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神影 灰斗(みかげ はいと)
ID:5238081
MD:c6d5c4cbc74e2d9072bf44733ef5b3ab
神影 灰斗(みかげ はいと)
タグ:
雪火蛍
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
現在値
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APP
SIZ
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初期
SAN
アイ
デア
幸運
知識
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SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
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技能
職業P
/
(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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通常表示
<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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簡易表示
通常表示
<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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通常表示
パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
君は、僕の光だ。 だから僕は、君の影になろう。 イメソン: 振り子/Uru(『罪の声』主題歌) プロローグ/Uru ==================== 【鰯と柊 事前情報】 ■探索者の年齢:21~35歳程度 ■拝掌教(ハイタキョウ)について ・関東近郊の山中に居を構える新興宗教 ・信者数は1000人程度だが、このコミュニティで生活をするものはおおよそ100人程度 ・それ以外の信者は半年に一度の「大拝祭」のみ教団に通っている ・東京の都心部には相談窓口となる小さな支部が一つある ・外で働く信者のほとんどは通いだが、教団にて運営する孤児院、または寮で共同生活を行っている者もいる ・敷地内には広大な畑が供えられており、寮で生活するものはここで従事することになるだろう。できた作物は食卓に上ることもあれば外へ売りに出されるものもある。なかなか評判がいいらしい。 ■教祖の力:神様に祈ることで、任意の人物を消す事が出来る。信者たちはこの力に救われて心酔している。 ■拝掌教(ハイタキョウ)の成り立ちについて ・HO鰯を教祖に、HO柊と真菰 幽々の同じ孤児院出身の幼馴染三人で教団を開いた。 ・前述の【拝掌教(ハイタキョウ)について】とそれぞれの秘匿HOに矛盾点が出なければそのあたりのエピソードは自由に決めてもらって構わない。 【HO:柊】 ■概要 ・あなたは拝掌教の信者だ。 ・推奨技能:目星・聞き耳・図書館・殺人用の技能(刃物類がおススメ) ・あなたは殺人者だ。 ・ろくでもない家庭環境で育つ。家庭内暴力が原因で一時的に孤児院へ保護されていた。HO1とはそこで出会った。 ・保護は一時的なもので、両親が上っ面の反省を見せたことで、再び家に帰されてしまう。 ・次は殺されるかもしれない、とHO1へ相談すると、HO1は「自分を救ってくれた神様に祈るといい」と言った。 ・HO1と一緒に神様へ祈ると、貴方の両親はその翌日に失踪し、地獄のような日々から解放された。 ・HO1の元にはあなたと同じように助けを求める人々が次々と訪れ、集まった人間によってHO1を教祖とする宗教団体「拝掌教」が設立された。 ・相談者の数は膨れ上がり、日に日にHO1が疲弊していった。HO1の助けになりたいと思ったあなたは嘘をついた。 ・「敬虔な信者には神が教祖様と同等の加護を与えてくれる」という教えが教団内で広まっており、あなたは「自分にも加護の力が与えられた」と嘘をついた。 ・相談に訪れたものを虐げる「加害者」をその手で殺し、教団の裏手にある山へと埋めた。 ・そのお陰で、HO1の元へ訪れる相談者は半分になる。あなたが半分殺し続けているおかげで、HO1は幾分かましな顔色になったことだろう。 ・あなたはHO1を信じている。いつしかHO1は、この世からすべての悪を取り払ってくれるだろう。その助けになるのならば、あなたはその手を汚すことすらいとわない。 ■祈りについて ・HO1が相談者の額に掌を向けて祈りを捧げる。すると加害者は行方不明になる。現在まで行方不明になった人間は見つかっていない。 ・現在では週に2~3日、一日につき4~5人の相談者が教団まで訪れる「相談会」が行われている。 ・相談者は、教団幹部の鬼灯が事前に選定している。 ・あなたには加護の力などないので、祈るふりだけして相談者から加害者の情報を聞き出し、夜な夜な殺しに行っている。 ■神の加護 ・HO1が持つ祈りの力を、信者たちは「神の加護」と呼ぶ。 ・敬虔な信者には同等の力が与えられるという教えがあり、集まった信者たちは毎朝熱心に祈りを捧げている。 ==================== ■基本プロフィール ・職 業:宗教家 ・血液型:O型 ・誕生日:2月7日 ・星 座:水瓶座 ・誕生花:フリチラリア・ペルシカ(和名:編笠百合)。黒い花。 ・花言葉:「天上の愛」 ・名前の由来:神の影。彩のない灰色。 →メモ:「斗」という字は北斗七星にもあるように、星から連想した意味を込めた名付けがされることも多いらしい。 ■その他プロフ ・一人称:【表の顔】私、【本来】僕 ・二人称:○○様、貴方、君 ※HO1のことはム子様/ム子ちゃんと呼ぶ ・好き、嫌いな食べ物:はじめて孤児院に来た時、ム子ちゃんと一緒に食べたもの・敷地内の畑で採れたもの ・趣味:特になし ・日課:祈祷、ム子ちゃんのお世話やお支度 ・好きなもの:ム子ちゃん、ム子ちゃんが読んでくれる本 ・嫌いなもの、信じていないもの:罵声、大声、痛めつけられている子供の泣き声、力を振りかざす大人の手、綺麗事、"絆"や"親の愛情"・"普通"という言葉、「親は我が子が可愛いに決まっている」という概念、父の日や母の日 ・信じているもの:ム子ちゃん、幽々 ・恐れているもの:ム子ちゃんを失うこと ・好きな言葉:ム子ちゃんの話す言葉 ■その他特記事項: ・ム子ちゃんに対して強い愛情を抱いている。 ・人格を否定されて育ってきたため、基本的に自己肯定感が低い。 ・だが、もしム子ちゃんに認められる・褒められるようなことがあれば内心とても喜ぶ。彼女の言葉は半信半疑にはならない、信じているため。 ・ひどい環境で育ったため、所々歪んだ気持ちを秘めた一面がある。その一方で、ム子ちゃんと幼少期に出会い惹かれたことで、純粋な気持ちも育つ。彼女と出会ったお陰で、歪み切った人間になることはなかった。 ・両親から愛されず、それが普通だと思っていた。しかし孤児院に入ることで、心のどこかでは愛や、誰かに優しくされることを求めていたことをなんとなく自覚する。 ・求めた結果、『愛される』ことは分からないが、自分が誰かに『愛情を注ぐ』ことを知った。大事な人がいるからこそ生きていけることを知った。 ・ム子ちゃんのためであれば何でもする。まっすぐな行動はもちろん、無理をすることも、手を汚すことも厭わない。 ・ム子ちゃんが無理をしている様子なので、彼女の持つ不思議な力については強い関心を抱いている。何か自分が力になれることがあるならそうしたい。だが、聞いてしまうのも負担になるのではとも思っている。 ・ム子ちゃんが無理をしたり、ひとりで抱えないように1番近くで見守りたい。そのためム子ちゃんと話す時は屈んで視線を合わせる。あまり多くを話さない彼女のことをしかと見るために。そして、ム子ちゃんの見る世界に自分がいて欲しいという想いのためにも。 ■技能メモ ベース職業:狂信者や宗教家を参考にオリジナルで取得 ・応急手当…聖職者ならあるのでは?知らんが ・隠す…殺害した遺体の処理など ・聞き耳…殺害する時に五感研ぎ澄ますと思う ・図書館…仕事柄あると思う ・目星…虐待を受けていた頃から身を守る時に相手の動きをよく見ていた、親の顔色をよく伺っていたため細かい変化には気付きやすいかも。 ・忍び歩き…対象を殺害する時などに培った ・天文学…ム子ちゃんとの思い出。星空の本を読んでいた。 ■NPCやPCに対しての気持ち ・怒々峰笹:いじめのストレスで失語症、原因は違うけど、かつての自分にも似たところがある。 ・紫寿々:すずちゃんって呼ぶ。手伝ってよ〜!って言われたら「うん、良いよ」って言う。 ・公喜波芭:好きだと思うけど、子供たちを優先するあまり教祖のこと疎かだと、ちょっと引っ掛かるものはありそう。でも子供のお母さんだったなら仕方ないか、ちゃんと子供を大切に出来る大人だなぁと比較的好印象 ・真菰幽々:人前では真菰さんって呼んで敬語。拝掌教メンバーだけ、幼馴染だけ、2人きりなどの場合は下の名前呼び捨て&タメ口。真菰のデカそうな態度?にも気後れはしない ・ム子ちゃん:信者としてあるべき姿という理性と、幼馴染の気持ちと、恋愛の愛情が入り混じっている。人前ではム子様と呼び敬語で話す。2人きりの時・幼馴染と一緒の時はム子ちゃん呼び&丁寧で落ち着いた口調のタメ口。 ■経歴 ~8歳 :DVを受けて育つ。一人っ子。 8歳 :一時的に孤児院に保護されるが、すぐに両親に連れ戻されてしまう(1ヶ月〜半年程度孤児院にいた?) 10歳:両親の元で耐えながら暮らすが、孤児院を目指して抜け出す。再会したHO1と一緒に神に祈り、ようやく生き地獄から脱した。 それ以降:HO通り拝掌教の中で暮らしている。 ~DV周りのメモ~ ・一般的な家庭を知らない。両親は外面はよく、孤児院に保護される前は、周囲から円満な家庭と見なされていた。それが普通だと思っていた。 ・稀に外に出た時も、他人の家庭を見ては"みんな外面が良く、家の中では暴力的"という想像を信じ込んでいた。 ・テレビのドラマで虐待をテーマに扱った作品を目にするなど、ある時はじめて、"自分が置かれている状況は異常"だと幼いながらに認知してしまう出来事があった。 ・異常を知った途端、辛く苦しいという思いが増してくる。無自覚だっただけかも知れない。その苦しさが積もり積もった時、初めて「逃げたい」という願望がずっとあったことを自覚する。 ・ある時、偶然外に出た際に身体中の傷を見た近隣住民が、その異常事態に気づいて通報し、孤児院に保護される。 ・だが平和な生活も束の間、やがて両親の元へと返されてしまう。 ・「子供が孤児院に保護されなければならない家庭」と周囲に認知されたことを嫌った両親からの当たりがさらに激化し、一層耐え難い状況が続いた。 ・麻痺し切った身体と心だったが、苦悶を感じ取れるのは、唯一残った人間らしさかも知れない。いつも孤児院のことを思いながら耐えていた。 ■深堀メモ ①僕の肉親は人間じゃない。化け物だ。僕をいたぶることに何の情も持たない、ただの怪物だ。普段は僕が存在しないかのように扱う癖に、都合の良い時だけ殴っては蹴り、一方的に罵声を浴びせられた。身体にはいつも傷やアザ、火傷が絶えなかった。最初は痛かったけど、いつからか痛みも熱さも、何も感じなくなった。ご飯も満足に食べれなかったけど、お腹が空くことも段々分からなくなった。 奴らは僕が喋ることを必要としなかった。どんなに痛いと叫んでも、やめてと懇願しても、泣いても、黙っても。やめてはくれなかった。次第に僕は声を出すことをやめた。 ②そこから逃げおおせて出会った女の子は、あの化け物たちとは全然違った。はじめは彼女すらも怖くて怖くて仕方なかった。人間。きっとみんな同じ化け物に違いない。けど、彼女の手は僕をぶたなかった。喜捨場 ム子。彼女は、僕が生まれて初めて見た"人間"だ。 いつも家の隅に隠れるようにしていた僕は、孤児院でも同じように隅に座っていた。けど、ここでは誰も僕を傷つけない。それが分かると急に世界が広くなって、今まで全部同じに見えてた人間が、みんな違う存在だと気がついた。 そして僕と同じように、部屋の隅で過ごしている彼女がいることに気が付いた。本を読んでいて、何の本か気になった僕はチラチラと彼女を見ていた。 彼女に声をかけようとして、その時気がついた。自分が口を聞けないことに。言葉自体は知っていても、あの憎い怪物たちは僕が喋ることを必要としなかったから、僕はまともに話すことが出来ないのだ。 何度か声を出してみた。言葉になんてなっていなかったと思う。空中に散っていく、ただの音。 それでも、僕をぶたず、部屋の隅で隣に居てくれる彼女が気になって、短い声を出し続けた。 「…ミ、せて」 たったの3語。何度目かでようやく言葉になった。彼女は膝に本を広げるようにして見せてくれた。 星の本だった。僕は夜空をちゃんと見たことはなかったけど、夜は嫌いじゃなかった。暗いのが不安でもあったけれど、あの憎い怪物たちが布団で寝る時間だったから。昼間よりも夜が好きだった。 彼女はム子と言うらしい。それから僕は、ム子ちゃんと星の本を読んだり、夜空を眺めたりして過ごした。 ③僕とム子ちゃんは一緒にいることが殆どいつもになった。2人ともあまり喋らなかったから、居心地が良かったのかも知れない。けど、僕が何かを話すとム子ちゃんはそれを聴いてくれた。人と話をすることを、はじめて許された気がして嬉しかった。 僕が用事で傍を離れようとすると、ム子ちゃんが僕の手を引くようになった。どうしたのか聞きたかったけど、まだ満足に話せなかったから、返事や質問の代わりにその手を握り返した。 家で何度も火傷を負ったせいか、感覚が鈍っていて温度は分からなかった。けど、柔らかくて真っ白なム子ちゃんの手に、恋をしたんだと思う。当然その時は気づいていなかったけれど、今思えばきっと、あの頃からだ。 僕をぶたないム子ちゃんの手。傷つけない手。傷つけてはいけない手。怖くない手。 初めて、人と手を繋いだ。ム子ちゃんは僕の、はじめてだった。 胸がこそばゆかった。段々自分が分からなくなって、居ても立っても居られない気持ちになった。顔が熱いのか、なんなのか。繋いだム子ちゃんの手をたまらず少しだけ強く握ると、なかなかその手を離せなかった。 それが所謂”好意”だと知るのに、経験のない僕は随分と時間がかかった。 ④普段は何もないところを向いているム子ちゃんの目は、僕が見つめると真っ直ぐに見つめ返してくれる。真っ白だけど、色が変わる綺麗な瞳。 僕が笑うと、ム子ちゃんも小さく笑う。それが嬉しくて、僕はいつも笑って見せた。ム子ちゃんの儚い笑顔が可愛くて優しくて、ドキドキした。 大好きな、空を泳ぎがちなム子ちゃんの目に僕が映っていて欲しくて。僕は背が伸びても、ム子ちゃんの目線に合わせて話をした。 ⑤ム子ちゃんは僕が離れると寂しそうで、近くにいると落ち着くみたいだった。”僕”を必要としてくれているのかは分からないけれど、そんな気がして嬉しかった。僕も、少しでも長くム子ちゃんの傍にいたい。 ム子ちゃんの隣にいると、落ち着くようで落ち着かなくて。でも不思議と悪い気はしなくて、心地良くて。毎日がこんなに素敵なら、ずっとここに居たい。そう思うようになった。 ⑥けど、その生活は長くは続かなかった。奴らが僕を連れ戻しにやって来た。恐怖にすくんでしまい、拒否が出来なかった僕は、上辺の反省を見せた奴らに連れて行かれ、僕とム子ちゃん、孤児院の子供たちの間は引き裂かれた。 戻ってきた地獄の日々。暴力は一層激化した。僕が言い返すようになったからだ。以前までは沈黙だったのに、喋るようになった僕に腹を立てた奴らの仕打ちは酷くなる一方だった。 一度幸福を味わった後はかえって耐え難いもので、幼馴染と、何よりム子ちゃんとの未来がなくなったことが苦しかった。奴らが寝静まった後、何度も星空を見た。きっとどこかで同じ星を見ている。そんな淡い希望はまやかしにしかならなくて、すぐに『もう会えない』という絶望と虚無感に襲われた。 辛い、つらい、辛い。居ても立っても居られない。別に殴られることも罵声を浴びせられることも、もはやどうでも良かった。身体など何も感じない。痛いのは…心だ。会いたいのに会えないことがただ苦しくて、身が張り裂けそうで。気持ちが落ち着かなくて、呼吸が粗くなって、眠れない夜が増えた。昼は暴力、夜は不眠。精神は堕ちる一方で、僕は腐るようにやつれていった。 ⑦気力がなくなり殻みたいになった僕は、床に這いつくばるようになった。座る気力すらない。ただ地を撫でては、苦しさに過呼吸を起こす毎日。もう、疲れた。無意味な日々を繰り返し、みんなにもム子ちゃんにも会えない。生きてる意味なんてない。終わりにしたかった。 …好かれていたかなんて分からない。けど、離れるほどに想いは増していって、"好き"が溢れる一方で。現実と精神が釣り合わなくて、気が狂いそうだった。 ストレスで悪夢をみることも増えた。暴力的で、惨い悪夢。だけど、時々ム子ちゃんや孤児院のみんなが夢に出てきてくれた。その度に癒され、愛しくなっては、哀しさに押しつぶされそうだった。 ⑧人間の記憶は、声の記憶が一番弱く忘れやすいらしい。ム子ちゃんの声を聴く毎日から、奴らの憎い声を聴く毎日に戻ってしまった。彼女の声が遠のいていく現実が恐ろしい。 …やめろ。聴きたくない、聞きたくない!!!!!!!僕の世界から消えろ、僕の前から失せろ!!!!!その面が、その声が……!!!!!!全部邪魔なんだ。夕刻に漂う、僕に与えもしない食事の支度をしている香りも、僕の髪を引いて顔をぶつその手の感触も、僕の腹を蹴り飛ばすその脚の重さも!!!!!!!! …………なんで生きてるんだ?なんで僕が言いなりにならなきゃいけないんだ????なんで僕は、みんなと会えないんだ???なんで僕が、終わらないといけないんだ??????フザけるな。な ん で お 前 ら が そ ん な に え ら い ん だ ? ………………………………………………………………………………消えればいいのに。 ⑨ある日単純なことに気づいた。別に奴らが世界の全てじゃない。何故僕はこれまで、言いなりになっていたのだろう?そんな必要はどこにもないじゃないか。 何より、自分の手を握るあのム子ちゃんの手が。欲しくて欲しくて、たまらなくて。温度など感じることはできなかったが、確かにあの時、心がじんわりとした、くすぐったいものを認知したのだ。もう一度、あの手に触れたい。ここから逃げたい、死にたくない。いや、正確には"あの憎い奴らに殺される"ことだけは赦せなかった。そう思い家を抜け出し、孤児院を目指した。奴らに見つからないように、近隣住民に見られないように。 そして…彼女は変わらずそこにいた。 涙が溢れそうだった。色んなものが入り混じって止まらなかった。最後に会った時とは全然違う僕だったろうから、彼女を驚かせたり、恐がらせたりしたくなくて、必死に抑えた。 落ち着いてからム子ちゃんに打ち明けた。暴力は勿論、離れていることがつらいこと。もう二度と戻りたくないこと。するとム子ちゃんは「自分を救ってくれた神様に一緒にお祈りしよう」そう告げた。言われるがまま、ム子ちゃんと一緒に必死の思いで祈りを捧げた。 翌日。僕を散々苦しめた奴らは消えていた。あったのは突然訪れた孤独という自由。そして、溢れんばかりの悦び。何年も続いた生き地獄から、やっと逃げ出した。奴らがどこへ行ったかなんて知る由もない。全てが、どうでも良かった。 平穏と自由を手に入れて幸せだった。でも、この世は残酷だ。親のない未成年が生きていく術は、日本にはないに等しい。僕にもそのくらいはすぐ理解できた。自身の生きる場所を見つけなければいけない。 …すぐに脳裏に浮かんだのは、ム子ちゃんだった。赦されるのなら、彼女の隣で生きていきたい。唯一生を実感できる場所、自分が自分で在れる場所、生きることを赦された場所。そこが僕の居場所に違いない…そう確信していた。 そして僕は、孤児院に戻った。 ⑩ム子ちゃんや幼馴染との日々が戻ってきた。安らかで平和で、愛しい日々。幸せだった。 やがて彼女の不思議な力のことを知って、僕のような人々が次々に孤児院へ訪れるようになった。そして『拝掌教』が設立され…彼女は日に日にやつれていった。 心配で仕方なかった。僕が目線を合わせると笑ってくれたム子ちゃんの瞳が、顔が。どんどん変わっていく。無理をしてるんじゃないか。誰にも言えないでいるんじゃないか。どうすれば良いか分からないんじゃないか。 張り裂けそうだった。かつての化け物たちとの暮らしより、ずっとずっと苦しい。僕たち信者が縋り過ぎるから、ム子ちゃんは縋れる存在がいないんじゃないか。そもそも1人の少女…否、女性を崇め続けることそのものが、重過ぎる負担じゃないのか。ム子ちゃんを想う一方で、彼女を苦しめている現状に耐えられなかった。 だから僕は、自分で責任を負うことにした。幸いにも教団内に広まっていた教えに則り「私にも加護の力が与えられた」と嘯いた。これ以上、ム子ちゃんの負担を増やしたくない。半分は僕が片付けよう。 僕は罪を犯した。これは決して、ム子ちゃんに頼まれたわけじゃない。僕のエゴだ。いち信者として、幼馴染として…君を想う男としての、僕なりの責任だ。たとえ歪んでいても、君にありのままでいて欲しいから。君は、僕の生きる意味だから。 君を守りたい。そのためなら僕は、どんな悪にもなろう。 →この辺りのさらなる深掘り伏せ https://fusetter.com/tw/ZP0FYGoI ⑪教祖様を信仰する敬虔な信徒。そうであると同時に、僕は彼女に、特別な気持ちを抱いている。 ム子ちゃんに触れていたい。誰にも渡したくない。そんな、信徒としてあってはならぬ願いを内に秘めてしまうのだ。 聖職者にとって欲とは罪だ。そんな気持ちで、信徒として傍にいることはふさわしくないだろう。 だが、この想いを止めることなど到底出来ない。むしろ止めようと思うほどに強まっていく。1人の男として、彼女のそばに居たい。 嗚呼、この罪深い僕を、どうか。 ⑬ねぇ、ム子ちゃん。 僕の手は、まるでいつかの奴らみたいに、だんだん大きくなってゴツゴツして、君と昔繋いだ手とは違うけど。 それでも握ってくれる君の手に、君自身に。僕は一体何を届けられるだろう。 小さくて愛しい繊細なその手を。壊してしまわぬように。 ⑭僕の気持ちをもし君に伝えたら、きっと君を困らせてしまうだろうね。だから僕は、この気持ちを秘めることにしよう。 代わりに、傍にいさせて欲しい。昔感じ取れなかった君の体温を感じていたい。僕が笑うと笑い返してくれる、君の瞳を見つめていたい。 僕の光。特別なことは望んでいない。ム子ちゃんを疲れさせたいわけじゃないから。ただ君が隣に居てくれる、それだけで僕の世界を、夜空に浮かぶ星のように優しく照らしてくれるんだ。 ム子ちゃん。 僕と一緒にいてくれて、ありがとう。 僕を助けてくれてありがとう。 僕に愛する喜びを教えてくれて、ありがとう。 僕に生きる意味を与えてくれて、ありがとう。 僕は君が、大好きだ。 だから僕は、君を支える影になる。 君が星の光なら、僕が夜の影になろう。
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
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