在は後から知ったのだが。私は人のようなそれで、輪郭はぼやけ、境界があやふやだった。彼らの視線は揺らぐ私を刺し、そしてもう一度彼らの中の誰かが、ネゲレイドビーイングだ、と言った。彼は隣の研究者を見ると、隣の彼はうなずいた。私にはその動作に完全な意味を見出せなかったが一つだけ分かった。 私は自身がネゲレイドビーイングだと呼ばれるものだという事を。 なるほど、ネゲレイドビーイング。私は、ネゲレイドビーイング。なら彼らは？ 知りたい。知りたい。知るにはどうしたらいい？ 私に出来るのは近づいてみることだった。 ――近づくな！誰かが言った。 私に分かるはずもない。 もう一歩近づく。 もう一歩。 一歩。 そして。 科学者は私に"力"を使った。避ける――という発想さえなかった私は吹き飛ばされ、転げ、そして止まった。 横たわりながらも私は聴いた。知的好奇心を妨げるような何かが起こったと即座に本能が囁いた。 どうやら彼らは私に動いて欲しくないらしい。 それは困る！私には近づくしか疑問を解決する手段がないのに！ それは不快感になり、次の時には彼らには退場してもらうべきだという衝動が溢れた。 そして私には、抑制する――という発想さえなかった。 科学者達との戦いは拮抗した。 私は心の赴くままに戦い、戦い、そして、傷つき、さらに――不快になって気付いた。 不快になっている"私"という存在に。 その瞬間だった。 私は2つに分かれたのだ。 「私である」という知的好奇心である私と、｢私でない｣という知的好奇心である私に。 それは、主観的と客観的のような感知の仕方の違いであり、同時に出来ないもの。 だから、2つに分かれる必要があったのだと、そう感じた。 それからは早かった。 科学者達との拮抗は崩れ、私達は自由を手に入れた。 戦いの後、私の身体はくっきりとした輪郭を持ち、広げた手はそのように空間を仰いだ。 ――これが私。なるほど。 知らないことが山積みだった。 行かなければ――。 本能が囁いた。

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