タグ： ひきがねコート

【暗示】破局：思い出さないほうが良いほどの惨劇、悪意。だが今の状況ではそれを思い出すほかない。 2161　人類98％が死亡 2182　完全に滅亡 2200年代 生前：人と関わるのが苦手……というよりも人が嫌いで、花を相手にしているときだけが彼女の心の休まるときだった。花は手間をかけた分だけ応えてくれる。適当に扱えばそれなりに、気持ちを込めて向かい合えば美しく。人間は違う。善悪、損得、気分や関係、その日その時の一瞬で変わってしまう。そう、彼女は人間が嫌いだった。同じ家に居た両親も、クラスが一緒だった友人も、教室を自由に歩き回っていた教師も。 だからその年最初の雪が降ったあの日、全部綺麗にしたのだ。教室の中で、教室の外で、玄関を開けて。 真っ赤なバラの花束よりも真っ赤に染まった彼女は、ボロボロのレッドカーペットを庭の花壇まで敷き、そこで仰向けになって満足げな笑みを浮かべた。空からはしんしんと雪が降り続けている。彼女は雪の華を見ていた。裸眼では捉えようもないはずのそれを。 瞳は幸福の色に染まっていて「この雪みたいに、来年は一緒に咲こうね」と白無垢に着替えた枯れ花に言葉をかけたのだった。 メモの切れ端 アンデットになった私には、この子を連れていけば救いが有る。協会がある。ここでこの子は救われ、私も救われるはず。ああ助けて、神様助けて。

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